台風で千曲川堤防決壊 大災害避難時に”必要なモノ&必要な処置” | FRIDAYデジタル

台風で千曲川堤防決壊 大災害避難時に”必要なモノ&必要な処置”

災害が起きる前にハザードマップを確認、食糧などを入れた非常用リュックの用意が必須

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長野県長野市を流れる千曲川の堤防が決壊し、穂保地区の住宅地が広範囲にわたって大量に浸水した
長野県長野市を流れる千曲川の堤防が決壊し、穂保地区の住宅地が広範囲にわたって大量に浸水した

「千曲川が氾濫した長野県をはじめ、関東や東北に住む方々は、巨大台風の上陸に慣れていません。それが被害を大きくした面があります。今後は未曽有の台風に対して、個人が平時のうちに備えていくことが大切です。自治体が定める避難場所が安全とは限りませんし、防災グッズも不要な物が多いんです」(立命館大学歴史都市防災研究所教授・高橋学氏)

巨大台風の暴風と豪雨に備えて、何をすべきか。危機管理アドバイザー・国崎信江氏はこうアドバイスする。

「ハザードマップで浸水エリアを確認し、加えて自治体の大雨排水処理能力を知っておくことです。たとえば東京都の多くのエリアは、排水処理能力は1時間雨量50㎜程度。これが内水(ないすい)氾濫(下水道や排水路の雨水処理能力を上回る雨によって、市街地に浸水すること)の目安になると思います。

自宅が浸水エリアにある場合は、『預かり備蓄』も検討したほうがいいでしょう。高台に住む親戚などに避難先で必要な物をあらかじめ預けておくんです。余裕があればトランクルームを借りてもいいと思います。そうすれば、非常時には物にとらわれることもなく避難できます」

次に避難先に向かうための非常持ち出し袋をあらかじめ用意しておく。

「暴風によって物が飛んでくる恐れがあるので、ヘルメットは不可欠。両手を空けるためにヘッドライトもセットで購入しておいたほうがいいです。避難所に持っていくものとしては、現金、非常食、飲料、暖をとるもの、着替え、あとは個人的に生活に必要となるメガネや、薬、オムツなどを忘れないように」(国崎氏)

「備え・防災アドバイザー」の高荷智也氏もこう指摘する。

「自宅が浸水の恐れがある地域の方は、非常用の荷物をリュックにまとめて、家族全員分用意しておく。浸水が始まる前にそれを一つずつ背負って逃げる、というのが基本になります。あとは傘や登山用の杖などの棒を必ず持って外に出ること。歩く先に穴がないか探りながら移動してください。蓋(ふた)の外れたマンホールや側溝に落ちてしまうと生死にかかわります。また、浸水時の水は不衛生なので感染症のリスクに備えて、避難先に着いたら肌を綺麗にすること。トイレ用も兼ねてウェットティッシュが有効です」

自宅近くに河川や海がないという場合でも、台風による停電・断水状態の中で、自宅で生活することを想定した備えが必要となる。高荷氏は食料品や日用品の「ローリングストック」をオススメする。

「食料の短期備蓄は最低3日、できれば1週間分が必須ですが、コスト面からも防災用ではなく、普段からよく食べているものを多めに買っておくだけでいいんです。カップ麺、レトルト食品、缶詰、シリアルなどをまとめ買いし、食べて減った分だけを定期的に買い足せばOK。この方法で、常に食料を確保しておく。カセットコンロのガスボンベや乾電池、ティッシュも同じ方法で補充しておけば、イザというときも困りません。飲料水は、『水』である必要はありません。普段飲んでいるお茶があればそれをストックしておく。飲み慣れているものなら、非常時でもストレスなく摂取できます」

生活用水としての水は、いくらあっても困らない。自宅のスペースを考慮して、ペットボトルの水を備蓄する。水がいらないシャンプーや歯磨きも便利だ。忘れがちなのが簡易トイレ。これはビニール袋と凝固剤を保管しておくだけでいい。

そして、いまの時代、もっとも重要なのは、スマホの電源を確保することだ。

「モバイルバッテリーはこの機会に購入しておいて損はありません。また乾電池充電器も一家に1台はあるといい。電池は様々な製品に使用できます。食料と同様に日常生活でも使える物をまとめ買いしておくことがポイントです」(高荷氏)

また都心部にいる場合は、下のマップを参考に緊急電源を提供してくれる場所を知っておくと役に立つ。一方で、非常時には「アナログ」も併用する。

「乾電池で動く小型のラジオが必須です。災害時はネットで流言飛語が飛び交います。そんななかでラジオは正確な情報源として機能します」(前出・高橋氏)

前出の高荷氏もこう語る。

「スマホに頼り切っていると、電源がなくなった際、情報源をすべて失います。大切な人の電話番号やメールアドレスなどは紙にメモをして、鞄に入れておくといいでしょう」

家族と自分の身を守るために、準備はするに越したことはない――。

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『FRIDAY』2019年11月1日号より

  • 撮影桐島瞬(長野市)、中村將一(市原市)

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