「実は、札幌はピザが旨い街!」グルメライター絶賛の隠れ名店6
意外と知られていないけど、美味しいのは当たり前! 道産子グルメライターが選ぶ、絶品ピザの隠れ名店6
札幌といえばジンギスカンにスープカレーに味噌ラーメンが定番ですが、実はもっと旨いものがあるんですよ。その一つが「ピザ」。全国どこでも一緒じゃね? と思うなかれ、ピザとは小麦粉とチーズと野菜と肉・魚介で成り立っているもの。それらの名産地である北海道のピザがおいしくないわけがないのです。ということで、今回は道産子ライターの猫田しげるがこっそり食べ歩いた中から、ピザの旨い店を厳選します。

一つ注意点ですが、この記事ではすでに知られている有名店や、いかにもピザが旨い専門店は選んでいません。そういうのは「○○ログ」で調べればすぐ出てきます。なので今回は、「実はものすごく旨かった」という穴場や、「ピザも旨いけど他の意味でも行く価値がある」という猫田目線でのセレクトですのでご了承ください。
チーズの海に新鮮な魚介類が泳ぐ! 『イタリア食堂 スタッツィオーネ』
JR札幌駅北口すぐ、レトロなビルの2階にあるイタリアンです。20年以上営業しているので札幌では老舗の部類でしょう。道産素材にこだわり、パスタやピザ、おつまみ系や肉魚料理まで豊富に揃えています。「食堂」と言うだけあって、店内は全っ然気取らない雰囲気。ものすごい気を抜いた格好でも行ける、猫田的に大好きなタイプの店です。

ピザ生地はクリスピータイプで、小麦粉は道産ではありませんがチーズは十勝産のゴーダチーズを使用。厚くてふっくらしたナポリ風生地にもできます。
ピザは7種類ありますが、まずは定番のマルゲリータを。ゴーダチーズにたっぷりのイタリア産モッツァレラ、フレッシュトマトにフレッシュバジルとシンプルです。

見てくださいこの純白のチーズ。手で持つのが重いほどてんこ盛りに乗っかってます。生地はカリッ、パリッと軽い食感で、軽い塩気がチーズとよく合います。
しか〜し、この店の真骨頂はこれだけではありません。一番高いので躊躇してしまう「シーフード」1800円(税込)は、ここで頼まなかったら一生悔やむぐらいのクオリティです。

ギャー! もはやピザに見えませんね。よく見ると生地とチーズの上に乗っているのでピザだとわかりますが、まさにピザという名の海に魚介が泳いでいる状態です。いい表現!

新鮮なので生臭さとか一切なく、魚介のダシがチーズにしみわたって、一口一口が幸せ以外の何ものでもありません。どこを食べても違う魚介類の味が楽しめるので、1人で1枚とか余裕でいけますよ。しかもクリスピーなので胃にもたれない。永遠に食べ続けていたいと思いました。

そしてこちら、ピザもおいしいけど色々振り切ったことをやっているお店で、なんと「30日間飲み放題定額制」というシステムが!
3980円で30日間、1日1回、約10種のワインやプレミアムモルツ生、ハイボールなど22種の120分飲み放題が利用できます。昼からでもOK、毎日来てもOK。毎日へべれけになれます。
「赤字になりませんか?」と聞きましたら「なんとかギリギリ!」と気丈な回答でしたので、ぜひ皆様も定額制飲み放題の会員になって毎日ワイン飲みながらピザ食べてくださいね。

イタリア食堂 スタッツィオーネ 住所:北海道札幌市北区北7条西4 東カンビル2F 電話:050-3466-9761 営業時間:11:30~22:30(L.O.22:00、ドリンクL.O.22:00/日曜・連休最終日~20:00) 無休
1500円でピザが食べ放題だと? 『PIZZA JOINT PIKE』
スタッツィオーネが好きすぎて尺とってしまいましたので、駆け足でいきましょう。次は「PIZZA JOINT PIKE(ジョイントパイク)」。地下鉄や市電の駅から少し歩くのですが、上がゲストハウスになっているので、何なら泊まっても良いんじゃないでしょうか。

こちらのピザは札幌でも珍しい「アメリカンスタイル」。何がアメリカンなのかというと、とにかくデカいです。このぐらい。

直径約50cm(と言ってるけどもっとあると思う)、ふっくらしたパンのような生地で、窯ではなくオーブンで焼き上げるのがアメリカ流なのだそう。
ランチはピザ1〜2ピースとサラダ・ドリンクのセットなどがありますが、見逃してはならないのが「1500円(税抜)で90分ピザ食べ放題」のサービス。
ナニー! それはもう猫田的にはトライしないわけにはいかないのです。
食べ放題のピザは、「チーズ」「ペパロニ」「ハラペーニョ」「バジル」の4種です。一気に全部ください! と言ったら「すいません1枚ずつなんです」と申し訳なさそうに断られました。
チッ。なので、1枚ずつご紹介します。




