吉本興業 地方自治体のPR事業受注で稼ぐ「税金喰いビジネス」
人気若手芸人・ミキがたった4回のツイートで100万円を得ていたが、広報契約は京都市だけに留まらず――
醜聞はまだまだ尽きない。
吉本興業は京都市と驚きの広報契約を結んでいた。その内容は所属する芸人がツイッターで地元をPRするツイートをすると、吉本が数十万単位で報酬を得るというもの。実際、人気お笑いコンビ「ミキ」の計4回のツイートに対して、京都市が100万円を支払っていたことが明らかになった。しかも、そのツイートには、「#PR」という表示がなかったため、広告であることを隠した「ステマ」ではないかと大きな騒動に発展したのだ。
元毎日放送プロデューサーで、同志社女子大学教授の影山貴彦教授はこう語る。
「宣伝の投稿なら、#PRをつけることは、いまは芸能界でも常識になっています。今回の件は杜撰(ずさん)なミスで軽く考えていたと思われても仕方がない。にもかかわらず、吉本側は謝罪もなく、ステマではないと主張しています。吉本はコンプライアンスと念仏のように唱えていても組織の再構築ができていないので、その場しのぎで動いているとしか思えません」
近年の吉本興業は京都市にかぎらず、内閣府、法務省、経済産業省、消費者庁などの中央官庁や北海道、福島県、大阪府、大阪市などの地方自治体から、いくつものPR事業を受注している。
なかでも官民ファンド『クールジャパン機構』は吉本とベッタリだ。’14年に、同機構は吉本興業が電通などと組んで始めたコンテンツ発信事業に10億円を投入。’18年にも吉本興業などが手がける大阪城公園での劇場事業に12億円を出資した。そして今年4月には、吉本がNTTと連携して進める教育事業に最大100億円の投資を行うことを決めている。
「国や自治体の仕事に取り組むのは、松井一郎大阪市長や菅義偉官房長官とのパイプもある大﨑洋会長の考えですよ。取りっぱぐれがないうえに、会社の信用を高めるからです。大﨑会長が熱心な海外事業や投資ビジネスも、政府と仕事をする会社ならば進めやすくなる。また、地方自治体の仕事だと売れていない若手を『吉本芸人』というだけで押し込むこともできます」(吉本興業関係者)
コーポレートガバナンスに詳しい弁護士の郷原信郎氏はこう指摘する。
「(吉本興業は)詐欺的宣伝行為を容認したり、契約書すら作成せずに所属タレントを管理していた企業であり、ガバナンスやコンプライアンスなんてあってないようなもの。その点では、公的資金による仕事に関わる資格があるのか疑問です」
ジャーナリストの大谷昭宏氏も言う。
「吉本は興業会社から広告請負の会社に変わろうとしているところがありますね。一連の闇営業問題で、十数人の所属芸人と反社会勢力の付き合いが表面化した吉本と、国や自治体は取引を打ち切らなければおかしいでしょう」
お笑い芸人に「お上のお墨付き」なんて必要ないのではないか――。
『FRIDAY』2019年11月22日号より
- 写真:加藤 慶(1枚目)時事通信(2枚目)