羽生結弦 ネイサン・チェンとの激闘で見えた「金メダルへの道」
ネーサン・チェンとの激闘を振り返ると、再び世界最強に返り咲く道筋が見えてきた
12月5日から7日、イタリア・トリノで行われたグランプリファイナルで
前王者と現王者がプライドをかけて激突した。
結果、王座奪還はならなかった羽生だが、
来年3月の世界選手権でのリベンジと
そして自らが理想とするスケートの実現に向け確かな一歩を刻んだ――。

「自分にとっては4回転アクセル、4回転半というのは王様のジャンプ。それをやったうえでフィギュアスケーターとして(理想の演目を)完成したいという気持ちは強いです」
グランプリファイナル激闘後の12月8日、記者会見で前人未到のジャンプへの思いを語った羽生結弦(25)。
ネイサン・チェン(20・米国)から王座を奪還すべく臨んだ今大会だが、5日のショートプログラム、7日のフリーともチェンに次ぐ2位に終わり優勝を逃した。
だが、羽生にはチェンにない強みがある。それが4回転アクセルだ。世界選手権などで活躍し現在はプロスケーターの渡部絵美氏は解説する。
「前脚で踏み切って後ろに降りるアクセルは、後ろ脚で踏み切るルッツやフリップと違い、誤魔化しが利かないシビアなジャンプですが、ネーサンはこのアクセルが唯一と言っていいほど苦手。いっぽう羽生選手が4回転アクセルを完成させる可能性は十分にあります。アクセルを決めつつ他の難易度の高いジャンプをミスしない体力が勝負のポイントでしょう」
ショートプログラムを終えた翌日の6日、羽生の練習中に周囲がざわめいた出来事があった。公の場で初めて4回転半に3度挑戦したのだ。惜しくも成功はしなかったが、機は熟していると言っていいだろう。来年3月の世界選手権での大技投入について「頑張ります。そのつもりで」と明かした羽生。3ヵ月後、次の決戦地・カナダで雪辱を果たす――。




さらなる高みを目指して―― 公の場で初めて4回転アクセルに挑戦


勝負には負けたが、自分の中の勝負にはある程度勝てた。 また一歩強くなれた

ジャンプもダンスも完璧 世界最高得点で優勝したチェン



羽生結弦には 金メダルしか似合わない

『FRIDAY』2019年12月27日号より