メジャー挑戦 筒香嘉智の「タンパベイ移籍は正解」これだけの理由

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DeNAからポスティング制度を利用し、メジャー移籍を表明していた筒香嘉智のタンパベイレイズ移籍が決まった。これまで日本球界で本塁打を量産してきたスラッガーは、どんな活躍を見せるのか。元メジャーリーガーの長谷川滋利氏が、その可能性と課題を解説する。

2017年、ワールドベースボールクラシックでの筒香。タンパベイでも背番号は25の予定 (写真:アフロ)

 現地時間13日は朝から、DeNAからポスティングシステムでメジャー移籍を目指していたDeNAベイスターズの筒香嘉智外野手がタンパベイ・レイズと契約したというニュースが駆け巡りました。

 僕の確認した限りですが、現地の番記者や専門誌、さらにCBSスポーツなどが第一報を出して、次いでMLB.comが報じ、さらには日系の現地通信社や新聞社も速報で追った感じでしたね。

 2年総額で1200万ドル、約13億円という契約ですが、年俸総額がメジャー最低であるタンパベイが彼に対してしっかり敬意を払った額であり、2億円を超える譲渡金が入る予定のDeNAも損しない、まずまずの内容と言えるでしょう。

 代理人のジョエル・ウルフ氏が「金額よりも出場機会」といった旨のコメントを出していたようですが、確かにタンパベイでは出場の機会はかなりありそうです。

 今季の外野を振り返ると、例えばポストシーズンでは、ワイルドカードゲーム(vs.オークランド・アスレチックス)や、ディビジョンシリーズ(vs.ヒューストン・アストロズ)のほとんどで、ライトにアビサイル・ガルシア選手(28歳/今季レギュラーシーズン125試合出場20本塁打)、センターにケビン・キーアマイヤー選手(29歳/同129試合14本塁打)、レフトにチーム最多アーチを放っているオースティン・メドーズ選手(24歳/同138試合33本塁打)という布陣を組んでいます。

 これに外野手のトミー・ファム選手(31歳/同145試合21本塁打)、ファーストとレフトをこなす崔志万選手(28歳/同127試合19本塁打)あたりを加えた5-6人で、指名打者とファーストを含む5つのポジションをローテーションさせがら、シーズンを戦ってきました。

 そしてこのオフ、ファム選手を含む複数選手を放出し、サンディエゴ・パドレスから今季、チーム最多アーチをかけたハンター・レンフロー選手(27歳/同140試合33本塁打)らとの複数トレードを成立させています。

 これは若返りと、ア・リーグ11位に終わった本塁打数(217本)の向上を目指したものであることは明らかです。これで来季の外野手の主戦は、筒香選手と同年代、あるいは若い選手となります。順調に調整が進めば、彼も前述のローテーションに組み込まれるでしょう。これはルーキーイヤーとしては、かなりやりやすい環境なのではないでしょうか。

 また、年齢だけでなく、レイズはオープナーという制度を導入したチームとしても知られ、戦術的にも若いチームです。チャレンジという土壌があるので、これも彼にとって追い風ですね。

 そもそも、同地区にニューヨーク・ヤンキースと、ボストン・レッドソックスという2つの超人気球団がいますから、簡単に勝てるシーズンなんて存在しません。ファンも常にプレーオフに出ることが厳しいという現状は十分に理解しているはずです。

 だから筒香選手としては「チームを勝たせるために」というより、自分の打席に集中して「成績が残せればチームの勝利がついてくる」くらいのメンタルで挑んでいいのではと僕は思います。

 その成績ですが、まずは本塁打が求められます。昨季のタンパベイは3割バッターがゼロですから、打率はそこまでも気にしなくてもいいでしょう。

タンパベイの本拠地、トロピカーナフィールドはメジャーでは珍しいドーム球場(写真:アフロ)

 本拠地のトロピカーナ・フィールドはメジャー唯一の人工芝の密閉式ドームで、独特な雰囲気ですが、典型的なヒッターズ・パーク、つまり打者有利な球場です。余談ながら、エンゼルスの大谷翔平選手がサイクルヒットを達成した場所でもあります。

 単純にレフトが96mでライトが98mとア・リーグでもヤンキースタジアムやフェンウェイパークと並んで狭いので、「外野には飛ぶだろうけど、芯はズラしたはず!」というバッターとの勝負でも、スタンドまで運ばれてしまうことが多く、正直に言うと僕はとても苦手でした。

 しかし、逆に言えば打者の筒香選手にとってはおいしい本拠地かもしれません。理想は30本、そしてその先の40本も決して大きすぎる目標ではないと僕は考えています。

 投手との対戦では、ア・リーグで近年、目立っている高めのまっすぐ、専門的に言えばスピンレート(回転数)の多い4シーム(直球)の見極めが大切になってきます。

 今季のア・リーグの防御率3傑右腕、ゲリット・コール投手(ヒューストン・アストロズ→ニューヨーク・ヤンキース)、ジャスティン・バーランダー投手(ヒューストン・アストロズ)、そして筒香選手の同僚となるチャーリー・モートン投手などは、この高めのまっすぐの質と使い方が本当に秀逸です。

 あのボールがあれば、的を絞るのが困難になってきます。スピードボールを高めでうまく見せておいて、落ちるボールで空振りを取る。小さな動きをするムービングボールで引っ掛けさせる。あるいはそのボール自体をゾーンに入れても普通のバッターではファウルで逃げるのが精一杯です。そうして早いテンポでバッターを追い込め、場合によってはストライクを1球も投げずにイニングを終えるなんていうケースもあります。

 筒香選手はまずはこのボールを、いい意味で捨てること。もちろんゾーンの内側にくるボールは振るなりカットするなりしないといけないのですが、極端な話、3球続けて高めのまっすぐを投げる組み立てはそうそうないですから、ずっと変化球を待ってもいいかもしれない。筒香選手は選球眼は良さそうなので中軸、4番や5番に置かれると、ピッチャー心理からすると非常に嫌な存在になってくるでしょう。

 開幕までに、メジャーの活きたボールにアジャストしながら、待つ球と捨てる球を決定する作業が必要です。それができれば彼らしいフルスイングで、アーチを量産する。そんな素晴らしいシーズンが待っているかもしれません。

  • 長谷川滋利

    1968年8月1日兵庫県加古川市生まれ。東洋大姫路高校で春夏甲子園に出場。立命館大学を経て1991年ドラフト1位でオリックス・ブルーウェーブに入団。初年度から12勝を挙げ、新人賞を獲得した。1997年、金銭トレードでアナハイム・エンゼルス(現在のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)に移籍。2002年シアトル・マリナーズに移り、2006年現役引退

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