通行者の顔を片っ端から自動認識 中国政府導入のロボット警察とは

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このロボット警察はバッテリーが少なくなると、自分で充電スポットに向かうので、休むことなく稼動し続ける

中国・吉林省にある長春駅では、ずんぐりとした楕円状のボディを持つ白いロボットが駅構内を動き回っている。子供たちに見つかると、たちまち取り囲まれるほどの人気者だ。

実はこのロボット、見た目こそコミカルだが、中国警察が今年9月末に導入したパトロールロボなのだ。名を「大白(ダーバイ)」といい、次世代通信規格「5G」に対応し、顔認証システムで乗客の顔を片っ端から撮影して捜査当局に転送。当局はデータベースに動画を蓄積しているという。

「駅構内の監視・巡回など様々な機能がありますが、駅の利用者が大白のボタンを押すとWi-Fi回線を介して警察のメインコンピュータにつながり、上半身に付いているスクリーンを通じてテレビ電話ができるのが特徴です。それだけでなく、大白が自ら警察に通報する機能もある。昨年、蘇州のコンサート会場にいた逃亡犯が、顔認証システムを搭載した監視カメラに引っ掛かり、逮捕されるという事例がありました。大白にも同等かそれ以上の精度があるようです」(中国事情に詳しいジャーナリスト・周来友氏)

ロボットには巡回機能があるので、監視カメラに比べて撮影範囲が広い。利用者が多い駅で逃亡犯を見つけるには、なおさら効果的なのだ。

「現在、中国では顔認証による個人の特定が一般化していて、空港からオフィスビルまであらゆるところで活用されています。監視カメラの数は毎年増えていて、中国国内には現在2億台あると言われています。各地に張り巡らされているので、何かの拍子に一度マークされてしまうと、いつどこへ行ったのかという行動が過去までさかのぼって調べられる危険性があります」(中国語ニュースサイト「共同網」創設者の古畑康雄氏)

当局がどんな理由で人々をマークしているかはわからない。たとえばゴミをポイ捨てしただけで、危険人物としてブラックリスト入りする可能性さえある。

「中国国内ではソーシャルメディアも制限されていて、LINEやツイッターは使用することができません。代わりに使えるのが『WeChat(ウイーチヤツト)』というアプリですが、それを使うと誰と何を話していたのかがすべて政府に筒抜けになります。中国では生活のすべてが監視の対象になっているので、現地に住む友人は、オリの中に閉じ込められたような心理的な圧迫感を感じながら生活していると話していましたね」(古畑氏)

「逃亡犯条例」に反対するデモを起こした香港の人々は、監視カメラを破壊していた。彼らが反発しているのは、中国当局が目指す「監視社会」に対してなのだろう。

習近平体制になって以降、中国では監視システムを構築するための治安対策費が大幅に増加

『FRIDAY』2019年12月27日号より

  • 写真Getty Images写真時事通信社

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