チュート徳井義実には無意味だった? 芸能人の“個人事務所”事情 | FRIDAYデジタル

チュート徳井義実には無意味だった? 芸能人の“個人事務所”事情

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’12年、愛車のレンジローバー・ヴォーグ(左)で江ノ島海岸ドライブデートを楽しむ徳井。当時の徳井は、セカンドカーにBMW・Z8を所有していた
’12年、愛車のレンジローバー・ヴォーグ(左)で江ノ島海岸ドライブデートを楽しむ徳井。当時の徳井は、セカンドカーにBMW・Z8を所有していた

「チュートリアル」徳井義実の“所得隠し”発覚で、注目を浴びるようになったお笑い芸人の“個人事務所”。芸能界の“個人事務所”は昔からあるもので、お笑い芸人だけでなく役者やタレント、アーティストなど、個人事務所を設立している人は多い。

一概に個人事務所と言っても芸能界の場合、その“形態”は大きく2つに分けられる。どこかの芸能プロダクションや企業に所属することはなく、完全に独立した「自分をマネジメントする個人事務所」と、今回の徳井のように「ほかの事務所に籍を置きながら作った個人事務所」だ。ここでは、この“事務所内個人事務所”について触れるとしよう。

所属する事務所がありながら個人事務所を作る場合、主たる目的は節税だ。よく知られていることだが、個人にかかる税金より法人税の方が税率が低いからだ。

「仮に個人事業主だとしたら、4000万円を超えた収入にかかる税金は、控除額を差し引いた金額の45%になります。これが個人事務所なら、資本金1億以下の普通法人の場合はザックリ言って、最大で23.2%となっているため、個人に比べて約半額しか納めなくていいことになるのです」(税理士)

芸能人は、一般サラリーマンに比べ経費の幅が広がるという利点もある。

「海外までショーを観に行ったり、現地のエージェントと食事をしたりすることも、一般の人なら旅行にすぎないのですが、芸能人にすれば将来の海外活動を見据えた調査や営業活動だと主張することもできます。認められれば、その際の航空券代や飲食代、ショーのチケット代なども経費として計上可能です」(芸能プロ関係者)

さらには、個人に比べ法人の方が経費として認められるものは多い。自分が社長を務める法人なら、自分への役員報酬を出すことで、それも経費となる。家族を社員にして給料を払うことも可能だ。

「最近話題のえなりかずきさんや、錦戸亮さん、山本耕史さんも事務所の役員に親族が名を連ねています。芸能人が乗っているベンツなどの高級外車は、購入費用を必要経費として計上する人が多いですね。中には、豪邸さえも自宅兼事務所にしている人もいますよ」(同・芸能プロ関係者)

これだけメリットが多いなら、事務所に所属していながら個人事務所を立ち上げる理由がよくわかる。所属事務所にとっては、ギャラの支払先が変わるだけで、特に問題はないのだから歓迎しているところも多いという。

「ある程度の収入、だいたい3000万円を超えると、確定申告などで経理処理をお願いしている税理士さんから“個人事務所を作った方がいいですよ”と進言されることが多いです」(同・芸能プロ関係者)

“節税”などメリットばかりがクローズアップされているが、それだけではないということなのだ。

「個人事業主と比較すると煩雑な事務作業が多くなり、しっかりとした経理をしなければなりません。法人税の申告も、個人の確定申告に比べて提出する書類が多く、専門家でないと処理できないでしょう。社会保険に加入しなければいけませんし、株式会社だったら株主総会の開催や、役員登記などもしなければなりません。素人ひとりでは無理です。たいていは会計事務所や社会保険労務士、司法書士と契約するか、税理士などを雇い事務処理を任せることが多いです。本来それだけ高収入があるわけですから、報酬を支払って専門家に任せるのが得策です。それでも自分でやらなければならない事務処理も結構あります」(前出・税理士)

それゆえに高所得の芸能人であっても、面倒くさいと言って個人事務所を立ち上げない人も少なくない。つまり、徳井の言う“想像を絶するルーズさ”が本当なら、個人事務所など立ち上げるには無理があったのではなかろうか。

「徳井さんは、もともと税理士に経理処理を依頼していたようですし、何度となく申告を促されていたといいます。その税理士に報酬を払ってすべて任せることもできたはずです。それをしなかったのは、ルーズというよりも、税金を含め、出さないで済むお金はできるだけ出したくなかったのだろうと見られても仕方ないでしょうね……」(前出・芸能プロ関係者)

最初から税金を納める気がなかったとすれば、“節税”もへったくれもないだろう。彼にとっての“個人事務所”は、何の意味もなさなかったということだ。

  • 佐々木博之(芸能ジャーナリスト)

    宮城県仙台市出身。31歳の時にFRIDAYの取材記者になる。FRIDAY時代には数々のスクープを報じ、その後も週刊誌を中心に活躍。現在はコメンテーターとしてもテレビやラジオに出演中

  • 撮影桑田真

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