「ご来光」をありがたく感じるのは、科学的根拠があった!

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太陽のチカラを味方につけて、2020年もハッピーでいこう! 

初日の出を見ると、ありがたい気持ちになり、よい1年が迎えられる気がする。が、それは決して“気のせい”ではなかった。太陽の光を浴びることで、「セロトニン」という神経伝達物質が分泌され、心身ともに“いいこと”がたくさん起きるのだとか。セロトニン研究の第一人者である有田秀穂氏に聞いた。

ご来光が心地いいのは、“気のせい”ではなかった!

「セロトニン」が心を前向きに、体をシャキッとさせてくれる

太陽が昇るのを見ると、それまで闇に閉ざされていた世界が明るくなり、同時に我々の体にも変化が起こる。それが“セロトニン神経の活性化”。

「目の網膜に太陽の光があたると、脳幹の中にある“セロトニン神経”が働き始めます。このセロトニン神経は、“セロトニン”という神経伝達物質を分泌し、脳内のさまざまなところに信号を送り、心と体を“覚醒”させます」(有田秀穂氏 以下同) 

大脳にセロトニンが分泌されると、“頭が目覚める”。大脳の内側には心に関係した領域があるが、そこにセロトニンが分泌されると、ネガティブな気分が解消し、前向きな気持ちになる。

さらに自律神経にも影響を与えている。目覚めたときに、各筋肉に緊張感を与え、姿勢を整え、顔の表情を引き締めるのもセロトニンの役目だ。 

「だから、朝起きたら、カーテンを開けて太陽の光を浴びることは、とても重要なのです。太陽を見ないで1日をスタートさせると、頭はボーッといているし、気持ちも前向きにならない。自律神経のバランスもくずれて、表情もトローンとなり、姿勢も弱々しくなってしまいます」

「初日の出」が、心と体にいいという科学的根拠とは?

とはいえ、朝起きて太陽を浴びても、初日の出を見たときのような清々しい気持ちにはならない。昇ったばかりの太陽でないと、効果はないのだろうか。

「セロトニン神経が活性化するためには、2500~3000ルクス以上の明るさが必要です。電灯の明るさでは全然足りませんが、曇っていても、窓越しでも2500~3000ルクス以上はあるので、日の出の太陽である必要はありません」

ではなぜ、初日の出を見たときのような高揚感がないのだろうか。

「初日の出を見たという特別感が高揚した気分にさせていることもあるでしょうが、実はセロトニンを十分に分泌させるためには、いくつかの条件があります。

セロトニンが増え始めるのは、太陽の光を5分以上浴びてから。カーテンを開けて、すぐ部屋の奥に引っ込んでしまっては十分分泌しません。その点、初日の出は、太陽が顔を見せてから昇りきるまでずっと見ていますよね。それがいいんです。

また、集中することも大切。初日の出が昇るときは、みんな太陽に集中している。そのようなことから、セロトニンがいつもより多く分泌されて、心身ともにとても元気になるのだと考えられます」

しかも、冬という季節もいいのだとか。

「セロトニンは、太陽の光をたくさん浴び過ぎると分泌が抑制されてしまう。適度なことが重要なんです。夏の太陽の光は照度が高く、日をずっと浴びているのはつらい。しかし、冬の日向には、いつまでもいたいですよね。その点でも、初日の出はいいといえます」 

日光を浴びる時間は30分が目安。「冬は30分より長く、夏は30分より短く」がいいそうだ。

「網膜が光を感じることでセロトニン神経が活性化するので、洋服を着ていてかまいません。サングラスなどで目を覆っては効果なしです」 

直接太陽を見る必要はない。目を閉じて、太陽の光を浴びるだけで充分だという。

朝だけじゃ不十分! 1日3回、太陽を浴びて「セロトニン」を増やす 

朝太陽を浴びたら、1日OKとなるかといえば、そうではないらしい。

「昼間太陽があたらない室内で過ごしていると、どんどんセロトニンの分泌量が減っていってしまいます。そうしたことを防ぐために、1日3回太陽を浴びることをおすすめしています。朝30分、昼休みに外に出て30分、仕事が終わったあと夕日を浴びながら30分。そのように日々過ごすといいでしょう」 

帰宅が夜遅い時や、日没が早い時期は、歩くこともいいという。

「ウォーキングやジョギング、水泳などにもセロトニンを増やすのに効果があります。ただし、やり過ぎるとセロトニン分泌は抑制されますから、疲れない程度に行うこと。ジムのランニングマシーンで歩くのもいいですが、集中して行うことでセロトニンは分泌されますから、テレビを見ながら、ラジオを聴きながら行うのではなく、歩くことに集中しましょう」

ジョギングは、“走ることに集中”すると、セロトニンが分泌される

睡眠ホルモン「メラトニン」の原料も、「セロトニン」だった

熟睡に欠かせないといわれている睡眠ホルモン「メラトニン」だが……。

「眠るときは、“メラトニン”という睡眠ホルモンが分泌されますが、実はそのメラトニンの原料になっているのがセロトニン。つまり、セロトニンが十分に分泌されている状態だと、睡眠ホルモンもしっかり作られ、よく眠れるようになります」 

疲れているのに眠れないのは、セロトニン不足の可能性があるとか。

太陽の光はセロトニン神経を活性化させるだけではない。

「太陽の光を感じない洞窟のような場所で生活しても、人間はある一定の周期で睡眠・覚醒のリズムを刻みます。その周期は“サーカディアンリズム”と呼ばれ、それを司っているのが、脳の視床下部の視交叉上核(しこうさっじょうかく)というところ。 

サーカディアンリズムは24時間ちょっとの周期で繰り返され、地球の明暗周期の24時間との間に微妙なズレがあります。それをリセットするのが太陽の光。覚醒から睡眠まで、生活リズムの基礎を作っているのも太陽の光なのです」

なんだかやる気が起きない、頭がボーッとしている、よく眠れないなどの症状を感じていたら、セロトニンが不足しているせいかもしれない。お正月だけ張り切って初日の出を見るのではなく、毎朝きちんと太陽の光を浴びたい。

有田秀穂 1948年東京生まれ。脳生理学者、医師。専門領域は呼吸の脳神経学、セロトニン神経の機能と活性法、坐禅の科学。メンタルヘルスケアをマネジメントするセロトニンDojoの代表。主な著書に、「脳からストレスを消す技術」(サンマーク出版)、「ストレスすっきり!脳活習慣」(徳間書店)、「セロトニン欠乏脳」(NHK生活人新書)他著書50冊以上。「エチカの鏡」(フジテレビ)、「朝イチ」(NHK)などテレビ出演多数。

  • 取材・文中川いづみ写真アフロ

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