史上最大級・台風19号 国内最高の降雨量で”橋も道も水没”現場
72時間で最大1000mm超の降雨量で死者70人以上。大豪雨の猛威に日本は無力だった
「家の外に出ると、近くの道路が完全に水没していたんですよ。この周辺は小さな川が複雑に流れていて、水が溢(あふ)れ出てしまうと逃げ場がない。この水もなかなか引かないでしょうね」(近隣住民)
上の写真は、台風19号の上陸翌日、埼玉県・入間川の支流である越辺(おっぺ)川の氾濫で、水没した道路を捉えたもの。同様の被害が東日本の各地で起きている――。
10月12日夜、台風19号が東日本を直撃した。ウェザーマップ取締役会長で、気象予報士の森田正光氏はこう語る。
「台風19号の箱根での降雨量は48時間で最大1000㎜超。これは東京の年間降雨量の3分の2とほぼ同量で、国内最高記録です。雨雲の大きさは9月に首都圏に大打撃を与えた台風15号の約10倍。強風域は1000㎞にも広がっていました」
巨大台風の上陸に際し、首都圏の鉄道はほとんどの区間で計画運休。臨時休業のコンビニは5000店舗を超えた。さらに過ぎ去った後、台風の凄まじさが続々とあきらかになる。大豪雨により231の河川が氾濫。激しい濁流は1000棟以上の家々と70人以上の命を飲み込んだ。
「あっという間に水かさが上がって、急いで2階に逃げたよ。1.4mくらいはあった。1階にあった車もパソコンも家具も全部ダメになっちゃったね」(埼玉県・都幾(とき)川の氾濫被害を受けた森田豊次さん)
日本気象学会理事長をつとめる東北大学大学院名誉教授の岩崎俊樹氏が語る。
「台風19号は大型で、関東地方に上陸するまではゆっくりと進んだため、降雨時間が非常に長くなりました。さらに東風が強く吹き付けて、東北地方の太平洋側に、多くの雨を降らせた。また台風の大きさと強さゆえ、内陸の長野県にまで大量の雨をもたらしました。近年稀(まれ)にみる強力な台風だったと言えるでしょう」
『FRIDAY』2019年11月1日号より
撮影:樋口琢生