侍ジャパン・周東 “神足”を鍛えた北海道雪中12kmランニング

侍ジャパンで大活躍の周東佑京。50m5.7秒の快速を飛ばしグラウンドをところ狭しと走り回っている。“侍フェラーリ”の異名がついた韋駄天について大学時代の恩師が語る

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快速で世界を驚かせた周東佑京。身長180cm、体重74kgとプロ野球選手にしては痩せ型。育成選手からの侍ジャパン選出は、千賀滉大、甲斐拓也に次いで3人目だ

侍フェラーリ――。

ファンからこう呼ばれる超快速選手がいる。ソフトバンクから侍ジャパンに選ばれた、周東佑京(しゅうとう・うきょう、23)だ。11月11日の「プレミア12」オーストラリア戦では、7回に代走で登場するとスグに二盗、三盗。源田壮亮のセーフティスクイズで、フォローに入った相手投手のタッチをかいくぐり同点のホームを踏んだのだ。

「サインはグリーンライト(機会があれば走ってOK)。絶対にアウトになってはならない場面でしたが、走るつもりで集中していました」

試合後、周東は自信に満ちた笑顔で語った。

周東は決してプロ注目の選手ではなかった。ソフトバンクから’17年に受けたのは育成指名。’18年にファームでチームトップの27盗塁を記録すると、今春から一軍に上がり主に代走として25盗塁を決めた。成功率は驚異の83・3%。だが高校(群馬の東農大二高)時代の周東は、プロ入りなど考えたこともなかったという。進学した東農大北海道オホーツク野球部の元監督・樋越勉氏が振り返る。

「『プロなんて恥ずかしくて口にもできない』と話していましたからね。ただ、東農大二高の練習を見てビックリしました。周東はボテボテの三塁ゴロでも、快速を飛ばしほとんどセーフにしてしまうんです。あんな足の速い選手を見たことがない。本人は高校で野球を辞めようか迷っていたようですが、『オマエの足は必ず大きな武器になる』と説得して東農大北海道に進学させました」

大人しい性格から、大学入学当初は盗塁に積極的ではなかった。樋越氏が続ける。

「『セールスポイントを活かせ』と励まし続けました。アウトになっても決して叱らない。盗塁が成功しだすと、ようやく自分の足の速さを自覚したようで、どんどん積極的になっていきました。周東のお父さんの従兄弟が五輪選手だったらしく(’92年バルセロナ五輪陸上110m障害代表の岩崎利彦氏)、『足の速さは親戚のオジサンに子どもの時から走り方を教わったおかげ』と話していました」

大学時代を過ごした北海道という土地柄もプラスとなった。

「合宿所から球場まで往復12km、部員全員に毎日ランニングをさせました。雪の日もです。おかげで周東の足腰は、相当強くなったと思います。冬場に外で練習できない時は、室内練習場で『バントゲーム』です。ノーアウト1塁の状態から、バントだけで走者を進めるんですよ。走者も常に次の塁を狙うことを求められる。こうした練習の積み重ねが、周東の盗塁技術を磨いたと思っています。ただ周東は当時から痩せていた。身体を大きくするため毎晩寝る前に玉子かけご飯の大盛を食べさせていましたが、食の細い周東にとってはツラい思い出だったと思います」(樋越氏)

大学時代に磨いた足で育成からはい上がり、世界を驚かせた“侍フェラーリ”。プロ野球界に、またニューヒーローが生まれた。

  • 写真時事通信社

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