トッピングがかなりシンプルなのもアメリカ流です。そしてこのピザ、生地がものすごくおいしい!
聞くと道産小麦を独自の配合でブレンドした生地を自家製し、ガスオーブンで外カリッと中もちっと焼き上げているそうです。

4枚食べると、正直飽きます(笑)。そこで、なぜかロッカーに入っているシラチャーソースやタバスコ、オレガノといった調味料で味変します。
…と、実は食べ放題にプラス220円でサラダ、フライドポテト、ドリンクも食べ飲み放題になるのです。絶対にこちらも追加するべきです。この日は覆面取材だったのでケチってしまいました。
「トッピングチーズかけ放題」というピザも気になりましたが、どうしても「〇〇放題」に目がいってしまう私。しかしこの日は会社の昼休みだったので90分ピザ食べまくるわけにもいかず、5枚食べたところで未練たっぷりに退散しました。無念〜。
PIZZA JOINT PIKE 住所:札幌市中央区南5条西9丁目1008-10 電話:011-206-8695 営業時間:12:00〜23:00( L.O.22:30) 平日中休みあり 定休日:木曜日
次は1軒目で行くぞ。と毎回思う『ピッツェリア ナポレターナ ラ・タヴォロッツァ』
何度行っても店名を覚えられない。覚えてもすぐに忘れる。しかも、初めて行ったのが飲みの2軒目で、知人に連れて行ってもらったので、場所もうろ覚えでした。

狸小路商店街のはずれの、ほっそい入り口から入る、摩訶不思議空間です。通路の先が開けた空間になっていて、1階にも2階にもびっしりと店が密集しています。最初は「昨日のピザ屋夢だったのかな?」と現実の出来事とは思えなかったほどです。

ここは夜のみ営業している本格ナポリピッツァの店。味はもちろんですがお店のスタッフのホスピタリティが抜群です。一人で行っても適度な距離でかまってくれるのが良い。
イタリア産の小麦と塩で、本場の製法を守って作られるピザはどれを食べても「旨い〜」しか出てこないほど感動的です。定番はマルゲリータで、トマトソースはイタリア産トマトと、安平町(札幌の近く)にあるオーナーの実家で採れたトマトとをブレンド。甘みと酸味のバランスが絶妙です。


生地には生イーストを使用。季節によって時間を調節してじっくりと発酵させ、焼き上げているそうです。まさに「生地を食べるピザ」!
ワインにこだわっていて、ナポリピッツァ発祥の南イタリア産を厳選。2〜3軒目で利用する人が多いそうです。が、酔ってお腹いっぱいの状態では行かないこと! 食べる気、飲む気マンマンで臨んでください。
ピッツェリア ナポレターナ ラ・タヴォロッツァ 住所:札幌市中央区南3条西7丁目6-4 TANUKI SQUARE 1F(狸小路7丁目内) 電話:011-251-5085 営業時間:16:00~翌2:00(L.O.翌1:30) 定休日:火曜日
泊まりがけでも食べに行きたいピザがある『畑の中のレストラン EKARA』
ちょっと足をのばして、三笠まで行ってみましょう。こちらは、農業者であるオーナーの鈴木さんが2019年4月にオープンしたレストラン。何にもない畑の中にあるので、向かっているうちに「道間違えてない?」と不安になりますが、突然オシャレな建物が出てくるのでホッとします。

こちらでは自分の畑で採れた野菜を中心に、地場産食材を使った料理を味わえます。なんと宿泊棟もあるので泊まりがけで来るのがオススメです。
ランチはピザと農園プレートのセットや、肉料理とのセットなどがあります。ピザは「マルゲリータ」や「農園のピザ」などから選べます。農園のピザは、その時期畑で採れる野菜がトッピングされています。


農園のピザはこの日は春菊でした。「えー! 春菊かよ!」と一瞬思ったのですが、イメージに反して春菊はえぐみも苦味もなく、シャキシャキしてサラダ感覚で食べられ、チーズとの相性がとても良いです。
生地の上にあるルッコラのペーストがまた美味。よく考えたら「具が野菜だけのピザって旨いの?」と思いますが、しっかりした生地とチーズ、ペーストの奥行きのある味わいで、ちゃんと満足できます。不思議ですねえ。


宿泊棟は1棟貸しで、グループ利用もできます。お泊り女子会なんて良さそうですね(しないけど)。あと、畑ではリンゴを栽培していて、いずれこのリンゴを使ったシードルを作りたいのだとか。そりゃ旨かろう! 楽しみですね。
畑の中のレストラン EKARA 住所:北海道三笠市萱野158-1 電話:01267-2-5530 営業時間:ランチ 11:30〜15:00 (L.O.14:00)、ディナー 17:00〜20:00 (L.O.19:00)定休日:月・火曜日 道央自動車道三笠I.Cから約5分。または、札幌駅前バスターミナルから北海道中央バス 「高速みかさ号三笠市民会館行き」1時間12分の「萱野」下車徒歩約12分
隠れ家にもほどがある『ばんけい峠のワイナリー』
またまた猫田的に大好きな空間なのですが、ここでピザが食べられることは、多分札幌市民にもあまり知られていません。

