写真ばら撒きに怯え続ける…女子児童に「自画撮り」被害が急増中 | FRIDAYデジタル

写真ばら撒きに怯え続ける…女子児童に「自画撮り」被害が急増中

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警察庁によると、インターネット犯罪のひとつ「自画撮り」の被害児童数が右肩上がりに増えているという。

そもそも「自画撮り」被害とは何かというと、だまされたり、脅かされたりして児童が自分の裸体を撮影し、メール等で送らされる被害のことを指す。児童買春・児童ポルノ禁止法が施行されたのは平成11年。その翌年からの統計によれば、同法違反による送致件数は毎年、基本的に右肩上がりで増えており、それに伴い、被害児童数も増加し続けている。

18歳未満の女子児童の裸体撮影は、児童自らが加害者に裸体画像を送る「自画撮り」によるものがほぼ4割を占めるという 写真:アフロ
18歳未満の女子児童の裸体撮影は、児童自らが加害者に裸体画像を送る「自画撮り」によるものがほぼ4割を占めるという 写真:アフロ

警察庁がまとめた資料によれば、18歳未満の女子児童の裸体撮影は、盗撮やわいせつ行為の最中に撮影するなど、いくつかのケースがあるが、実は、児童自らが加害者に裸体画像を送る「自画撮り」によるものがもっとも多く、ほぼ4割を占める。被害者9割以上が中高生だが、小学生の被害も上昇しているという。

この事態をふまえ、東京都では2018年2月にいち早く、一部改正が行われた「東京都青少年の健全な育成に関する条例」が施行された。18歳未満の者に対して、いわゆる「自画撮り」画像を不当に求める行為を、罰則付きで禁止する規定を新設している。これに違反すると、30万円以下の罰金が科せられる。

SNSを介して児童が自分の裸の画像を他人に送ってしまう……思春期の娘を持つ親にとって、これほど心配なことはないだろう。今回、その手口の詳細を、性犯罪被害者支援を主に行う、らめーん弁護士(プロフィールは記事末尾)に聞いた。

「自画撮りを送らせること自体も育成条例違反となりますが、多くはその段階では明るみに出ません。意に沿わない形で性交されたり、『画像をばら撒くぞ』と脅されたり、実際にばら撒かれたりしてから、ストーカーやリベンジポルノ被害で相談が来ることが多いです」(らめーん弁護士・以下同)

男性らが18歳未満の児童と知り合うツールはほとんどスマホ。「自画撮り」画像自体は、カカオトークやLINEで送らせるというが、最初に児童と接触するアプリとしては学生限定のSNS「ひま部」が定番だ。

「未成年が被害者になる事件は『ツイッター』『ひま部』『ひまチャット』などの SNSやトークアプリからというパターンがすごく多いです。ただし、これらのオープン度高めな SNS 等は、プライベートに関わる情報を得ようとしたり性的な接触を持つことが禁止されているので、言葉巧みに『カカオトーク』や『LINE』のIDを聞き出し、そちらに移行させます。

そして、クローズドで自由度の高いSNSを使い、恋愛トークで女の子をその気にさせて、まず顔写真を送り合い、段階を踏んで『自画撮りを送って』と切り出すのがパターン化しています。

経験の浅い児童の多くは、自分が知り合う人にそんなに悪人がいるはずはないと思ってしまうため、すぐに相手を信じて会話が盛り上がり、恋愛モードになります。一方、加害男性の最終目的は18歳未満の児童とセックスすることなので、甘い言葉を囁く。そのため女の子のほうも次第に『ちょっとセクシーなワンピ買ったんだ』など日常の出来事を送るようになって、盛り上がっていくんです」

児童らに恋心を抱かせるトーク術も定番化していると、らめーん弁護士は言う。児童が送って来る自分語りに対して、後出しで「実は俺もなんだ」と共通項があるように返信することを繰り返すのだ。テレクラで見知らぬ男女がトークしながら盛り上がり、テレフォンセックスに至る、という流れとも似ているという。

らめーん弁護士が指摘するように、彼らの最終目的は児童の「自画撮り」を入手することではない。性行為である。恋愛経験の豊富ではない児童らと、擬似恋人のようなやり取りを繰り返し、その気にさせ、直接会う約束をする。そして二人きりになれる場所で性行為を行う。これが彼らのゴールである。時に児童の側が乗り気でないのに“無理やり”というケースもあるという。

もちろん、直接会う段階になり、不安になる児童もいる。危険を回避するため、待ち合わせ場所に女友達と2人で一緒に行くことを考えるかもしれないが、実はそれには全く意味がない。なぜなら、彼らは児童が複数人であろうと全く気にせず、その友達も交えて3Pに及ぼうとするからだ。

こうした卑劣な犯罪に及ぶ男性たちは意外にも、若年層に多いのだそうだ。

「ときどき報道されるのは、本当は中高年なのに、別の若いイケメンの画像を送って児童を騙して……といったケースですけど、実際は、18〜19歳ぐらいの大学生が、15〜16歳ぐらいの中高生に対して、という構図が多いです。しかもいたって普通の大学生。中高生から見れば大学生はとても大人に見えるから、『写真を送って』と言われても、そんなに悪いことにはならないだろうと信用して送ってしまうんです」

「自画撮り」を送った後、関係が破綻し、それをばら撒くぞと脅されたり、ストーカーされたりするようになってから、警察や弁護士のもとへ相談に行ったとしても、最初に疑似恋愛的なやり取りを交わしていることから、男性側から「当時は本気で好意を持っていたし、向こうもそうだと思っていた」などの“言い訳”をされてしまう場合が往々にしてある。

「日本の子供たちは、言うべき時にはっきり『ノー』と言う教育を受けてきていないので、拒絶が相手に伝わりづらい。私は女性なので、事前のやりとりで被害女児が嫌がっていたことが分かるのですが、男性警察官の視点からは『これは男も誤解するよ』となってしまう。強姦に近いことをされていても、過去のSNSのやりとりから『これだけ盛り上がっていたら、強姦と認定するのは難しいんじゃないか』と見なされる、そんな流れもあります」

らめーん弁護士のもとへ、「自画撮り」に端を発するさまざまな被害の相談が寄せられるのは圧倒的に夏休み明けが多いという。

「SNSを通した出会いから、ちょっとした恋心、出来心で『自画撮り』を送ってしまい、『いつかばら撒かれるんじゃないか』『脅しに使われるんじゃないか』と一生怯えることになってしまう。

そもそも、まともな大人は会う前に『裸の写真を送れ』なんて言わないし、会うまでにそこまで盛り上がるというのが怪しい。

女の子たちに対しては、もしSNSで年上男性との出会いがあったとしても、オープンにできないやりとりはやめたほうがいい。顔写真や裸体画像を求められた時はすぐに音信不通にしてください。あなたの悩みを聞いてくれる人は他にもたくさんいるんだから、って伝えたいですね」

そして何よりも、男性の側が『18歳未満の自画撮り画像を所持すると逮捕もあり得る』という事実を肝に銘じるべきと、らめーん氏は締めくくった。

 

らめーん 第一東京弁護士会所属。性暴力救援センター(SARC)東京運営委員。著書(共著)に「ケーススタディ 被害者参加制度 損害賠償命令制度」「犯罪被害者支援実務ハンドブック」などがある。

  • 取材・文高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)、『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

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