“推し卒”続出の19年 使われなくなったアイドル・グッズの行方

卒業! 引退! 結婚! さよなら僕らが推したアイドルたち

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使われなくなったアイドルグッズの行く末は…

女子アイドル界では今年2019年もメンバーの卒業が目立った。つい先日、12月8日にはAKB48の“最後の1期生”として約14年のキャリアを誇っている現役メンバー・峯岸みなみが卒業を発表。グループの聖地として知られる東京・秋葉原のAKB48劇場の公演で峯岸は「AKBを好きでいられるときに卒業しようと思いました」とファンに明かした。さらに、来年4月2日に横浜アリーナで卒業コンサートを開催すると報告した。

かつて“アイドル戦国時代”にしのぎを削っていたメンバーたちも今年多くが卒業した。1月の日本武道館公演をもって、丸7年に及ぶアイドルとしての活動に終止符を打ったのは元・でんぱ組.incの夢眠ねむ。4月には約11年間の活動期間を数えた元・HKT48の指原莉乃が、横浜アリーナ公演での卒業を迎えた。

さらに、6月にはハロー!プロジェクトから、結成以来6年に渡ってリーダーとしてグループをけん引してきたJuice=Juiceの宮崎由加が卒業し、続けて、のべ15年間アイドルとして生きてきたアンジュルムの初代リーダー・和田彩花もグループを離れた。彼女たちの去就に思いを馳せると、いよいよ女子アイドル界も時代の変革期を迎えたのだと痛感させられる。

一方で、ファン側にもドラマはある。いわゆる“推し”と呼ばれる好きなグループやメンバーを追いかけるファンはライブに足繁く通い、現場で販売されているグッズを購入する。その場その場で、瞬間ごとの思い出をメンバーたちと共有しようと必死なのだ。

そうなってくると気になるのが、“推し”が卒業したあとグッズはどこへ向かうのかということだ。“推し”メンバーとの別れを味わったファンに話を聞き、「気持ちとグッズの行く末」を探った。

専門店へ売った一方で普段づかいできるモノは今でも愛用

40代前半の男性・Aさんは、昨年1月にグループを卒業し、今年11月に結婚を発表して話題を集めた元・ももいろクローバーZの有安杏果を熱心に推していた。彼は「グッズは売れるものだけ売りました」と話す。

今年1月、都内にある高級ホテルの地下駐車場に現れた有安とK氏。この後、二人はK氏の自宅へと帰っていった  撮影:原一平

「グッズはとにかく色々な種類のものを持っていました。さらに、彼女が出ていた雑誌なども数え切れないほどありました。有安さんの卒業が決まってから、グッズの一部は秋葉原にあるアイドルグッズの専門店へ売りに行きましたけど、日常的に使えるものは今でも手元に持っています。タオルは使い潰せるから台所や風呂場でも使っているし、Tシャツやパーカーも部屋着として愛用しています。ただ、未使用のまま持て余しているグッズは、どう処分しようか悩んでいます」(Aさん)

かたや、同じくももいろクローバーZのファンでグループから完全に気持ちが離れたわけではないものの、有安の卒業によりライブへ行く回数が減ったという40代前半のBさんは「これまでの追っかけ活動から学習せず、違うグループのグッズを購入してしまっている」と憂う。

「以前は年に数回単位でライブに参加していましたが、年々、頻度が減り今は昔の友だちに誘われて1回行けばいいほどになってしまいました。ちょうど引っ越しをきっかけにグッズを処分しようと決め、近くに熱心なファンがいたので、ほとんど寄贈しました。ただそれ以降、グッズを増やすのはヤメようと思ったんですけど、今度は別のグループが気になりはじめ、これまで同様に購入してしまっています。ライブへ行くと販売スペースにあるグッズがどうしても気になるんです。いやはや、ファン側の“卒業後”というのは難しいなと思います」(Bさん)

売るにせよ誰かに寄贈するにせよ、その裏には「愛のある別の誰かの手元へ届いてほしい」という願いも垣間見える。

メンバーとの貴重なツーショット写メは未だに消せない

かつてももいろクローバーZやグラビアアイドル・都丸紗也華が所属していたFYTなどを熱心に追いかけていた30代前半のCさんは、生活リズムの変化によりライブからも足が遠のいてしまった一人。これまでの生活では、さまざまなメンバーの卒業はもちろんグループの解散も味わってきたというが、手元にあったグッズは「メルカリやヤフオク!で売った」と話す。

「2011年頃から現場に通い始めたんですが、自分の転職をきっかけに、アイドル自体を追いかけるのが難しくなっていったんですよね。僕にとっては日常生活に活気をもたらしてくれたり、戦友とも呼べるようなファン同志の繋がりができたのも貴重な経験だったのですが、グッズについてはシャツは寝間着として、タオルはお手拭き用に使ったりしていますね。ネットをみているとある程度の価値が付いているモノは分かるので、貴重だと思われるグッズは、メルカリやヤフオク!を利用して売りました」

一方、今でもグループを熱心に追いかける知り合いへグッズを託しつつも「スマホにあるメンバーと撮影したツーショット写真だけはいまだに消せない」とつぶやくのは、40代前半のDさん。彼は、2016年8月にNMB48を卒業した元メンバー・渡辺美優紀を追いかけていた。

「僕はNMB48というより、一人のアイドルとしてのみるきー(渡辺)をとにかく追いかけていた感じでした。彼女の卒業後しばらくしてから、ほとんどのグッズはライブで知り合ったファン仲間にあげました。ただ、かれこれもう3年以上は経っているものの、写メ会と呼ばれるイベントで撮影したツーショット写真は消せないですね。モノは形が残るけど、データは一度消してしまえば二度と戻ってこないと思うと切なくて。今でもときどき、楽しかった当時を振り返ることがあります」(Dさん)

汗を流しながらステージへ精を出すメンバーたちが活躍する一方で、グッズなどには彼女たちを見守るファン側の強い気持ちがにじむ。すでに手離してしまったファンもいたが、回答してくれた彼らの姿はどこか心なしか楽しそうで、好きなグループやメンバーがアイドルとは別の道へ進んだとしても、かけがえのない思い出は色褪せないとつくづく思わされた。

押し入れにしまってあるグッズにも様々な悲喜こもごもがにじむ
  • カネコシュウヘイ

    (編集者/ライター)1983年11月8日生まれ。埼玉県在住。成城大学出身。2008年から出版業界に従事、2010年に独立しフリーランスとなる。以降、Webや雑誌でエンターテインメント系のジャンルを中心に取材や執筆へ注力。月平均4〜5回はライブへ足を運ぶアイドル好き。著書に『BABYMETAL追っかけ日記』(鉄人社)

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