花粉症の人、喫煙者はかかりやすい!? インフルエンザの新常識

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季節外れのインフルエンザが流行している。ラグビー観戦のため、海外から多くの人が訪れているのが原因ではないかと考えられているが、どうやらそれだけではないらしい。では、なぜ流行がはやまったのか。最新のインフルエンザ情報を、医師の山本佳奈氏に聞いた。

北半球と南半球を行き来しながら進化を続けるインフルエンザウイルス

北半球と南半球の中間に位置するシンガポールでは、それぞれの地域の流行時期に合わせ、年2回、インフルエンザ流行のピークがあるという

北半球でインフルエンザが流行するのは11月から3月にかけて。南半球では4月から9月だ。どちらも冬の乾燥した時期に流行するので、インフルエンザウイルスは乾燥した環境で増殖すると考えられてきた。ところが、

「2013年に、アメリカ国立衛生研究所のBloom-Feshbach氏らから、温暖な地域では冬季にインフルエンザが流行するものの、東南アジアの熱帯地域では半年ごとにインフルエンザが流行していると報告されています。実際、亜熱帯に属している沖縄では、夏にもインフルエンザが流行しています。

今はアジアからも多くの旅行客が訪れていますし、沖縄を旅行する人も多い。インフルエンザの流行時期がずれてきたのは、人の行き来がグローバル化したことも一因だと思います」(山本佳奈氏 以下同)

北半球と南半球の中間に位置するシンガポールでは、それぞれの地域の流行時期に合わせ、年2回、インフルエンザ流行のピークがあるという。最近の研究では、インフルエンザウイルスは北半球と南半球を行き来しながら進化を続けていることがわかってきた。

インフルエンザは接触感染。ウイルスを持った人からの咳などで飛び散った飛沫を吸い込むなどすることによって感染する。雨季などは、室内で過ごすことが多くなることも感染しやすくなる原因と考えられるという。

「スポーツ観戦など大勢集まるイベント会場などでも注意は必要ですが、今一番心配なのは、台風19号で被災された方々が過ごしている避難所での集団感染です。一日の寒暖差が大きいこの時期は、体の抵抗力も低下しがちです」

避難所では、インフルエンザの集団感染が懸念されている

花粉症の人、喫煙者はインフルエンザに感染しやすい?

2018年に韓国のソウル大学病院のJeon医師らの研究により、アレルギー性鼻炎をもつ人は、A型のインフルエンザウイルスに感染しやすいことが報告されている。

「アレルギー性鼻炎の人は鼻の粘膜につねに炎症が起きており、ダメージを受けている状態なので、そこからインフルエンサウイルスが感染しやすくなります」 

スギ花粉ほどではないが、秋はブタクサ、ヨモギ、カナムグラの花粉が原因のアレルギー性鼻炎の季節。因果関係はわからないが、現在流行しているインフルエンザも9割がA型。花粉症によるくしゃみや咳でウイルスを飛散させているせいかもしれない。

喫煙者も要注意だ。イギリス・ノッティンガム大学のLawrence Hannah氏の研究グループで喫煙とインフルエンザ感染の関連を調べたところ、喫煙者のインフルエンザ発症リスクは、非喫煙者の5倍にもなったというレポートが最近発表されている。 

インフルエンザ予防には結局ワクチン。早めの接種を!

インフルエンザを予防するには、緑茶でうがいするなど、民間療法的なこともいくつかいわれているが、

「それらは、どれも科学的に証明されていません。どれほど効果があるか疑問です。 

インフルエンザの予防にはワクチン。ワクチンを打ってもインフルエンザに感染することはありますが、重症になることを避けることができます。とくに高齢者や小さなお子さんは、肺炎や脳炎など合併症になることが怖い。ワクチンを打っておけば、そうした危険を避けることができます。 

インフルエンザのワクチンは、不活性化ワクチンといって、病原体となるウイルスや細菌の感染する能力を失わせたものを原材料として作られます。この不活性化ワクチンは免疫力が弱いため、3~5か月ほどでその効力はなくなります。そのためインフルエンサワクチンは、流行する前に毎年打たなくてはなりません。 

毎年10月1日から接種できるので、爆発的に流行する前に打つことをおすすめします」 

2011年に発表されたインフルワクチンの接種状況と学級閉鎖との関連を観察してきた慶応大学の研究によると、日本でワクチンの接種が小学校で義務づけられていた1984年から1987年と、ほとんど接種を受けなかった1995年から1999年を比較すると、学級閉鎖の日数に約16倍の違いがあった。

高齢者はインフルエンザが原因で亡くなることもあるが、日本でワクチンの接種が義務化されていた時期は、高齢者への感染を抑える効果もあったという。

ワクチン接種は自分のためでもあるし、人に感染させないためにも大事。来年は東京オリンピック・パラリンピックで海外から訪れる人も多い。冬を待たずにインフルエンザが流行する可能性も高い。10月1日からといわず、いつでもワクチンが打てるように準備してほしいものだ。 

山本佳奈 医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

  • 取材・文中川いづみ写真アフロ

Photo Gallary2

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