ラグビー日本代表が突如出現!台風被害に苦しむ千葉で復興支援

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ボランティアに参加したラグビー日本代表の選手たち。左から松田力也、北出卓也、青山清和オーナー、堀江翔太、稲垣啓太、流大

11月2日に世界一が決まるラグビーワールドカップ(W杯)で史上初のベスト8に入ったラグビー日本代表の有志6人が台風や大雨による被害が深刻な千葉県富津市近郊で、ボランティアで復興支援活動をしていたことがわかった。

W杯で奮闘したFWのリーダー的存在のHO堀江翔太の呼びかけに、SO田村優、PR稲垣啓太、SH流大、SO松田力也、HO北出卓也が賛同。田村は28日に一人で動き、29日に田村を除いた5人が活動した。最初に声をあげた堀江が振り返る。

「スコットランド戦が行われた10月中旬に、台風の大変な被害状況だということがテレビでもずっと流れていました。当時、僕らはラグビーをすることしかできなかったんですけど、大会が終わっても被害に関する報道はずっとありました。今はW杯も終わって、体を休められるいい時間なのかもしれないけど、『何かしたいな』という気持ちが勝ったんです。そこで僕が29日に都合がついたので他の選手にも声をかけてみたら、『一緒に行きましょう』と手をあげてくれました」

ボランティアの特設サイトにアクセスして、初心者でもできる力仕事のボランティアを応募。堀江たちはボランティアセンターの指示に従い、午前中に土砂崩れを起こした千葉県富津市内の一般家庭のもとへ行き、石のように固まってしまった土砂の泥を小さくして運ぶ作業をした後、午後から同市内の古民家カフェ「えどもんず」に行き、強風で屋根が吹き飛び、水をたっぷり吸いこんで重くなった畳を運び出す作業を続けた。その「心」に触れたえどもんずのオーナー、青山清和氏は驚きで声が上ずった。

「度重なる台風直撃でいろんなものが水を吸ってしまい、重くなってしまって……。今、畳1枚も一般の人だと10人ぐらいいないと運べないぐらい重いんです。ですから、ボランティアセンターに『重いものを持てる、力のある人をお願いしたい』とリクエストを出していました。そうしたら担当者のほうから『力強い人が行きますので、期待していてください』と返答があり、どんな方かと待っていたら、ラグビーの日本代表選手だったのでびっくりしました」

雨をたっぷり吸った畳は異臭がひどいため、マスクを着けて運び出す。ラグビーではスクラム最前線を担うFW北出卓也(中央)やPR稲垣啓太(右から2人目)にとっても重たそう。奥は松田力也

青山オーナーは、はからずもつながった「縁」にも、驚きを隠せない。

「実はこの春、代表の方々にコーヒーを出させてもらった時期があったんです。今年春先に千葉県内で合宿をしていたときに、チームの方から『こだわりのコーヒーを飲みたい』と要望があって、ウチに話をいただいたので、カフェカーを出して無料で飲んでもらっていたんです。今回、こうしていろんな偶然が重なって、お手伝いしていただいたことに不思議な縁も感じますし、彼らの力もあって、ダメになってしまった畳をすべて外に出すことができました。有難くて、お礼の言葉もみつからない。

大会中、稲垣選手は『笑わない』なんていうお話も出ていましたけど、実際は仕事をしながら時折見せる笑顔は素敵でしたよ。終わった後は『今度はチームみんなで来ます』って言ってくれましてね。ラグビー選手のほかにも、『私にお手伝いさせてください』と言ってくれる若い社長さんや、ボランティアでがれきを撤去してくれる人もいて……。熱い気持ちに触れる機会が多くて、本当に日々、感謝の思いでいっぱいです」

えどもんずはもともと、2011年の東日本大震災の影響で、金谷からどんどん人がいなくなる現実を目の当たりにした青山オーナーが、復興のために奔走していた友人の力になりたい、と始めたカフェだ。青山オーナーは、コーヒーに対する知識があり、美味しい味を引き出すスキルを磨き続けたことにより、1杯1500円のコーヒーが週末は200杯も売れるほど繁盛した。一方、開店当初は美味しいコーヒを作ること以外にかかる経費をできる限り抑えるため、店舗は岐阜県・白川郷から移築した築230年超の物件、テーブルや椅子も廃棄品を譲りうけて使っており、損傷は激しい。それでも青山オーナーは「白川郷から移築した合掌造りは世界遺産にも登録されています。その価値を維持したいので、お店を再開するとしても、現代風に変えるのではなく、開店当初に近い、古民家の形でリニューアルしたい」と希望している。

29日に6~7時間、重労働を続けた堀江はこう振り返る。

「今回、ボランティアを初めてやらせてもらってわかったんですが、内容によっては特別な技能や資格が必要なので、僕らがやれることは限られている。そんな自分たちであっても少しでも力になれるのであれば有難い、という気持ちでしかないです」

W杯期間中には台風の影響で試合が中止になったカナダ代表が、台風の爪痕が残る釜石に残り、泥清掃をしたことも話題になった。困っている人、孤立している人を助けないと前進できないのはラグビーの特徴の一つ。同時に、人としてみんな持っていてほしい気持ちでもある。一日も早い復旧を目指して、夜は店のそばで車中泊を続けている青山オーナーにとって、スポットライトを浴びた日本代表の献身的な思いに触れたその晩は、少し寝つきのいい夜になったに違いない。

被害を受ける前の外観
被害を受ける前の2階の様子
台風の強風により、屋根が吹き飛んでしまった
上からみた店内の被害状況。ラグビー選手が来たことにより、下に敷かれている水を吸った畳を出し終えることができた。
店の前に高く積まれたがれきの山
  • 写真提供カフェ「えどもんず」

Photo Gallary7

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