雅子皇后「涙の理由」 11.10 祝賀御列の儀の裏側で
天皇即位パレードが、秋晴れの中で実施された。天皇皇后両陛下を乗せたオープンカーは、皇居を出て赤坂のカーブをゆっくり下ってゆく。車列は平均時速9㎞程度と、早足で追いつけるぐらいの超スロー運転に設定されていた。
全国から配備された警備2万6000人と駆けつけた群衆11万9000人の前で一大イベントが繰り広げられた。
たった一瞬の出来事だった

観衆の列が途切れた一瞬、雅子皇后はそっと、ハンカチで涙を拭った――。
11月10日、秋晴れの下、天皇陛下の即位を祝うパレード『祝賀御列の儀』が行われ11万9000人もの人々が詰めかけた。2万6000人の警察官が動員された厳戒態勢のなか、燕尾服姿の天皇陛下と白いドレス姿の雅子皇后はオープンカーに乗り、皇居から赤坂御所までのおよそ4.6㎞の道のりを通っていった。
「雅子さま~!]
「おめでとうございます!」
沿道から降り注ぐ歓声に笑顔で手を振り応えていた雅子皇后が、涙を堪えきれなかったのには理由がある。
「ここまで辿り着けたことの喜び、そして国民への申し訳なさなど様々な思いが胸に去来されたのではないでしょうか。雅子皇后は適応障害に悩まされ、思うようにご公務がこなせない期間が長かった。それでも国民がこれだけ多く駆け付け、祝ってくれた。嬉しさだけでなく、国民の思いに応えなくてはという複雑なお気持ちもあり、涙を流されたのだと思います」(皇室ジャーナリスト・神田秀一氏)
雅子皇后が涙を拭った直後、オープンカーは大歓声の青山通りへ抜けていった。「皇統の継続」など、令和の皇室が向き合わなければならない問題は少なくない。この日流した涙には、新時代に向けた決意の意味も含まれていたのかもしれない。
国際感覚を持った両陛下
オックスフォード大学に留学して寮生活も経験した天皇陛下と、帰国子女でハーバード大学への留学もあり、外務省に勤務していた雅子皇后。華麗な経歴と卓越した才覚を持つ二人は、令和の新時代にどんな公務をするのだろうか。
「雅子皇后の病気のこともあるので、まずは外国訪問よりも海外からの賓客と友好を深めることが第一になりそうです。両陛下は国際感覚を持ち、通訳なしでも海外の賓客と会話ができるため、関係を円滑に進められるはず。’20年の東京五輪では重要な場面に必ず参加するでしょう。天皇陛下は皇太子時代、けっして日本と関係が深くはなかったモロッコを訪問し、皇室とアラブ諸国との親密な関係の礎を築いた。今後も外交上の思惑や経済的な結びつきを超え、国際的な協調のために皇室が果たす役割は大きくなるでしょう」(全国紙皇室担当記者)
利益の主張によって衝突しがちな外交の面でも、皇室の力が機能する。
「天皇陛下が国際関係において取り組んでいくテーマは、陛下が以前より興味を持たれていた〝気候変動〟ではないでしょうか。天皇ですから直接的に外交に働きかけることはありませんが、自国第一を掲げる大国の流れに対し、それを是正するような存在になるのではないでしょうか」(皇室ジャーナリスト・神田秀一氏)
新天皇即位により、これまで以上の国際親善の役割が世界から期待されている。










『FRIDAY』2019年11月29日号より
撮影:鬼怒川 毅撮影:濱崎慎治撮影:西原 秀写真:時事通信社