20年の新人王は誰だ?明治神宮大会で躍動したドラフト指名選手 | FRIDAYデジタル

20年の新人王は誰だ?明治神宮大会で躍動したドラフト指名選手

中日4位の郡司(慶応大)、ソフトバンク3位の津森(東北福祉大)など、来年の新人王候補のプレーを詳しくレポート!

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慶応大の捕手で4番、キャプテンも務める郡司裕也。ドラフトで中日に4位指名を受けた
慶応大の捕手で4番、キャプテンも務める郡司裕也。ドラフトで中日に4位指名を受けた

高校の部は中京大中京の初優勝、大学の部は慶応大の19年ぶり4回目の優勝で幕を閉じた明治神宮野球大会。大学の部は4年生の集大成の場であるが、今年は例年以上に10月のドラフト会議で指名された選手の出場が目立った。そんなプロ入り直前の選手達の学生生活最後のプレーぶりについてレポートする。

今大会で最も存在感を示したのは中日4位の郡司裕也(慶応大・捕手)だろう。秋のリーグ戦で三冠王を獲得した勢いそのままに、初戦の東海大札幌戦の3回に走者一掃のタイムリーツーベースを放つと、決勝でも先制のツーランと中押しの2点タイムリーを放つ大活躍を見せた。無駄な力の抜けたリラックスした構えからのバランスの良いスイングでスムーズに強く引っ張ることができ、外に逃げるボールを拾う上手さもある。選球眼の良さと捕手らしい読みの鋭さも魅力だ。また守備面もタイプの違う投手の良さを上手く引き出し、ものすごい強肩ではないものの、正確なスローイングも高レベル。攻守に年々スキがなくなってきており、プロでも1年目から一軍の戦力として期待できるだろう。

捕手でもう一人さすがのプレーを見せたのがソフトバンク2位の海野隆司(東海大)だ。決して大柄ではないが、速く動いて正確に強いボールが投げられるというのが最大の長所。2.0秒を切れば強肩といわれるイニング間のセカンド送球で、今大会筆者の計測で最速1.78秒をマークしており、これは間違いなくプロでも上位のレベルだ。打っても郡司ほどの長打力はないものの、3試合連続安打を記録。エースの山崎伊織(3年)、抑えの小郷賢人(3年)を故障で欠き、苦心のリードが続いたが最後まで集中力を切らさないプレーは見事だった。

他の野手では柳町達(慶応大・ソフトバンク5位)も3試合で10打数4安打3打点と持ち味を発揮した。無駄な動きの少ないシャープなスイングで、コースに逆らわずに広角に打ち分けるバッティングが光る。大学生にしては細身なのが課題だが、運動能力の高さも持ち味だ。本職の外野だけでなく、サードやセカンドも守れるユーティリティさも持ち合わせており、退団が濃厚な福田秀平の後釜として期待できる選手だ。

投手で素晴らしいパフォーマンスを発揮したのが橋本侑樹(大阪商業大・中日2位)津森宥紀(東北福祉大・ソフトバンク3位)の二人だ。橋本は東海大札幌を相手に2回途中からマウンドに上がり、6回を投げて被安打2、6奪三振、1失点と見事なロングリリーフで試合を立て直した。サウスポーらしい角度のあるストレートは最速148kmをマークし、打者の手元で鋭く変化するスライダーとチェンジアップも一級品だ。

東北福祉大の津森宥紀。サイドスローから放たれるストレートは「エゲツない」と表現してもいいほど
東北福祉大の津森宥紀。サイドスローから放たれるストレートは「エゲツない」と表現してもいいほど

津森も対東海大戦の7回からマウンドに上がり、9回にはまさかの4失策でサヨナラ負けを喫したものの、打者12人をノーヒット、6三振を奪う好投を見せた。躍動感のあるサイドスローから投げ込むストレートは数字以上の勢いがあり、クロスに踏み出すため独特の角度があるのも持ち味。走者を背負っても球威が落ちず、最後まで打者にフルスイングを許さなかった。ともにリリーフとして早くから戦力になる可能性が高い。

一方でプロ入りに向けて大きな課題を露呈したのが大西広樹(大阪商業大・ヤクルト4位)福森耀真(九州産業大・楽天5位)の二人だ。大西は東海大札幌戦で先発したものの、ストレートの最速は141㎞にとどまり、打者9人から5安打を浴びて早々に降板となった。不運な当たりも多かったが、高めに抜けるボールが多いのは大きな修正点である。福森も金沢学院大戦に先発して最速149kmはマークしたものの、4回途中3失点でマウンドを降りた。投球リズムが単調で打者はタイミング取りやすく、スピードほどの威力が感じられないのがもったいない。ともにプロで勝負できる武器を確立する必要がありそうだ。

それでも全体的には郡司を筆頭にプロ入りする選手の活躍が光る大会だった。それぞれが持ち味を発揮し、プロの舞台でも輝きを放ってくれることを期待したい。

  • 文・撮影西尾典文(にしお・のりふみ)

    スポーツライター。愛知県出身。’79年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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