銀行も見放した 大塚家具を子会社化する“ヤマダ電機の思惑”

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カジュアルな店への移行をめざした大塚家具の大塚久美子社長。白百合女子高校から一橋大学へ進んだ才女でもある。’15年撮影

「何かいいアイディアはないの……?」

東京・有明にある大塚家具の本社ビル6階。ガラス張りの社長室で、会社のトップである大塚久美子氏(51)は幹部を前にため息をつくことが多くなったという。

「社長の焦りを強く感じます。会議中に指で机をトントンと連打したり、イスにもたれ宙を見ながらボールペンをいじったりしているんです。深夜まで働き、夜中の1時過ぎでも仕事のメールが社員に送られてくることもある。昼間も食堂に行く時間が惜しいのか、社長室でサンドイッチを食べながら指示を出しています。イラついて『意味がわからない!』と、部下を叱責することもたびたびです」(同社社員)

久美子社長が焦るのもムリはない。父親・勝久氏の高級路線から、低価格にシフトしたが大失敗。経営不振で窮地に追い込まれているのだ。’19年1月~9月期の売上高は、約210億円で前年同期比23%減。営業損益の赤字は30億円近くにのぼる。これで5年連続の減収、6年連続の営業赤字という惨憺たる結果となった。

’15年4月、新宿のショールームでみずから客を迎える久美子社長。「インドアグリーン」をテーマに店内には観葉植物がふんだんに飾られていた

「メインバンクである三井住友銀行も見放し始めています。大塚家具オーナー家の資産管理会社『ききょう企画』は、直近で同行から約5億円の借金があると言われている。三井住友側は、返済のメドが立たないと判断したのでしょう。担保となっていた『ききょう企画』保有の大塚家具86万株を、同行がすべて市場に売却してしまったんです。9月末時点で、大塚家具の預金残高は22億円にまで減少。毎月5億円もの現金が失われています。このままでは来年3月に資金が枯渇する。もう打つ手がない状態です」(経済誌記者)

大塚家具は中国系ファンドからの資金調達に失敗。資本・業務提携する貸し会議室大手ティーケーピーやヨドバシカメラなどに増資をもとめたが、ことごとく断られた。そんな窮状にあえぐ大塚家具と手を組んだ企業がある。

「大塚家具を子会社化する方向で、最終調整しているヤマダ電機です。すでに大塚家具の社員20名ほどが、ヤマダ電機の約10店舗に出向しています」(同前)

銀行すら見放そうとしている大塚家具に、なぜヤマダ電機は接近したのか。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が解説する。

「最近は、家電だけを売っても経営は成り立ちません。賃貸マンションなどでは、家具や家電が入居前に据えつけられているところが増えています。そのためヤマダ電機は『くらしまるごと』をテーマに、家電以外の商品販売にも着手。’11年には住宅販売メーカー『エス・バイ・エル』を子会社化しました(現ヤマダホームズ)。大塚家具を傘下に加えれば、家具だけでなく取引先から修繕のノウハウを得ることができます。もうイチ家電量販店ではない。ヤマダ電機は、生活必需品すべてを売る巨大総合企業に生まれ変わろうとしているんです」

万策尽きた大塚家具は今後、ヤマダ電機の野望達成のため一翼を担うことになる。

久美子社長と対立していたと言われる父親の勝久氏。古くから続く会員制の販売にこだわった
東京・有明にある大塚家具の本社。1000人以上の社員が働いている
’15年4月に新宿ショールームで行われたセール。久美子社長は「希望」という花言葉を持つガーベラを客ひとり一人に渡した
  • 撮影蓮尾真司

Photo Gallary5

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