ラグビーW杯 元代表・大西将太郎が語る「南アに勝つ3つの根拠」

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日本代表戦は常に会場で見てきた大西将太郎氏(中央)(写真:茂木あきら/JMPA)

ラグビーワールドカップ(W杯)史上初めて決勝トーナメントに進出したラグビー日本代表は20日、南アフリカ代表と対戦する。今大会に入って南アフリカは185得点、27トライは1位。それでも2007年W杯の日本代表キッカーをつとめ、『ラグビーは3つのルールで熱狂できる』(ワニブックス)を上梓した大西将太郎氏は、雪辱に執念を燃やす南アフリカにも勝てると断言。その3つの理由を語った。

日本代表は南アフリカと9月6日に対戦し、7-41で敗れました。その後、南アフリカは大会に入っても、得点数とトライ数で1位になるなど、好調を維持していますが、それでも日本代表が南アフリカに大会前に対戦できたことが、日本にとって有利に働くと思っています

【勝てる理由① 分析能力の高さ】

今大会の日本代表は、事前に準備していることがうまくハマっています。ある1つのスタイルを貫き、それで相手を上回る強さではなく、対戦相手によって変化できることが最大の強みです。

プールAでの戦いぶりを振り返ると、たとえばアイルランド戦は相手にボールを与えない戦術をとりました。一度、ボールを与えてしまうと取り返すのに時間がかかるという理由からです。でも次戦のサモア戦は逆に、意図的にキックを蹴り、相手にボールを持たせて、相手のミスを待ちました。日本は、自分たちがボールをキープできれば、サモアは勝手に反則もしてくれました。どの試合を迎える前も1週間近く準備期間があり、日本は相手の弱さをつき、その弱点に応じて自分たちの強さを出す攻略法を「ONEチーム」で練ることができているんです。

【勝てる理由② ボールキャリアのオプションの多さ】

南アフリカはプール戦を終えた時点で得点数、トライ数が1位で攻撃力に目が行きますが、実はディフェンス力が高いから得点をとれている。ディフェンスを起点に得点を奪っているシーンが多いんです。ですから、戦いの構図としては、日本の多彩な攻撃VS南アフリカの堅守になるだろうと予想しています。

南アフリカのディフェンスの特徴は、相手に考える時間、気持ちの余裕を与えないんです。相手の12、13番あたりがボールを持った時、速く前に出てきます。そこで、思い切りのいいコンタクトで優位に立ち、ボールを持った相手を押し倒して、他の選手もそこに素早く集まってきて、反則を誘ったり、ボールを奪ったりしています。

ですから日本代表のキーマンは12番の中村亮土と13番のラファエレです。彼らが少しでも余裕をもった判断ができれば、日本の攻撃が長く続き、日本のペースになります。

たとえば、SO田村優からボールをもらった選手の内側、外側に走る選手もいて、キックができる選手もいる。守る側からすると的が絞りづらいんです。対する南アフリカの攻撃を分析すると、パワーはありますが、手数は少ない。体格差にまかせて思い切り当たってくるか、バックスラインの裏を通すかぐらいなので、守る側としては見分けがつきやすいんです。

パワーを前面に出してくるディフェンスに対し、攻撃のオプションで上回れれば勝つことができますが、日本代表は1回対戦していることによって、南アフリカのプレッシャーの速度を想定できるため、日本のペースに持ち込むことが可能になると見ています。

【勝てる理由③ 責任感】

過去4試合はすべて会場で観させてもらいましたが、ただ「目の前の試合に勝つ」ということだけではなく、全員が「日本ラグビーの未来のため、歴史を変えることをしたい、だから頑張るんだ」という責任感を強く感じます。

象徴的だったのは13日のスコットランド代表戦で、後半最初に、WTB福岡堅樹選手がグラウンドの中盤で相手選手が抱えていたボールをむしり取って、そのまま40m以上走り切ってトライしました。その時、喜ぶ福岡選手のもとに最初に駆け寄ったのがHO堀江翔太選手、次がPR稲垣啓太選手といったFW第1列の選手たちでした。

あの場面は、福岡選手がいつものライン際ではなく、真ん中付近から抜けたので 相手の攻撃に対して真ん中を守るポジションにいた堀江、稲垣両選手にとって福岡選手がわりと近くにいたのですが、それでも、普通は福岡選手が抜けた後、他のバックス選手やFW第3列の選手が先に追いつくものなんです。それがスクラム、ラインアウト、密集戦で力を使い、足が鉛のように重くなるFW第1列の彼らが最後まで走り切っているからこそ、福岡がトライした瞬間にすぐそばにいられた。ちなみに堀江選手は今大会、タックル数も54本決めてランキングで5位。トップ10に入っているFW第1列の選手は彼だけです。いかにワークレート(仕事量の多さ)が高いかを示しています。

日本代表は試合を追うごとに成長し、その成長率が高い。そこに、日本のファンの方の応援の熱気が加わって今の快進撃が生み出されていると思います。日本代表OBとしてはこの伸び率をもっともっと見てみたい。そんな期待感をもって南アフリカ戦を観たいと思います。

大西将太郞(おおにし・しょうたろう)

1978年、大阪府生まれ。布施ラグビースクールでラグビーをはじめ、大阪・啓光学園(現・常翔啓光学園)で全国大会準優勝。高校日本代表では主将もつとめた。同志社大学を卒業後、ワールド、ヤマハ発動機、近鉄、豊田自動織機で活躍。トップリーグでは通算143試合に出場。日本代表は大学4年時から選ばれ、通算33試合に出場。W杯は2007年フランス大会に出場し、カナダ戦で終了直前に同点ゴールを決め、日本代表のW杯連敗記録を13で阻止した。

(写真:アフロ)

 

 

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