挑戦者リーチマイケル トップリーグ開幕を控え4年後のW杯を語る

リーチマイケル

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今年を1文字で表すなら、という質問に「伝」をいう文字で説明するリーチマーケル

2019年を漢字一文字で表して欲しい。テレビ局の社員に求められた。色紙にマジックで「伝」と書いた。

その心は。

「簡単に言うと、メッセージを伝える、と。ラグビーを通して、色んな方々に感動を与えられた。ラグビーを通して、色んなメッセージを伝えられた。それで、この字にしました」

ラグビー日本代表の主将としてこの秋のワールドカップ日本大会で初の8強入りを果たしたリーチ マイケルが、クリスマスイブの12月24日、東京都府中市にある所属先の東芝の工場敷地内で会見した。

大会後はコマーシャルの収録、12月11日の丸の内でのパレード参加、各種イベント登壇などいくつかの予定をこなす時以外は母国のニュージーランドで静養。元ニュージーランド主将のトッド・ブラックアダー新ヘッドコーチ率いるチームには、23日に合流している。今度の会見は、殺到する取材依頼に応じる形で開いた。数十名の報道陣や何台ものテレビカメラが揃う部屋には、インカムをつけたチームスタッフが勢ぞろいしていた。

リーチがワールドカップに出たのは今回が3回目。初めて主将として挑んだ2015年のイングランド大会時は、歴史的3勝を挙げて予想以上に注目された。しかし、2016年には心身の疲弊から代表活動を辞退。今回は当時の反省を活かした格好だが、会見開始が練習直後だったとあり、その表情には疲れも見え隠れした。

「2015年と今回では見ている(人の)数が違って。今回は本当に(外を歩いている時に)気づかれることも多くて、自分のなかでもびっくりはしています」

さらにこう続けた。

「(2019年は)てっぺんだと思っています。自分のなかではもう1回、ゼロに戻ってスタートしたい。いま、自分はロッカールームに行って、代表のものを東芝のメンバーにあげたり、ジャージィも大切な人に渡したりしています。ワールドカップを自分の目の前から外して、ゼロからやり直したいという気持ちです。どこへ行ってもワールドカップの話をされますが、切り上げてゼロからトップリーグに向かっていかないと」

W杯スコットランド戦での一コマ。左から姫野和樹、山中亮平、流大、リーチマイケル

その言葉通り、国内最高峰のトップリーグは2020年1月12日に開幕。東芝は過去優勝5回の名門だが、過去5年は2015年度の2位が最高位だ。

リーチがいま見据えるのは、東芝でのタイトル奪還である。記者団が今後の代表活動への意欲、2023年に34歳で迎えるワールドカップフランス大会への思いを聞けば、こんな言葉が返ってくる。

「今後の代表に関しては、今度のトップリーグでもう1回活躍して、選ばれる資格を得ないといけないと思っています。トップリーグにもいい若い選手がたくさんいる。レベルの高い選手のなかで勝つのがすごく楽しみです。正直、4年後にどうなるか、僕もわからない。1年、1年大事にしていきたいです。そのなかでもバックローは優れた選手が出てきている。勝負しないといけない」

確かにリーチの務める「バックロー」ことフォワード第3列のポジションには、姫野和樹やアマナキ・レレイ・マフィなどの2019年組に加え、オーストラリア出身で代表資格取得を目指すベン・ガンター、トンガからの留学生として来日しトップリーグでプレーするテビタ・タタフやファウルア・マキシら実力者が揃う。いずれもリーチより年下だ。かねてより自己評価を低く見積もりがちな英雄は、気を引き締めるばかりだ。

さらにトップリーグは、今季世界的スターを招いている。発展的解消を間近に控えているが、トヨタ自動車にニュージーランド代表主将だったキアラン・リードが入るなど刺激は多い。代表でプレーし続けるためにどんな形で成長したいかと問われたリーチは、「日本のトップリーグでプレーしたら、(自身の)ラグビーのレベルも上がる」と話した。

「(今後は)自分のプレースタイルに合うところにいないといけない。スーパーラグビー(南半球主体の国際リーグ)はハードなシーズンのなか、選手がどんどん若くなる。僕が一番プレーしやすいのは日本かなと思います」

日本代表は、2020年もジェイミー・ジョセフヘッドコーチ体制を継続させる。エディー・ジョーンズ前ヘッドコーチが指揮したイングランド大会後、リーチは「ハードワーク」「主体性」をナショナルチームの文化として定着させたいと話していたもの。今回は「一番残したいのは監督とリーダー陣のチームワークのところ」と語る。

「最初はその部分で凄く難しい部分がありましたが、最終的に監督とリーダー陣が同じページを見て同じような考えになってきた。そのためのスキルなどは残していかないといけない。もっと日本代表を強くするためには、(選手)層を厚くしないといけない。代表に入りたい選手をどれだけ増やすかが大事だと思います」

これからも謙虚な戦士でいること、これからもラグビーを通してクリアなメッセージを「伝」えることを約束し、会見場を後にした。

  • 取材・文向風見也

    スポーツライター。1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年よりスポーツライターとして活躍。主にラグビーについての取材を行なっている。著書に『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー 闘う狼たちの記録』(双葉社)がある

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