漫画『お嬢と番犬くん』で極道×溺愛のギャップにハマる女子急増中 | FRIDAYデジタル

漫画『お嬢と番犬くん』で極道×溺愛のギャップにハマる女子急増中

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5年ごとに変わる“モテ男”の流行。2001年にはEXILE人気を反映した「オラオラ系」、2006年頃には長引く不況下で恋愛に重きをおかない「草食男子」がもてはやされ、同時にスポーツ界に端を発した「王子キャラ」が人気に。2008年には「壁ドン」の言葉と共に、クールで冷たい「俺様」や「ドS男」が流行した。

そして今、女性の人気を集めているのが「溺愛キャラ」! 愛される側が重く感じるほど甘々で過保護な男性の魅力はどこにあるのか? 人気急上昇中の少女漫画『お嬢と番犬くん』の作者・はつはる氏へのインタビューを交え、「溺愛」ブームを考察してみよう。

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『お嬢と番犬くん』(著者・はつはる)

頑張るのに疲れた!? 今ドキ女子の願望は“甘やかして欲しい”

漫画をはじめ、創作の世界の女の子は今までずーっと頑張ってきた。

自分の主張を押し通すことが男らしさだという「オラオラ系」男子には母親のように尽くし、優しいけれどちょっぴり頼りない「草食男子」の手を引いて先を歩き、モテモテで目が肥えた「王子キャラ」相手には、“フツーとはちょっと違う女の子”をアピールするために自立した姿を見せる。超絶クールな「ドS男」は本当にやっかいで、がんばって女磨きをしても振り向いてもらえないと思ったら、なんてことのない手料理にコロリと傾くなど、終始翻弄されっぱなし。

そんな“果てしない戦い”に疲れてしまった女の子たちが、「最初から自分を愛して、決してよそ見をせず、めちゃめちゃ甘やかしてくれる相手」を求めるのは当然の話、いや、時代の必然ではないだろうか。

“溺愛”ブームの徴候は、すでに2017年頃からあった。当時はつはる氏が連載していた『毎日キスしていいですか?』に登場する、妹を溺愛するキャラクター・あたかが、読者にとても人気があったという。『お嬢と番犬くん』は、そんな時代の潮流をうまく捉えて誕生したのだ。

極道の“萌え”ポイントは怖さとかわいさのギャップ!

「溺愛」ブームと同時に、女性向け作品で話題になっているのが極道とJKの恋物語。特に「未成年で世間知らずの女の子」は、溺愛される側にはピッタリの設定だ。そして「極道」は、あらゆる危険からガッチリ女の子を守ってくれるヒーローに最適。

純真な女の子が、ダークな一面を持ったイケメンに惚れる話はよくある。しかも、年が本当に若いイケメンの若頭(注:昔の邦画に出てくる若頭は総じてオジサンばかり)なら、俠気にあふれ、決めたことは最後までやり通す強そうなイメージが強い。そんな普通の男の子にはない意思と腕力の強さが、「こんなイケメンに守ってもらいたい」という女性心をくすぐるのかもしれない。

『お嬢と番犬くん』に登場する“番犬くん”の宇藤啓弥も、ヤクザのイケメン若頭だ。極道キャラをヒーローにした理由について、はつはる氏は“ギャップ萌え”を挙げた。

「ニコニコしているけれど、腹の中ではなにを考えているのかわからないみたいな、ちょっと残忍な一面を持っているアウトローなキャラが好きで。そういう、ちょっとクズの香りがするヒーローを描いてみたら、おもしろいんじゃないかなと思いました。見た目は紳士っぽいけれどサラッとひどいことをするところや、怖そうに見えるのにかわいい一面もあるところが、自分でもキュンとするんです」

啓弥は、5歳のときに両親を事故で亡くし、組長である祖父に引き取られた“お嬢”瀬名垣一咲の面倒をずっとみてきた。初めて出会ったとき、両親が恋しくて泣く一咲に、啓弥は誓う。「俺がパパとママになります。おにいさんにも」。そして「俺がずっとあなたを守ってあげます」と……。

啓弥の言葉は一咲の心の支えになり、そして同時に、恋になった。しかし、ヤクザの孫娘として同級生から距離を置かれる義務教育生活の中で、一咲の恋心は行き場を失ってしまう。そこで一咲は、地元から離れた高校への進学を機に「フツーの青春を送ろう!」と決心。しかし入学式の日、転びそうになった一咲をヒーローのごとく颯爽と助けてくれたのは、なぜか同級生になった啓弥(26)! 家でも学校でも、啓弥に甘やかされる生活が始まってしまうという展開だ。

男女両方の視点から“両思い”の甘酸っぱさを描く

設定で乙女心をグッとつかみ、意外にもフツーの恋愛漫画らしい展開で読ませる。これこそ極道×JK漫画の極意。

「『お嬢と番犬くん』は、一咲と啓弥の恋愛を中心に日常の中で起きるいろいろな出来事を描く、ほのぼのしてキュンとする日常系漫画を目指しています。2人のくっつきそうでくっつかない、じれったい距離感や関係性を読者に楽しんでもらえたらと。

私のお気に入りは、第10話で、啓弥と一咲が地元の商店街のお祭りに行く話のラストシーン。地元の友だちに見つからないように、一咲がとっさにお面を被るんですが、そのお面に啓弥がキスをして。顔に似合わず、そんなにかわいいことをする意外性がおもしろかったですね」

主人公の視点だけではなく、ヒーローの視点の話が入ることで、2人が想い合う様子がよく分かるのが、キュンとするポイントになるのだ。

「第10話で啓弥がお面にキスをした理由は、一咲が犬のぬいぐるみにキスをしていたところを見たからなんですが、次の第11話では、一咲がぬいぐるみにキスをした理由を知った啓弥の気持ちを描きました。一咲と高校生活を送ることでいっしょにいる時間が長くなり、お互いに距離も縮まってきていて、啓弥の心も微妙に変化しつつあるんですね。

でも、2人の恋はまだまだすんなりとは進まなくて。第12話からは、田貫組の組長の孫で、一咲と同じ高校生の田貫幹男が登場しますが、いきなり一咲の胸を触ったりするとんでもないチャラ男なので、啓弥が一咲をどう守っていくのか、新展開を楽しみにしてください」

男女双方の視点があると、主人公に自分を重ねてヒーローとの疑似恋愛を楽しむのはもちろん、客観的にヒーローだけを見て“萌える”ことができる。そのため、はつはる氏の編集担当は、主人公・一咲の描き方に細心の注意を払っているそうだ。

「特に少女漫画の主人公は“イイ目”にあうので、その子がイヤな子だと共感しづらい。ですから第1〜2話で、引っ込み思案な一咲が、友だちをつくろうとがんばっている姿をきちんと描いてもらいました。読者の反応の大半は、『啓弥がかっこいい』というものですが、一方で、一咲が頑張る姿に好感がもてるという意見もいただいているので、よかったなと思っています」

見た目と中身のギャップは、キャラクターの大きな魅力。「極道」という味つけを加えることで、男らしさと女性視点からみたかわいらしさとの落差がより大きく感じられるようになり、「好きな女(=自分)の前でしか見せない顔」が、さらに女性の心をわしづかみにする。そこが学生だけでなく、少し高めの年齢層にもウケているポイント。今後どんな「溺愛キャラ」が登場するのか、少女漫画界のブームに期待が持てそうだ。

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『お嬢と番犬くん』第1~2話

  • 取材・文中村美奈子

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