内臓脂肪を減らすだけじゃない!ここまでわかった「酢」の効力

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カラダにいいと言われている「酢」。その科学的根拠が明らかになってきたのは最近のこと 

人間が最初に作った調味料といわれる「酢」。紀元前5000年ころのバビロニア(現イラク南部)の書物にも登場し、古代ギリシャ時代には医者ヒポクラテスが病人に酢の摂取をすすめていたという記録があるとか。

このように、体にいいと昔から言われている「酢」だが、意外にも科学的根拠が明らかになってきたのは最近のことだという。その健康効果、おすすめの摂り方などを、お酢博士と呼ばれている中山貞男氏に聞く。 

医食同源の考え方から、中国や日本では古くから研究されてきた「酢」。「酢」の研究については、欧米より日本が進んでいるという(写真:アフロ)

「酢」のダイエット効果は様々な実験で実証されている 

酢の主成分は「酢酸」。最近の研究では酢酸が肝臓で代謝されるときにAMPKという酵素が活性化し、脂質の燃焼を促進させることがわかってきた。実際、毎日15㎖の食酢を肥満気味の男女に飲んでもらったところ、内臓脂肪が平均で4.9%、血中中性脂肪が18.2%減少したというデータもある。

「血液中に中性脂肪が多くなると、動脈硬化の原因になるし、膵臓に脂肪がつくと膵臓炎、肝臓に脂肪がつくと脂肪肝になります。酢はこうした病気を予防する効果があるといえます」(中山貞男氏 以下同) 

「酢」の健康効果に深く関連する臓器「肝臓」 

上記の研究結果等でもわかるように、「酢」の健康効果に深く結びついているのが「肝臓」だ。お酒の解毒以外にも、体内で500種以上の化学処理を同時に行っている臓器「肝臓」。その主な働きは食物から摂った糖やタンパク質、脂肪を体内で貯蔵し、必要なときにエネルギーとして供給する“代謝”、お酒などのアルコールや薬、老廃物など、体に有害な物質を分解し、無毒化する“解毒”、脂肪などの消化吸収を助ける胆汁と胆汁酸を生成・分泌などが知られている。このほかにも免疫細胞のコントロールや体温の維持など、健康を保つためのさまざまな役割を担っている。

「酢の大きな役割の一つは、肝臓の働きを助けることです。アルコールの分解も酢の働きで早くなり、二日酔いになりにくくなります。お酒を飲む前に、“酢の物”を食べるといいといわれるのはこのため」 

筋肉疲労の回復と「酢」

酢の効能として、よく知られているのは疲労回復。激しい運動をしたあとは、筋肉に含まれる筋グリコーゲン(糖)の蓄えが少なくなり、それが筋肉疲労の原因と考えられている。このグリコーゲンを生成するのも肝臓の働きの一つ。また、激しい運動をしたときに増加する乳酸やアンモニアを解毒するのも肝臓だ。

疲れているとき、甘いものがほしくなるが、このとき酢を一緒に摂ると、疲労回復を早めることはできる。

スポーツの合間に、水で割ったお酢にハチミツを加えたものを飲むなどするといいでしょう。単糖類を多く含むハチミツは素早くグリコーゲンを生成できます」

いろいろある「酢」。どれも、その効果は同じか?

スーパー等の店頭では、一般的な醸造酢のほかに、黒酢やブドウを原料としたワインビネガーや、ゆずを使ったゆず酢のようなフルーツ酢などが売られているが。その健康効果はどれも同じなのだろうか。

「フルーツ酢とは、ブドウやゆず、レモンやリンゴなどのフルーツに含まれる糖分を酢酸菌を使って、酢酸に変えたものです。当然、上で述べたような働きはあります。

また、少し前から健康効果で注目されている黒酢は、米や玄米の使用量が多く、時間をかけて発酵・熟成されるため、アミノ酸やミネラル、ビタミンなど、たくさんの成分が含まれています。コレステロールや中性脂肪を減らす効果も高く、血糖値の上昇を抑えることも証明されています。積極的に健康増進のためにお酢を使うなら、黒酢がおすすめです」

いわゆる「米酢」として売られているものは、農林規格で製品1ℓあたり40g以上の米(または玄米)を使うこととされているが、「黒酢」はその4.5倍の180g以上の米(または玄米)を使い、自然発酵・熟成させることと定められている。米にはミネラルやタンパク質も含まれている。タンパク質は分解されてアミノ酸になる。黒酢に含まれるアミノ酸量は一般醸造酢の10倍以上という研究結果もある。

「脂肪の多い肉料理に使うと、高脂血症の予防にもなると同時に、アミノ酸の“旨み”も加わっておいしくなります」

日本の酢は海外でも人気だ。写真は、シンガポールのスーパーに並ぶ日本産の酢(写真:アフロ)

効果的な「酢」の摂り方とは 

最後に、中山先生に酢の理想的な摂り方を聞いてみた。

「黒酢なら1日の摂取量は自分の体重×0.5㎖。体重50㎏の人なら25~30㎖が目安です。飲むときは5倍以上に薄めてください。ストレートで飲むのは胃を荒らすのでおすすめできません。このとき気をつけたいのは、炭酸水で割らないこと。というのは、炭酸はカルシウムや鉄分と結びつき、体内に吸収できなくなるから。飲むなら水で割ったほうがいいでしょう。

また、脂肪の消化吸収を助ける効果もあるので、食事と一緒に摂るのがいちばんです」

さらに最近では、酢酸は血管の細胞に作用して、一酸化窒素を作りだす酵素を活性化する可能性もあると考えられている。一酸化窒素は血液をサラサラにする作用があることがわかってきた。

「血液がサラサラになれば、末梢血管まで酸素が送られるので、冷えも改善される。血液循環がよくなれば、新陳代謝も促される。このように、酢を摂ることで、結果的にさまざまな病気の予防になるのです」

中山貞男 医学博士。高脂血症、高血圧、高血糖、肥満など生活習慣病の危険因子に対する薬の作用について研究を続けている。黒酢の健康増進効果に関して、1982年から研究を行い、数々の成果を発表している。著書に『驚くべき酢の効用と健康法』『動脈硬化・成人病を防ぐ黒酢』など。

  • 取材・文中川いづみ

Photo Gallary2

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