ひと目で分かる!飲み方間違ったら「死ぬかもしれないサプリ」 | FRIDAYデジタル

ひと目で分かる!飲み方間違ったら「死ぬかもしれないサプリ」

多くのサプリと飲み合わせが悪い「抗血栓薬」は脳内出血を起こすことも

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薬との“飲み合わせ表”公開

薬棚の前で、サプリと医薬品の飲み合わせが引き起こす様々なリスクについて解説する薬剤師の堀美智子氏
薬棚の前で、サプリと医薬品の飲み合わせが引き起こす様々なリスクについて解説する薬剤師の堀美智子氏

「たとえば『青汁』にはカリウムが多く含まれているんです。高血圧治療のためにACE阻害薬やARBを服用している人は腎からのカリウムの排泄が抑制されるので、青汁を飲むと血中のカリウム値が過度に上昇してしまう。そうなると、筋肉に力が入らない、あるいは不整脈などの症状がみられることがあります。カリウム濃度が極めて高くなると、心臓が止まることさえある。サプリメントは、医薬品との飲み合わせを間違えると、命にかかわる危険もあるんです」

そう語るのは、サプリメントと医薬品の相互作用に詳しい薬剤師で医薬情報研究所エス・アイ・シー取締役の堀美智子氏である(上写真)。堀氏が経営する公園前薬局(八王子市)では、医薬品が入った棚の引き出しごとに、一緒に飲んではいけないサプリのシールが貼られ、分かりやすく表示されている(2枚目写真)。

健康ブームの高まりによって、手軽に栄養素を補えるサプリは、現代人の日常生活に欠かせないものになっている。だが、その一方でサプリは薬との組み合わせ次第では、むしろ身体にとって有害になりかねないことが専門家によって指摘され、社会問題になりつつある。

薬剤師で医療ジャーナリストの吉澤恵理氏が言う。

「サプリメントには、成分の含有量に規制や基準がありません。ですから、有効成分の含有量が極端に低いものから高いものまで様々です。その量によっては、治療のため薬を飲んでいる場合、併用することで身体に悪影響となることがあります。また、天然・自然由来成分という謳い文句があるサプリには、安全と言うイメージを持つかもしれませんが、アレルギーなどの原因となることも少なくありません」

前出の堀氏もこう指摘する。

「サプリと医薬品の個々の飲み合わせの危険性について、詳しく知らない医師も多いと思います。重要なことは、処方箋を薬局に持っていったら、窓口で『サプリと一緒に飲んでいいのかどうか調べてください』と伝えることです。それを調べてくれないような薬局は選ばないでください。私どもの薬局ではサプリを持ってきてもらえば、そのメーカーに連絡をして成分の分析結果を送ってもらうなどきちんと調査します」

サプリでもっともよく飲まれている製品の一つが、『ビタミンC』だ。これすらも、飲み合わせには要注意だという。

「アセタゾラミド(利尿薬)と一緒に大量のビタミンCを摂取すると、腎・尿路結石につながる恐れがあります」(堀氏)

また他のビタミンサプリについても、抗血栓薬を服用している人は注意が必要だ。前出の吉澤氏が言う。

「『ビタミンA』を大量に摂取すると、ワーファリンなどの抗血栓薬の作用が強くなりすぎて、出血しやすくなります。また『ビタミンE』も大量摂取とワーファリンとの飲み合わせで出血しやすい状態になります」

血液を固まりにくくする薬は多くのサプリと飲み合わせが悪い。堀氏が語る。

「抗血栓薬や抗凝固薬は血液を固まりにくくします。ビタミンEをはじめ、いわゆる血液をサラサラにする効果があると言われている『イチョウ葉エキス』や『DHA』『EPA』も一緒に飲むと、作用が強く出すぎるので併用は避けるべきです。たとえば、胃から出血した場合、普通ならしばらく経てば血が固まって止まるところが、いつまでも止まらずに吐血してしまうこともありうる。さらに言えば、脳内出血にもつながりかねません」