札幌初のワイナリーとして、2000年に開設した醸造所。道内で育てたブドウ、そして自分の畑で育てたブドウ、ハスカップなどを使ったワイン醸造に取り組んでいます。
オーナーの田村修二さんは経済産業省を経て、パリで経済協力開発機構(OECD)に勤務、世界各地で地場産品作りに携わったという、何で札幌に住んでいるのか謎な超エリートなのですが、札幌が気に入っちゃったそうです。
通常はワイン醸造と販売を行うこちらでは、週末のみテラスカフェを開設。テラスって言っても仕込み場に椅子とテーブルを置いた、わりとワイルドな空間ですが、アットホームで落ち着きます。

こちらの自慢は「タルト・フランベ」。フランス風ピザで、生地は道産小麦を使いこの上なく軽やかにパリッと焼き上げています。
天才って「何でも極める」という性質があると思うのですが、田村さんはチーズもベーコンも自分で作っちゃう研究者&職人肌。自家製チーズの在庫がある時は、このタルト・フランベにも自家製リコッタチーズを使います。
シャキシャキのタマネギがてんこ盛りで、歯応えも香りも良いことこの上なし! クミンなどのハーブが効いて、初めて食べた時おいしすぎて笑えたほどです。余談ですが別日にカメラマンと一緒に訪れたところ、「今まで食べたピザの中で一番おいしかった」と感動していました。ふふん。

このニョッキもおいしいんですよ。何のニョッキかというと「フキノトウ」。一瞬ギョッとしますが、食べてみると衝撃を受けます。フキノトウがこんなにクリームと合うなんて!
「ばんけい」というからどんな辺鄙な場所かと思いきや、札幌中心部からバス1本で行ける上にバス停の目の前が店なので、旅行中でもサクッと行けます。

ばんけい峠のワイナリー 住所:札幌市中央区盤渓201-4 電話:011-618-0522 営業時間:10:00~16:00(カフェは土日のみ) 定休日:水・木曜日 地下鉄東西線円山公園駅バスターミナル4番乗り場から、ばんけいバス「ばんけい行き」バスで約10分の「森学舎・峠のワイナリー前」下車すぐ
チェーン店だと思って侮らないでほしい『ミア・ボッカ』
札幌市内に5店展開し、他にもさまざまな業態の店を持ついわゆる「チェーン店系」ですが、札幌が本社なだけにここの北海道食材へのこだわりはすごいです。
ピザ生地は「春ゆたか」「きたほなみ」「ゆめちから」の道産小麦をブレンド。チーズやバターなど乳製品も北海道産。個人店では原価がかさむので絶対無理です。できたとしてもすごい高くなります。大手だからこそ実現できるんですね。
「美味しい野菜を作りたい!」という熱い若手農家の野菜研究グループ「なまら十勝野」と契約を結び、おいしい新鮮な野菜を仕入れています。
とにかく安いです。「ハーブ香るチキンとキノコのマリネ」390円とかサイゼリアかよ! て感じです。

ピザはマルゲリータ990円(小さめのピッコロなら690円)〜で、平日ランチならサラダ、ドリンク付きで880円(いずれも税抜)。安くて旨い。これ以上何を求めるというのでしょうか。
道産小麦って本当に美味しいと思います。昔は良い小麦がなかったのですが、どんどん品種改良が進み、今ではパンやピザ生地に向いた「もっちり系」の小麦が採れるようになりました。

何これ? と言われそうですが、「中札内鶏の“白雪”シーザーサラダ」790円(税抜)です。鶏肉の上に雪のようにチーズがかかっています。
かなりの頻度でランチ利用します。系列店「ミア・アンジェラ」も飲み放題付き料理11品コース4000円とか、ありえない価格です。

実は関東にも店舗がありますが、なぜか立川とか武蔵境とか、郊外にしかありません。やはり産地で食べる北海道イタリアンは一味違うと思います。
ミア・ボッカ北2条店 住所:札幌市中央区北2条西3丁目1-20 sitatte sapporo2F 電話:011-211-6585 営業時間:11:00~15:00、17:00~23:00(日・祝~22:00) 無休
というわけで、猫田目線で札幌のピザをご紹介しました。まだまだ札幌には、「実は旨いグルメ」が潜んでいるのです。しかも地元民は普通に食べているけど観光客は知らないところばかり。
パフェばっか食べてんじゃねえぞ! 毒づいたところで、また今度!
取材・文・写真:猫田しげる
1979年北海道函館市生まれ。京都のタウン誌、北海道の新聞地域面、東京の街歩き雑誌、旅行本などの編集・ライター業に従事。2019年4月から拠点を札幌に移動し、ウェブライターとしてデカ盛りから伝統工芸まで幅広い分野で執筆。弱いのに酒好きで、「酒は歩きながら飲むのが一番旨い」が人生訓。