ロッテ・福田と楽天・牧田 選んだ新天地は正解だったのか? | FRIDAYデジタル

ロッテ・福田と楽天・牧田 選んだ新天地は正解だったのか?

ストーブリーグを騒がせた福田秀平と牧田和久。来季は新たなチームでプレーすることになる二人だが、その選択には明暗が分かれた!

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今年の日本シリーズ第2戦でホームランを放った福田秀平
今年の日本シリーズ第2戦でホームランを放った福田秀平

今年のプロ野球のストーブリーグで中心の一人となったのがソフトバンクからFAとなった福田秀平だ。実働9年間で一度も規定打席に到達したことはなく、通算安打255本、通算打率.235という完全な“スーパーサブ”の選手であるが、高い守備能力と意外性のあるバッティングが評価され、西武、中日、ヤクルト、ロッテ、楽天が獲得に名乗りを上げる大争奪戦となったのだ。

FAではないがもう一人水面下で激しい争奪戦が繰り広げられていたのが牧田和久だ。今シーズンは一度もメジャーに昇格することはできなかったが、日本での盤石の実績と先発もリリーフもこなせる器用さから、複数の球団が獲得調査に乗り出していると報道された。

最終的に福田はロッテ、牧田は楽天と契約することとなったが、果たしてこの決断は正しかったのだろうか。各球団のチーム事情から探ってみたいと思う。

まず福田だが、決め手となったのはかつて指導を受けた鳥越裕介コーチの存在だ。プロ入り直後に心筋梗塞で父を亡くして落ち込んでいた福田に対して、同じ時期に乳がんで夫人を亡くした鳥越コーチが励ましたことが強い絆となったと言われている。現在鳥越はロッテで一軍のヘッド兼内野守備コーチという重要な役割を担っており、出場機会を求めて移籍を決断した福田にとっては非常にやりやすい環境であることは間違いないだろう。

しかし現在のロッテのチーム状況を見ると、福田がすんなりレギュラーにおさまるとは考えづらい。センターには今年ベストナインを獲得した荻野貴司、レフトにはベテランの角中勝也清田育宏の二人が控えており、シーズン終盤にライトを守ることが多かったマーティンも来季の残留が大筋で合意したと報じられている。控えも岡大海、加藤翔平の中堅に期待の若手である藤原恭大がおり、ドラフトでも3位で大学ナンバーワン外野手の呼び声高い高部瑛斗(国士舘大)を指名している。FAでもう一人美馬学を獲得したことでその人的補償も発生するが、相手の楽天は外野手が豊富なこともあって、ここで名前が挙がった選手を指名することは考えづらい。これを考えるとチームにとっても福田にとってもベストな判断だったとは言い難いのではないだろうか。

他に獲得に名乗りを上げた球団の状況も見てみると、西武は不動のセンターだった秋山翔吾がFAでのメジャー移籍が濃厚で、安心して外野を任せられるのは金子侑司しかいない。またヤクルトも青木宣親、雄平のベテランへの依存度が高く、バレンティンの退団も有力視されている。福田がレギュラーとして挑戦しやすい環境という意味ではこの2球団の方がマッチしていたように感じる。

かつては侍ジャパンでも活躍した牧田和久
かつては侍ジャパンでも活躍した牧田和久

一方の牧田はどうだろうか。
楽天の投手陣を見ると、今年は二枚看板の則本昂大、岸孝之が揃って故障で長期離脱し、唯一規定投球回に到達した美馬も前述したようにFAでロッテに移籍となった。来季は則本が開幕からローテーションに入ったとしても、その後に続く先発候補で実績があるのは辛島航と今季8勝をマークした石橋良太くらいである。ドラフトでもリリーフタイプの投手を多く指名しており、若手でブレイクが期待できるのも藤平尚真くらいしか見当たらない。そういう状況を考えると、牧田の決断と楽天の補強ポイントはぴったりマッチしているように見える。また年齢構成を考えても、美馬が抜けたことで一枚くらいベテランが入ってもそこまで気になることはない。

牧田の古巣である西武も投手陣が苦しいと言われているが、昨年最多勝に輝いた多和田真三郎(たわたしんさぶろう)、今年初の二桁勝利をマークした高橋光成、チームトップの投球回数を記録した今井達也、ルーキーながら夏場以降だけで7勝をマークした松本航など楽しみな先発投手は意外と少なくない。またドラフトでも上位で積極的に社会人の即戦力候補を指名している。それを考えると楽天の方が牧田の入る余地があるのではないだろうか。いろいろとこのオフに話題となっている楽天だが、牧田の獲得については的確な補強だったという印象だ。

以上のことから牧田はチームにとっても本人にとってもプラス要因が多いが、福田は豊富な外野手の中で埋没してしまう危険性を感じずにはいられない。同じ争奪戦の末の移籍でも、新天地で置かれる立場は明暗が分かれる可能性が高いだろう。

  • 西尾典文(にしお・のりふみ)

    スポーツライター。愛知県出身。’79年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

  • 写真時事通信社(福田)、YUTAKA/アフロスポーツ(牧田)

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