TLに世界最高の選手が加入 レタリックが神戸製鋼で躍動する

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神戸製鋼の新外国人選手、ブロディ・レタリックは来日会見に臨む。ロックとしてニュージーランド代表キャップ81を持つ。左は福本正幸チームディレクター

正真正銘がまたひとり、神戸製鋼のラグビーに加わった。

ブロディ・レタリック(Brodie RETALLICK)は12月10日、チームディレクターの福本正幸と新入団会見に臨んだ。

その漆黒のジャージーから「オールブラックス」と呼ばれるニュージーランド代表のロック。81のキャップ(協会が定めた国際試合出場数)を持つ。

204センチ、123キロ。隣に立った福本が子供のように見える。このチームで全国社会人大会(トップリーグの前身)と日本選手権の7連覇を支えた元プロップとの対比でもすごみが伝わる。

ワールドカップ日本大会の開幕前に発売された『ラグビーマガジン特別編集 ラグビー世界一決定戦』(ベースボール・マガジン社)では最大級の賛辞が載った。

<圧倒的な空中戦の強さ、密集での激しさ、バックス並みのハンドリングスキルを持つ。現代ラグビーにおけるひとつの完成形と言えるのかもしれない>

2014年には世界のラグビー統括機関「ワールド・ラグビー」の年間最優秀選手を当時23歳と最年少で受賞した。前回2015年のワールドカップでも優勝メンバーだった。

「私の名前はブロディです。よろしくお願いします」

日本語を冒頭に使う。28歳のレタリックは溶け込む姿勢を鮮明にする。

昨年のダン・カーターの来日会見と同じだ。カーターも日本語であいさつをした。「世界の至宝」と呼ばれるレタリックより9歳上のスタンドオフは、同じオールブラックスとしてキャップ112を誇る。母国の英雄と代表以外でチームメイトになるのは始めてだ。

「ラグビーをとても理解しているダンと一緒にプレーできることを楽しみにしています」

レタリックはワールドカップ日本大会で準々決勝、準決勝、3位決定戦と大一番の3試合すべてに先発した。優勝こそ逃したものの、40-17とウエールズを破り、銅メダルを得る。

大会後、約4週間のオフを取り、11月29日に来日。3日後の12月2日からチーム練習に参加した。自身初めてとなる海外生活。契約期間は2年だ。

「チームに合流できて、うれしく思っています。新たな挑戦に興奮しています。目標はトップリーグで優勝することです。そのために自分にとって最高のコンディションでプレーしたいと考えています」

見据えるのは、レタリックにとっては初めてのリーグ制覇、同時にそれはチームには連覇になる。今年度はワールドカップ開催で変則日程となり、リーグ戦は行われなかった。

その代替として、出場機会が少ない選手が主体になるカップ戦が6~8月にあった。神戸製鋼はそのカップ戦も優勝。来年のリーグ戦を制すれば3大会連続Vとなる。

20年ほど前にあった、福本が現役時代の「深紅の王朝」を復活させるためにもレタリックは必要だ。その獲得理由を語る。

「彼がいてくれれば、チームとしての選択肢が広がります。たとえば、トム・フランクリンをフランカーに下げられます」

200センチのフランクリンを3列に置くことによってラインアウトが強化される。200センチ台が2人いれば、相手のスロアーはボール投入が難しくなる。

もう一方のロックには193センチの韓国人選手、張碩煥(ちゃん・そくふぁん)が入る。身長こそ大台には届かないが、体の強い張は肉弾戦で力を発揮する。

ワールドカップの準決勝、イングランド戦でのレタリック(写真:AFP/アフロ)

レタリックはスーパーラグビーのチーフスを退団、活躍の場を日本に求めた理由を話す。

「新しい文化や環境に触れてみたいし、家族との時間も大切にしたかったのです」

妻と娘2人を連れ、家族で来日した。この極東の島国を気に入っている。

「日本は素晴らしいところです。人々は礼儀正しく、食べものも美味しい」

好きな日本食を問われると、ラーメン、お好み焼き、焼き肉とすらすら出てきた。福本は笑顔を浮かべる。

「すでに神戸のラーメン屋を3軒はしごしたと聞いています」

新しい環境にも戸惑いはない。

トップリーグは来年1月12日に開幕する。神戸製鋼の初戦はキヤノン。ワールドカップのハーフ団、スクラムハーフの田中史朗とスタンドオフの田村優を擁する。

スタジアムはホームの神戸・ユニバー記念競技場。午後1時にキックオフされる。

ワールドカップ効果ですでにチケットの売れ行きは好調。この段階で普段の倍、1万席の予約が入っているという。

「コンディションはいいですね。開幕戦に出られない理由はありません」

ブロディは新しいチームのため、そのスタートから全身全霊で戦ってゆく。

  • 取材・文鎮勝也

    (しずめかつや)1966年(昭和41)年生まれ。大阪府吹田市出身。スポーツライター。大阪府立摂津高校、立命館大学産業社会学部を卒業。デイリースポーツ、スポーツニッポン新聞社で整理、取材記者を経験する。スポーツ紙記者時代は主にアマ、プロ野球とラグビーを担当

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