『翔んで埼玉』の次は『川越の書生さん』?著者と巡る川越ぶらり旅 | FRIDAYデジタル

『翔んで埼玉』の次は『川越の書生さん』?著者と巡る川越ぶらり旅

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都心から気軽に行ける観光地として人気の街・川越。”小江戸”と称されるノスタルジー溢れる町並みや、インスタ映えするスイーツの数々など見どころが豊富で、アニメ・マンガ好きにとっては、『月がきれい』や『神様はじめました』といった作品の舞台であり、「聖地」でもある。

そんな魅力あふれる川越を、 川越出身・在住で、地元・川越や埼玉のあるあるネタを盛り込んだご当地漫画『川越の書生さん』の作者である幹本ヤエさんと一緒にぶらり旅。

書生姿の高校生男子と、菓子屋の一人娘のコミカルな交流を描いた本作は、「地元のことよりも池袋についての方がよっぽど詳しい」「都心にアクセスしやすいのに、東京で遊ぶ時『遠いのにごめんね』と都民に言われがち」など、川越住民&埼玉県民あるあるエピソードが満載。埼玉県民はもちろんのこと、他県出身の人間でも楽しめる内容になっている。

川越の老舗芋菓子屋の娘で、女子大生の円岡香南(まるおか・かなん)。東京のシェアハウスに暮らしていたが、わけあって川越に帰ってくる。すると実家には、着物&袴の美形男子高校生・和数馬(かずま)くんが「書生」として居候していて――?/『川越の書生さん』1巻より

「自分の漫画では、普段からディスられがちでなにかと自虐的な埼玉県民のサガか、卑屈に描いてしまう部分もあるんですが……(笑)  地元のことをもっと知ってほしいし、『いい街だな』って思ってほしい、という気持ちは強いです。どんどん川越に遊びに来てほしいし、探索しがいのある町なので、一回だけでなく何回も来てほしいんです」(幹本ヤエ氏 以下同)

こう語ってくれた幹本さんに、地元民ならではの情報を交えつつ、川越の見どころスポットをナビゲートしてもらった。

着物×シャツ×袴の書生スタイルが似合うイケメン男子高校生・関和数馬(せき・かずま)。和装や文豪が好きだという幹本さんの「書生さん」への愛とロマンが本作には詰まっている/『川越の書生さん』1巻より

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①もはやアトラクション!? エンタメ色が強い神社「おくまんさま」

「縁結びの木」がある川越八幡宮、「とおりゃんせ」発祥の地である三芳野神社、”川越のお不動さま”こと成田山川越別院など、川越には見ごたえのある神社仏閣がいっぱい。

そんななか、立ち寄ったのは川越熊野神社。地元の人々から「おくまんさま」と呼ばれて親しまれている、開運・縁結びの神社だ。

「おくまんさま」こと、川越熊野神社。鳥居までの道の左右にあるのは、小石や竹でできている足ツボエリアだ。「なぜ神社に足ツボが?」と思うかもしれないが、まずは靴を脱いで乗ってみてほしい

「この神社はエンタメへの意欲が凄くて、一種のアトラクションのようにもなっています。入り口に設置された足つぼゾーン、運試し輪投げ、そして極めつけは、ヤタガラスさまのお言葉が貰える『むすびの庭』など……。神社とは思えない謎のテクノロジーが拝めるので、川越に来たら一度体験してみてほしいです」

ヤタガラスさまのお言葉……? なんのこっちゃと思いつつ、お参りの仕方を看板で確認し、鳥居をくぐって賽銭箱の前に向かうと、そこにはなぜか占い師が使いそうな大きな水晶玉が……。

通常の二礼二拍手を終えてからヤタガラスさまに一言挨拶し、水晶玉に手を乗せると……天から言葉が降ってきた! いや本当に、ナイスタイミングでヤタガラスさまの声が頭上から聞こえてくるのだ。他の神社では経験したことのないこのインパクトは確かに、「一回やってみて」と人に勧めたくなる。いったい何を言われるのかは、試してみてのお楽しみだ。

「むすびの庭」の入り口。鳥居の奥に小さく見える水晶玉が、気になって仕方なくて入りたくなる
入り口に掲示された「お参りの仕方」。丁寧に参拝の作法を図解してくれているので、初めてでも安心

「ここまでサービス精神旺盛というか、『楽しんでいってね!』って感じに振り切っているのは地元の人間から見ても面白いなぁと思います(笑)。ちなみに有名な川越氷川神社も、インスタ映えする『縁むすび風鈴』に力を入れていたりとエンタメに積極的です」

運試し輪投げは外しまくったものの、「全部外れても、それは今日が運の悪い日というわけではなく、『いつも通りの日』ということですよ(※要約)」という貼り紙に心がほっこり。神社仏閣巡りが趣味の人もそうでない人も、アトラクション感覚で楽しめるはずだ。

遊び感覚で楽しめる「運試し輪投げ」。投げる場所から的までは2mあるかないかくらいの距離で、「これは行ける!」と息巻いて挑戦したものの、意外と難しい……!

