首里城大炎上 正殿近くで「イベント関係者がタバコ」の目撃情報 | FRIDAYデジタル

首里城大炎上 正殿近くで「イベント関係者がタバコ」の目撃情報

スプリンクラーなど大規模消火設備がなかったことも判明。火災原因を徹底検証する

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11月1日以降、首里城跡地では出火原因を究明するため、沖縄県警と消防による実況見分が行われている
11月1日以降、首里城跡地では出火原因を究明するため、沖縄県警と消防による実況見分が行われている

「まだ夜が明けていない頃、けたたましく鳴り響く消防車のサイレンの音で目が覚めました。何が起きているんだろうと窓を開けたら、遠くで首里城が燃えているのが見えたんです。我が家とは3㎞以上離れているにもかかわらず、蒸し風呂にいるような暑さがこちらにも伝わってきました」(那覇市に住む40代女性)

10月31日未明の午前2時40分ごろ、沖縄県那覇市の首里城から火の手が上がった。駆けつけた消防によって約11時間後には鎮火したが、木造3階建ての正殿など、主要部分のほとんどを焼失。沖縄県警や消防が行った実況見分によると、火元は正殿1階の北側だと見られている。

沖縄のシンボルとも言える建物が、一晩で灰燼(かいじん)に帰した――。現地では哀しみが広がる一方で、怒りの声も上がり始めている。『ハイサイおじさん』などの楽曲で知られる音楽家の喜納昌吉(きなしょうきち)氏は話す。

「首里城の管理は今年2月から『沖縄美(ちゅ)ら島財団』に委託されており、ほどなくして今回の火災が起きました。首里城は世界遺産に認定され世界中から観光客が詰めかけ、多くの利権が生まれました。その利権が優先され、防災設備などのセキュリティが後回しにされたとしたら、それは許されることではありません」

実際、首里城内には消火器などの防災器具は設置されていたものの、スプリンクラーのような大規模消火設備はなかった。しかも、’13年にはそれまで正殿の外に設置されていた「放水銃」と呼ばれる消火設備5基のうち1基が撤去されている。東京理科大学名誉教授で、建築防災学に詳しい菅原進一氏は話す。

「スプリンクラーは文化財には似つかわしくないと言う人がいるのかもしれません。しかし、放水装置は必須でしょう。首里城は木造であることに加えて、塗料には桐油(とうゆ)を使っているため、いったん火が付くと非常に燃えやすい。木造建築における防災では、火が周りの建物に燃え広がる『類焼』を防ぐことが重要です。もしスプリンクラーが設置されていれば、ここまで延焼することはなかったと思います。歴史的な建物を一時的に水に濡らしてしまったとしても、燃えて無くなってしまったら元も子もないのですから」

沖縄県民が怒っている理由はこれだけではない。火災当日に敷地内で行われていたイベント「首里城祭」の準備で、火災の原因になるようなことがあったのではないかと疑う声もあるという。

「イベント関係者の一部が正殿近くでタバコを吸っていた様子が目撃されているので、火の不始末だった可能性もあり得ます。そもそも、文化財の周りで喫煙をするのは、不注意で済まされるレベルではないでしょう」(前出・喜納氏)

焼失してしまった文化財は元には戻らないが、責任の所在を隠蔽するようなことだけはあってはならない。

正殿1階北側から発火したと見られている炎は北殿や南殿に燃え移り、主要建造物のうち、計7棟が焼失した
正殿1階北側から発火したと見られている炎は北殿や南殿に燃え移り、主要建造物のうち、計7棟が焼失した

『FRIDAY』2019年11月22日号より

  • 写真読売新聞/アフロ(2枚目)

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