街路灯の歴史から見る「栄える商店街」「廃れる商店街」

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

普段何気なく通り過ぎている商店街。昭和から続く多くの街が厳しい状況に置かれ、シャッター通り化している中、まだまだ頑張っているところもある。

だが、八百屋、肉屋、魚屋といった古くからの個人商店は惜しまれつつ閉店、その後に大手チェーン店が次々とオープンし、街の個性はどんどん失われていく。そんな商店街の歴史を照らし続けているのが街路灯だ。そのモチーフから、商店街の意外な個性を知ることも多い。

昔の商店街はネオンサインで飾られ、いまより華やかで目立っていた。写真は、神奈川県・野毛商店街のゲートと街灯 写真提供:日本街路灯製造株式会社

廃れていく商店街の共通点とは?

東京都内を中心に現在60件以上の商店街を取材し、昭和の商店街の今を記録するwebサイト「街てく。今日も、ぶらっと商店街」を運営する株式会社ネクステラの星野氏によれば、廃れていく商店街には共通点があるという。

まずメイン通りの個人商店から閉店し、大手チェーンの飲食店、美容院、マッサージや整体、不動産屋が増える。その理由としては大手スーパーの出店も大きいが、なんといっても後継者不足だ。なんとか店を続けていても、馴染みの客は高齢化で減っていく。そして客が減った個人商店では扱う商品数が少なくなり、さらに客足が遠のくという悪循環が生まれる。

いまでも活気を保っている商店街。それぞれの強みとは

その一方で活気を保っている商店街もある。そのひとつは世田谷の松陰神社通り松栄会商店街だ。ここはメインの通りが神社の参道になっており、観光で訪れる団体も多いのが一つの特徴だ。バリアフリーの通りは、常に人が行き交い賑やか。ここでは青果店、魚屋、肉屋といった古い個人商店も残りつつ、若い世代による新しい店が次々と出店している。古い建物のリノベーションで開店するところも多く、レトロな雰囲気も人気だ。

「商店街通りの突き当りにある松陰神社では、吉田松陰先生をお祀りしています。境内には松下村塾を模した建物もあり、幕末好きならぜひ訪れたい場所のひとつ。こうしたスポットに接しているのは、商店街の強みといえるでしょう」(株式会社ネクステラ 星野氏 以下同)

松陰神社通り松栄会商店街の街路灯は、文明開化を思わせるレトロモダンなデザイン。電灯はひとつだけというスタイルが、幕末の志士たちの質実剛健さを感じさせる。

ガス灯をイメージさせるシンプルかつレトロなデザイン 写真提供:『街てく。今日も、ぶらっと商店街』

もうひとつは文京区にある地蔵通り商店街。青果店、魚屋、肉屋、に加え、煎餅、和菓子、洋品など、昔ながらの個人店が元気に営業を続けている珍しい商店街だ。車1台分ほどの道は、ゆっくりと散策がしやすい。明治初期から始まるという地蔵通り商店街に、今でも活気があるのはなぜなのか。

「こちらには『お地蔵さんの横丁便』という70歳以上の方を対象としたお買い物配達サービスがあります。配達だけで終わるのではなく、商店街全体が住民と気さくに話せる関係性を築いているようです」

高齢化を前向きにとらえたコミュニティづくりに成功した例といえよう。

地蔵通り商店街の街路灯は、意外にも現代的だ。商店街の入口の左右に、商店街名のプレートを直線的なフレームで囲んだ街路灯が配置されている。

明治初期から続く歴史ある商店街の街灯は、意外にもシンプルで現代的なデザイン 写真提供:『街てく。今日も、ぶらっと商店街』

白熱灯からLEDへ。商店街を灯し続けてきた街路灯の変遷

街路灯の製造を続けて今年で創業70年という、日本街路灯製造株式会社の林氏にその歴史を聞いた。

創業当時、商店街の街路灯は白熱球を電柱に取付けた昭和レトロな電灯傘だった。その後、街路灯にネオンサインをあしらったものが出てきて、蛍光灯、水銀灯、ナトリウム灯と進化。そして10年前からは、街路灯の殆どが省エネタイプのLED光源を使った街路灯に代わってきたという。

林氏によれば、昔の商店街はいまより華やかで目立っていたそうだ。ネオンサインで飾られ、とにかく明るさを追求した時代もあったという。近年街路灯は商店街のわき役となり、デザインはシンプルになった。間接照明も活用しながら、街並みの景観を担っている。材料も、以前は塗装した鉄を使っていたが、いまではステンレスや軽いアルミが使われるようになった。耐久性、耐候性を追求し、近年の大型台風にも耐えられるよう進化しているという。

札幌と思われる街の通りを彩る街灯 写真提供:日本街路灯製造株式会社
岐阜・劇場通りのゲートと街灯 写真提供:日本街路灯製造株式会社
東京・渋谷センター街のゲート 写真提供:日本街路灯製造株式会社

街路灯には商店街の個性が詰まっている

「デザインとしては、すずらんをモチーフにした商店街向け街路灯は多いですね。商店が立ち並ぶ様がすずらんのようであることから『すずらん通り』とか『〇〇すずらん商店街』いった名称の商店街が多く誕生し、そこに由来しているのだと思われます。

弊社が製造する街路灯は、『キャラクターを模したもの』『神社型』『和風型』『洋風型』など、多種多様です。

赤を基調とした神社風のデザイン。浅草伝法院通り商店街振興組合 写真提供:日本街路灯製造株式会社
モダンな中にも、和風テイストを生かしたデザイン。戸越銀座商店街振興組合 写真提供:日本街路灯製造株式会社
ポップさを表現した洋風デザイン。原宿竹下通り商店会 写真提供:日本街路灯製造株式会社

中には、昔の写真をもとに復刻したものもあります。実は個性的な街路灯は沢山あるんですよ」

豊後高田市 新町通り商店街 写真提供:日本街路灯製造株式会社
昭和に建てられ、老朽化した既設の街路灯と同じものを建ててほしいというオーダーにこたえた事例 写真提供:日本街路灯製造株式会社

見過ごしがちな街路灯を通じて、みなさんも自分が暮らす街の歴史に触れてみてはいかがだろうか。

 

取材協力:株式会社ネクステラ 街てく。今日も、ぶらっと商店街 http://machiteku.com/ 、日本街路灯製造株式会社 http://www.gairoto.co.jp/

  • 取材・文浜千鳥

Photo Gallary11

share icon記事をシェアする

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事