江戸の街並みが復活? 変わりゆく八重洲・日本橋の大改造
世界最先端の街並みと江戸情緒が混在する未来の東京はもうすぐ完成
日本の顔・東京駅周辺では、八重洲側一帯の再開発が大きく動き始めている。駅前には、ビル約20棟を解体した巨大な空き地が出現し、「八重洲二丁目北地区再開発」として、6機のクレーンが同時に稼働するダイナミックな工事風景が繰り広げられている。
「八重洲口駅前にできる3棟の超高層ビルの地下には、巨大な高速バスのターミナルができて、現在八重洲口前地上に点在する高速バス乗り場が集約されます。
また、東京駅に近いJR線路沿いの3.1ヘクタールの敷地では、現在、『東京駅前常盤橋プロジェクト』の工事が進んでいます。2023年にこの敷地内で着工するビルは、高さ390m(61階建て)と、日本一の高さの超高層となることも話題になっています。近年の大規模再開発においては、超高層化が世界的なトレンドです。開発を進める三菱地所も、その方向性を目指したということでしょう」
「大都市政策研究機構」理事長で、明治大学名誉教授の市川宏雄氏はこう語る。
日本橋が栄光を取り戻す
江戸時代には、東海道五十三次の起点として日本一の繁栄を誇った日本橋。現在でも界隈には三越や日本銀行の本店があるが、「東京の貌(かお)」としての役割は、丸の内や銀座に譲った感があった。だが、東京五輪後、八重洲から日本橋につながる東京駅南東地域が再開発されようとしている。日本橋川沿いの常盤橋地区には日本一の超高層ビルが聳(そび)え立ち、周囲の街並みが整備されていこうとしている。日本橋川沿いの敷地では、少しずつ地盤工事が始まっており、超高層ビル直下には水辺を楽しむことのできる7000㎡の広場も設けられる予定だ。
その計画の大前提となっているのが、首都高速道路の地下化である。
日本橋の真上を首都高速が覆っている景観については、前回の東京五輪の前年(昭和38年)に首都高呉服橋-江戸橋間が開通した直後から、長らく批判の的となってきた。’06年には景観復活構想が立ち上がるが、その後のリーマンショックなどで立ち消えに。だが、今年秋の都市計画審議会でついに地下移設工事の認可が下り、2020年以後の着工が具体化しつつある。
「しかも、日本橋を本拠とする三井不動産は、この地に江戸の水辺の街並みを復活させるという構想を持ち、本気で取り組んでいます。すでに『COREDO室町2』の隣に、福徳神社を中心とした広場空間『福徳の森』を’16年に開設していますし、現在の日本橋の隣に、江戸時代さながらの木造の日本橋を復刻させる構想もある。
首都高が地下化して、日本橋、常盤橋一帯の川沿いに江戸の街並みが蘇ったら、都心に歴史を復活させた街として、世界的に類例のないものとなるでしょう」(前出・市川氏)
世界最先端の街と、江戸情緒が混在する未来の日本橋が、目の前に現れようとしているのだ。


『FRIDAY』2020年1月3日号より
撮影:濱﨑慎治