「痩せたい人はピザ屋の隣に引越すといい!?」2019面白研究7 | FRIDAYデジタル

「痩せたい人はピザ屋の隣に引越すといい!?」2019面白研究7

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

この中から将来のイグノーベル賞、いや、ノーベル賞が誕生するかもしれない!

今年も各国の研究機関や大学から発表された研究の数々。その中から近い将来、地球や、我々の未来に大きく貢献する、すごい研究に化けるかも知れない“ちょっと気に止めておきたいユニークな研究”を紹介する。

1_高カロリーな食べ物は、食べなくても匂いだけで満足できる!?

多くの人は、脂肪分や糖分、塩分が多く、高カロリーの食べ物をおいしいと感じるという。そして、“嗅覚”と“味覚”が脳の報酬回路を活性化する仕組みは重なっている。それならば、嗅覚が食べ物の選択に大きな役割を果たすのではないかと考え、米サウスフロリダ大学の研究チームが検証した。

まず、中学校のセルフサービス食堂での実験で、「ピザの匂いを噴霧する」「リンゴの匂いを噴霧する」「何の匂いもさせない」という3日間を設定。すると、ピザの匂いをさせた日には、ヘルシーな食品が多く選ばれるという結果に。

スーパーマーケットでは、「チョコチップクッキーの匂い」と「イチゴの匂い」を噴霧して実験。その際の購入商品をレシートで調べると、クッキーの匂いを嗅いだ客は果物などの健康的な食品を買い、イチゴの匂いを嗅いだ客は健康的ではない食品を買う傾向があったという。

高カロリー食品のおいしそうな匂いに誘惑されると思いきや。検証の結果、「ヘルシーでない食べ物の匂いが、脳の報酬回路を満足させ、食べたい衝動を減少させるようだ」ということらしい。

意外! ピザ屋の隣の部屋は、ダイエットの穴場かもしれない!?
意外! ピザ屋の隣の部屋は、ダイエットの穴場かもしれない!?

2_なぜ夢は起きるとすぐに忘れてしまうのか? 記憶が消去される仕組みを解明

私たちはレム睡眠中に夢を見るが、通常は、夢の内容は記憶として定着されず起床後にすぐ忘れてしまう。これまで、睡眠時に記憶がどのように固定され、消去されるのかその仕組みはよくわかっていなかった。

そのメカニズムのひとつとして、2019年9月、名古屋大学の研究グループが、脳にあるメラニン凝集ホルモン生産神経(MCH神経)がレム睡眠中に記憶を消去していることを明らかにした。

人間の睡眠リズムは、浅い眠りであるレム睡眠を起床前に繰り返すのが一般的。今回明らかになったレム睡眠中に活動するMCH神経は、目覚める直前の夢の内容をすぐに忘れさせる一因として働いていると考えられる。

なぜ、夢の記憶は消去されなければならないのかに関しては、覚えてしまうと現実のことなのかそうでないのか区別がつかなくなってしまうためともいわれる。

睡眠中の記憶の定着については多くの研究がされている一方で、消去についてはこれまでほとんど研究が進んでいなかったという。今回明らかになった仕組みの応用により、トラウマとして残っている恐怖心や怖い体験などの記憶を消去するなど、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を治療する臨床応用への貢献も期待される。

3_明かりをつけたまま寝ると、太る!?

真っ暗な状態は苦手、明かりをつけたままじゃないと眠れない、テレビをつけっぱなしにして眠る、という人は少なくない。しかし、2019年6月、米国・国立衛生研究所が発表した研究結果によると、「夜に人工的な明かりをつけて寝ると、女性の体重増加につながる」というのだ。

これまでも、“明かりをつけて寝ると太る”という説はあったが、今回の研究は約4万4000人の女性(30〜70代)を対象に、約5年の歳月をかけて調査。5年後に体重などを計測すると、テレビや照明をつけたまま寝ている女性と、真っ暗な状態で寝ている女性を比べた場合、照明などをつけたまま寝ている女性の方が、体重が5kg以上増える割合が17%高かったという。

詳しい因果関係はまだわからないが、睡眠中の光がメラトニンの分泌を慢性的に抑制することで体内時計が乱れ、肥満の危険が増す可能性も挙げられている。今回の研究は女性に限った調査になっているが、睡眠の質が体に及ぼす影響のことなら男性にも無縁ではないだろう。

節電のためにも、夜は電気を消して寝たほうがいいが。明かりのせいで太ると言われたら、なおさらだ
節電のためにも、夜は電気を消して寝たほうがいいが。明かりのせいで太ると言われたら、なおさらだ

4_食事の時間がアレルギーに強く影響する!