②江戸時代の風情×大正モダン 見どころ満載「レトロ建築」の数々

川越の名所のひとつ、蔵造りの町並み。明治26年(1893年)に起きた川越大火の後、商家の人々が火事に強い「蔵造り」の建物を採用したことで、この町並みができあがった

続いて向かったのは、川越屈指の観光スポット・一番街商店街(以下、一番街)。「蔵造り」の建物が立ち並び、その合間に大正時代のモダンな建築物や、川越のシンボルマーク「時の鐘」がそびえたつ、ノスタルジーあふれるエリアだ。

「一番街周辺は水曜定休日の店が多いので、平日に来る際には水曜日は避けたほうが良いかもしれません。毎月8のつく日が『川越きものの日』で、着物を着てくると店舗によって様々な特典が受けられます。着物のレンタル屋さんもあるので、現地で着替えてから散策することもできますよ」

幹本さんに教えてもらって初めて気付いたのだが、このエリアは電柱が地中化されていて、景観を壊さないようになっている。江戸の面影を残した蔵造りと、クラシカルな近代建築が隣り合い、その前を人力車や、着物姿の観光客や、買い物帰りらしき地元の人が自転車で通り過ぎていく――。

日常と非日常とが入り混じったその不思議な雰囲気に浸りつつ、”小江戸”ならではのその街並みに見惚れていると、自然と歩く速度もゆっくりに。全国各地から人々が訪れるのも、納得の見ごたえだ。

大正7年築の埼玉りそな銀行川越支店(写真左)。老朽化により’20年7月を目途に営業終了する(建物は保全される予定)/川越のシンボル「時の鐘」。訳400年前に建てられたといわれ、火災でたびたび焼失してきたが、そのたび再建された。現在の鐘楼は明治の大火後に再建
大通りから外れた小路も風情たっぷり。ふらりと脇道にそれて、ついつい探索したくなる

③スイーツ好きにはたまらない!インスタ映えするさつまいもスイーツの数々

川越といえば、なんと言ってもさつまいも! 銘菓「いも恋」に、揚げたて芋けんぴや芋ソフトクリーム、おさつチップなど、道を歩いているとあちこちに美味しそうなスイーツが……! 川越は、甘いもの好きにはたまらないスイーツ・パラダイスでもあるのだ。

さっぱりとした甘さが美味しい「川越プリン」さんの『川越芋のモンブランソフトクリーム』(左)。黒蜜や塩バターなど好きなディップソースを選び、それをパリパリの芋チップにつけて食べる「小江戸おさつ庵」さんの『おさつチップ』。食べ歩きが止まらない!

「お洒落で可愛い、インスタ映えするスイーツが年々増えてきています。元々、1700年代末(※寛政の時代)に江戸で焼き芋ブームが起こり、川越の芋が美味しいと評判になったことで、『さつまいもの産地といえば川越』というのが定着したとか。現在は、そこまで多く(さつまいもを)栽培していないようなのですが、川越グルメといえばさつまいも、というイメージはやっぱり強いですね」

ちなみに川越市のマスコットは、さつまいもと「時の鐘」を組み合わせた「ときも」。この日は残念ながら出会えなかったけれど、機会があれば、ぜひ愛らしいその姿を拝んでほしい。

川越市の公式マスコットとして愛されている「ときも」。可愛いのだが、幹本さんいわく、「横から見ると、顔の断面がすっぱりしていてちょっとえぐい」……?(漫画『川越の書生さん』1巻より)

④巨大ふ菓子や駄菓子の誘惑が襲う 懐かしさ満点の菓子屋横丁

蔵造りの町並みを抜け、次に向かったのは菓子屋横丁。その名の通り、菓子問屋が集結している区域で、昔ながらの駄菓子屋や飴屋、煎餅屋などが軒をつらねている。

ニッキ飴や煎餅、お団子といった昔ながらの商品が並ぶなか、一際存在感を放つのが川越名物・ふ菓子棒。小さいものですら余裕で全長70cmは越えるそのサイズ感はもはやフランスパン。ふ菓子なので軽くて持ち歩きしやすいけど、やっぱり大きい……。

「ふ菓子」の概念をくつがえす、圧倒的大きさ。幹本さんいわく「修学旅行先で木刀を買いたくなる中学生の気持ちと、川越でふ菓子棒を買いたくなる気持ちはなんとなく似てるんじゃないかと…」。嬉々として購入した30代ライター、心が中学生です

「食べきる自信がない……」と購入を迷ってしまう方には、幹本さんが漫画の中で紹介している「折った巨大ふ菓子を、バターをひいたフライパンでほどよく焦げ目がつくくらい炒め、バニラアイスとメープルシロップをかける」という食べ方をオススメ!

巨大ふ菓子の美味しい食べ方レシピ。クラシカルな書生さんスタイルに身を包む高校生・和数馬(かずま)くん(※4コマ目右)は、甘いものが大好きなスイーツ男子だ(漫画『川越の書生さん』1巻より)

周りの黒糖がカリカリになって美味しいだけでなく、お洒落スイーツ感も味わえる。もちろん、そのまま食べても充分美味しいので、川越に来た記念にぜひ一本購入してみてほしい。

ズラリと並ぶ巨大ふ菓子棒。菓子屋横丁でもひときわ目をひく光景だ
昭和の香りがする駄菓子屋さん。店内には、ベーゴマやひっぱり飴、カラメル焼など懐かしの商品が並んでいる

「菓子屋横丁や一番街商店街の方々には漫画の取材でお世話になっているのですが、皆さん『どうしたら川越に来てもらえるか、好きになってもらえるか』といろいろな企画を考えて、現状に甘んじることなくチャレンジされているんです。私も、川越の魅力を少しでも漫画で伝えられるよう、風景など緻密に描き込んでいます」

昨年大ヒットした映画『翔んで埼玉』は、”愛あるディスり”が県民だけでなく全国の人々の心を射止めたが、「なんだかんだ言いつつ、やっぱり地元が一番」という気持ちは誰しもあるものではないだろうか。「これだから埼玉県民は~」と自虐を挟みつつ、素敵な裏路地やお洒落なレトロ建築のことを紹介してくれる幹本さんからは、川越への、そして埼玉への深い愛を感じた。

 

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  • 取材・文大門磨央

    石川県出身。雑誌やWEBを中心に映画、アニメ、漫画などのコラムを執筆中

  • 撮影田中祐介

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