関節痛を和らげる効果があるとして、中高年に愛飲者が多い『グルコサミン』も同様だという。堀氏はこう続ける。

「グルコサミンとコンドロイチン硫酸を一緒に配合したサプリの摂取によって、抗凝固薬の作用が強くなりすぎたという研究報告があります。サプリを止めて、薬剤の服用を優先したほうが安心です」

ビタミンに次ぐ人気サプリと言えば、骨の形成に必要な『カルシウム』だろう。これも飲む前に、確認が不可欠だ。強心剤「ジゴシン」(ジゴキシン)と一緒に飲めば、薬剤の強心作用が強くなりすぎてしまう。吉澤氏が解説する。

「ジゴキシンは、心筋細胞内のカルシウム濃度を増加させる作用があり、狭心症および心房細動に対して用いられる薬剤です。これを服用したうえでサプリでカルシウムを大量に摂取すれば、血中カルシウム濃度が上がりすぎて、ジゴキシン中毒(嘔吐、下痢、めまい、不整脈など)を引き起こす可能性があります」

クスリの吸収を妨げることも

また、カルシウムはビスホスホネート系の骨粗鬆症薬と組み合わせると、薬剤の体内への吸収を減少させて、効き目を弱めてしまう。サプリとの飲み合わせによって、薬の作用が強くなりすぎるだけではない。その逆も起こるのだ。

「カルシウム以外にも、『鉄』をはじめ、『マグネシウム』などミネラルを含むサプリメントは、一部の薬の体内への吸収を妨げ、十分な効果が得られなくなります。同じ理由で『ウコン』にも注意してください」(堀氏)

ウコンはお酒好きにはとってポピュラーなサプリだが、飲み方には慎重な判断が必要となる。堀氏が言う。

「ウコンは肝臓に良いと思われていますが、まったく逆効果になることもあるのです。肝臓は、腸からの鉄の吸収を抑制する物質(ヘプシジン)を作っているのですが、肝炎(特にC型肝炎)の場合、これが低下するため鉄の吸収が促進し、血液中に多くなった鉄分が過剰に肝臓に蓄積する。その結果、鉄分が肝臓を酸化させ肝炎を増悪してしまう。ウコンはものによっては鉄分を多く含んでいるんです。肝臓の調子が悪いといってウコンを飲み続けると、鉄分がたまり重大な肝細胞障害を引き起こす危険があります」

トクホと呼ばれる特定保健用食品についても、薬との飲み合わせは事前にチェックしよう。

「血圧が高めの人」に向けたトクホは、高血圧治療薬を服用している場合は、作用が強くなりすぎると言われる。また、「血糖値が気になり始めた人」を対象にしたお茶などのトクホは、糖尿病治療薬と併用することで、低血糖の原因になるおそれがある。「食物繊維入り」のトクホは、薬の吸収を妨げる。これも糖尿病や脂質異常症の治療薬との併用は避けたほうがいいだろう。

吉澤氏は、サプリと薬の飲み合わせについてこうアドバイスする。

「複数のサプリメントを飲む場合は、成分を確認し重複しないようにすること。また、天然・自然由来成分などの場合、具体的にその成分を確認することも大切です。そして、医薬品を服用している場合は、まず医師に相談する。あるいは、サプリメントを製造する会社や保健所、薬剤師会などの相談窓口に飲み合わせについて問い合わせをしてください」

注意すべきサプリと薬の「危ない飲み合わせ」については、下の表も参考にしてほしい。いまは自分に合ったサプリを正しく飲む時代。健康のために飲んでいるサプリが原因で健康を害したら、それこそ本末転倒だ。

堀氏が経営する薬局の引き出しには、一緒に飲んではいけないサプリのシールが貼られていた。薬局を訪れる患者のサプリに関する相談にも応じているという
堀氏が経営する薬局の引き出しには、一緒に飲んではいけないサプリのシールが貼られていた。薬局を訪れる患者のサプリに関する相談にも応じているという
いまドラッグストアでは、どこの店舗でも、巨大なサプリメントの専用コーナーがある
いまドラッグストアでは、どこの店舗でも、巨大なサプリメントの専用コーナーがある

『FRIDAY』2019年12月6日号より

  • 撮影小松寛之(1枚目写真)

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