アップルに勝訴した天才発明家が開発した“3Dメガネ”とは? | FRIDAYデジタル

アップルに勝訴した天才発明家が開発した“3Dメガネ”とは?

メガネをかけると目の前には行きたい場所の風景が広がる……。夢のアイテムを開発した発明家の物語

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山梨県富士河口湖町にある研究室にて、「3Dメガネのシステム」と「球体型の入力装置」について説明する齋藤憲彦氏
山梨県富士河口湖町にある研究室にて、「3Dメガネのシステム」と「球体型の入力装置」について説明する齋藤憲彦氏

「私の新しい発明は、『3Dメガネのシステム』です。これが商品化されれば、スマホの時代は終わりを告げます。メガネをかけると、3D映画のスクリーンを見ているのと同じように、3次元空間が目の前に現れる。その空間を手元の装置で操作することで、今までにない革新的な利便性を得られるでしょう」

そう力強く語るのは、株式会社齋藤創造研究所代表を務める個人発明家の齋藤憲彦氏(62)である。

齋藤氏は、「IT界の巨人」と言われる米国のアップル社に特許裁判で勝った初めての日本人として知られている。

アップルが発売した携帯音楽プレイヤー『iPod』の円盤型の操作ボタン(クリックホイール)に、自らが開発した技術が無断で使用されていると、’07年に齋藤氏は同社を相手に一個人で、特許侵害を東京地裁に訴えた。そして、8年にもおよぶ裁判を経て、’15年9月に約3.3億円の損害賠償金を勝ち取ったのだ。

「富士通の関連会社から独立して、’84年に私が設立したロボット技術の会社がバブル崩壊の煽(あお)りで倒産し、個人保証の借金が残っていた。これを返さないといけなかったので、負けるわけにはいかなかったんです。缶コーヒー一本を買うことさえためらうほど生活が困窮していた時期もあります(笑)。ただ、裁判は勝訴しましたが、特許裁判の賠償金はビジネスで儲けたおカネだという税務署の判断で、半分は税金で持っていかれました。ひどい話ですよ」(齋藤氏)

現在の齋藤氏は山梨県・河口湖にほど近いマンションの会議室を買い取り、そこを研究室(上写真)としてリフォームし、日夜、発明に取り組んでいる。事務処理を担当する社員はいるが、構想から設計図の作成など、開発に関するすべての作業を齋藤氏が一人で行う。その成果として生み出されたのが、前述した3Dメガネのシステムなのだ。発明のポイントとなるのは、写真の齋藤氏が手にもつ球体型の入力装置(コントローラー)だという。

「メガネをかけることで現れる3D画面上のコンピューターを、この入力装置を使って動かすことができるんです。これは柔らかいシリコンに覆われている直径7㎝ほどの球体で、360度捉えられるセンサーを内蔵しており、表面を指でなぞることでインターネットを操作します。

例えば、ネットショッピングを開くと、目の前に洋服屋の店内が立ち現れて、店に並んでいる服を直接見て、選んでいる感覚になる。旅行サイトを開けば、目の前に行きたい観光地が立ち現れて、現地を直接見ている感覚になります。家にいるだけですべてが完結してしまう世界が来るかもしれない。また、映画制作における3DのCGの制作、3Dプリンターでの造形、VRのゲームなど、さまざまな分野での活用が期待できます」

すでに齋藤氏はこの入力装置の特許を国内で取得。入力装置と3次元空間を繋げて制御するオペレーティングシステムの構造については国内の特許を出願中だ。いまは海外での特許申請と実用化に向けて、資金集めに奔走している。

「このシステムは、5年後ぐらいには実用化されると思います」(齋藤氏)

さて、もし因縁のアップルが3Dメガネのシステムを買いたいと言ってきたら、齋藤氏はどうするのだろうか。

「交渉内容次第ですね。このシステムをアップルから『4000億円で買いたい』と言われたら売るかもしれません。なぜなら、他にも特許申請したい発明品がいくつもあるからです。とにかく国内と世界で特許を申請するには、おカネが必要になる。各国ごとに特許申請をする必要があるからです。だから、新たな発明品のためなら、躊躇(ちゅうちょ)なく売ります。私はとにかく発明すること自体が楽しくて研究しているだけなんですよ」

山梨県に住む日本人発明家が全世界を驚かせる日がやってくるかもしれない。

齋藤憲彦氏は独身。趣味は発明、ツイッター、ゲーム。研究開発に自らの人生のすべてを注いでいる
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本誌未掲載カット 個人発明家の齋藤憲彦氏 アップルに勝訴した天才発明家が開発した“3Dメガネ”とは?
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『FRIDAY』2020年1月3日号より

  • 撮影濱﨑慎治

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