「シャバ」は仏教の言葉? 暴力団社会が早わかり“専門用語”解説 | FRIDAYデジタル

「シャバ」は仏教の言葉? 暴力団社会が早わかり“専門用語”解説

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今年1月1日、兵庫県の神戸護国神社を参拝する六代目山口組・司忍組長。同社への初詣は毎年恒例となっている
今年1月1日、兵庫県の神戸護国神社を参拝する六代目山口組・司忍組長。同社への初詣は毎年恒例となっている

「暴力団の社会は独特な業界だけに、さまざまな専門用語・符牒が使われています。それらは賭場や香具師、警察、興行などで使われる言葉が混ざり合ってできている。例えば『ボンクラ』の『ボン』とは賭場のこと。『賭に暗い→賭場での察し・動きが悪い』というバクチの言葉が、転じて『マヌケ』という意味になったんです。暴力団員を表す『ヤクザ』という言葉も、バクチがからんでいます。花札のオイチョカブで8、9、3(ヤ、ク、ザ)を足すと最も悪い手になることから、自分たちを生産性のない社会悪と自虐的に表現しているという説があるんです」

こう解説するのは長年、暴力団を取材してきたジャーナリストの鈴木智彦氏だ。

10月に六代目山口組・髙山清司若頭が出所して以来、暴力団同士の抗争が激しさを増している。ヒットマンによる犠牲者も後を絶たない。鈴木氏によると、暴力団社会では一般人にわかりにくいさまざまな専門用語が日常的に使われているという。代表的な専門用語を、以下に紹介しよう。

【アヤをつける】因縁をつけること。「アヤ」は「文」と書き、「文句」の最初の文字を当てたと言われている。

【エダ】二次団体、三次団体の意味。「枝」からの転意。

【オヤジ】暴力団社会で「親父」とは組長のこと。ナンバー2の若頭は「カシラ」。「オジキ」は組長の兄弟分を表す。

【カエシ】仕返し。抗争でやられた際の反撃。

【ガサ】警察用語。「探す」の逆さ読み。「家宅捜査」を略して濁らせたという説も。

【カタギ】一般人。「堅気」という堅実でまっとうな仕事をしている人の意から派生。

【神戸】本来、暴力団組織は本拠のある土地の名前が代名詞となる。そのため「神戸」は六代目山口組を意味していた。分裂後、対立する神戸山口組が「神戸」の言葉を使ったのは「自分たちこそ正当な山口組」とアピールする狙いがあった。今、暴力団社会で「神戸」と言えば、一般的には神戸山口組をさす。

【シカト】賭場用語。無視の意味。花札の10月の絵柄に描かれた鹿が、ソッポを向いて無視しているように見えることから。

【ジギリをかける】抗争相手の組員を殺害して刑務所に入ること。ヒットマン。自分を犠牲にする「自切り」から転意。

【シノギ】収入を得るための手段。「糊口をしのぐ」が転じて「稼ぎ」に。

【シャバ】仏教用語。この世を表す「娑婆」が転じて「刑務所の外の社会」。

【シャブ】覚せい剤のこと。一度経験すると骨の髄まで「シャブられる」が語源だという。略して「S」と言うことも。

【タタキ】警察用語。強盗のこと。住民を叩き起こして家屋に侵入することからつけられたとか。「強」という文字を使うことから「ユミヘン」とも言う。ちなみに警察用語では「サンズイ」とは汚職、「ウカンムリ」とは窃盗、「ゴンベン」とは詐欺、「ニンベン」とは偽造、「ラジオ」とは「無線」と「無銭」を合わせ「無銭飲食」を表す。

【チャカ】拳銃のこと。引き金をひく際に、「カチャ」という音がすることから名づけられたという。

【デコ】警察官のこと。警官がかぶる帽子のおデコのあたりに徽章があるため。「デコスケ」とも。

【B担当】警察用語。暴力団担当の警察官、刑事。暴力団の頭文字をとった。飲食店やホテル業界などでも使われるという。

【ポン中】薬物中毒の意味。戦後間もないころに多くみられた「ヒロポン中毒」や、注射器を表す「ポンプ」など語源には諸説ある。「タマポン」とは、たまに薬物を使用すること。

【ヤクネタ】トラブルメーカーのこと。「ヤク」が「厄」から来ていると言われる。自分たち自身がトラブルメーカーなので、暴力団社会では悪いニュアンスではない。

【ヤッパ】刃物のこと。「刃(やいば)」から転じたとされる。

【レンコン】回転式拳銃。レンコンのような形状からそう言われる。

紹介した専門用語の中には、一般的に使われている言葉もある。「一か八か」「一点張り」なども、賭場が由来となった言葉だ。暴力団用語の語源を調べると、日本の意外な裏社会が垣間見えてくる。

  • 撮影朝井 豊

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