花粉症や喘息、蕁麻疹などのアレルギー疾患は、ある特定の時間帯(特に夜間から明け方)に症状が出現しやすいという特徴がある。たとえば花粉症では、朝方にくしゃみ、鼻水などがおこりやすく「モーニングアタック」と呼ばれている。このようにアレルギー症状の出方が時間によって変化することに、体内時計が関係していることは以前から知られている。

アレルギー反応と体内時計は密接な関係にあるが、山梨大学の研究によって、不規則な食事のタイミングは体内時計のリズムを変えてしまい、規則的なタイミングで食事をしているときとはアレルギー反応の出方が変わることが新たにわかった。具体的には、本来アレルギー症状が出にくい時間帯でも、症状が強くなってしまうというのだ。

逆に考えれば、薬を増やさなくても、食事の時間を変えるだけで、ひどかったアレルギー症状を良くできるかもしれない。食事のタイミングを見直すだけで症状が緩和できる患者が全体の2割程度はいるのではないかと、臨床的な経験から推測されるともいう。朗報だ。

5_赤ちゃんも「上に立っているものが優位」と判断することを解明!?

「目上の人、目下の人」という表現や、オリンピックなどの競技大会で表彰台の高いところには勝者が立つというように、我々はしばしば、社会的な優位性や地位などの上下関係を空間位置で表現するが。

2019年10月、京都大学、九州大学の共同研究により、まだ言葉の話せない1歳の赤ちゃんが、高い場所に立つ人が低い場所に立つ人に負ける場面を見ると驚くような行動を示す、という実験結果が発表された! これは乳児が、空間的に上にいるものが社会的に優位であることを期待する、という可能性を示すという。

自分と他者、または他者間の優位性関係を判断して行動することは、その事自体の良し悪しは別として、社会関係を円滑にする上で一定の機能を果たしている。今回の研究は、社会的経験も言語的経験もない1歳の赤ちゃんも、空間的位置関係に基づいて優位性関係を判断することを明らかにした。これって、空気を読むための本能的なベースなのかも?

東京オリンピック・パラリンピックの表彰台では、どんなドラマが待っているのだろうか
東京オリンピック・パラリンピックの表彰台では、どんなドラマが待っているのだろうか

6_ファーブルも注目した“死にまね”の仕組みを解明!

「熊に遭遇した場合、死んだふりをするといい」、というのはあくまでも都市伝説にすぎないが。死にまね(死んだふり)は哺乳類、魚類、鳥類、両生類、爬虫類、甲殻類、ダニ類、昆虫と動物に広く普遍的に見られる行動で、天敵による捕食を回避するために動物が進化させた防衛戦略だ。

ファーブルは昆虫記のなかで、「“死にまね”は生物が陥る一種の仮死状態であり、適応的な意味はあるのか」と疑問を投げかけたが。2004年に死にまねが適応的であることを発表した岡山大学、東京農業大学、玉川大学の共同研究グループが、2019年、死にまねを制御する遺伝子群を発見。生物の動きや生き延びるための行動を支配する主要な遺伝子がドーパミンであることを、世界に先駆けて明らかにした。

研究では、米や小麦の害虫として知られているコクヌストモドキの数個体から、刺激を受けたときに死んだふりをする集団と、どれだけ刺激を与えても死にまねしない集団を育種。前者は天敵の攻撃回避に長け、後者は交尾に長けるため野外では両者の共存が見られることがわかっている。

死にまねを行うと、周りの死にまねをしない個体の犠牲によって捕食の危機を軽減することができるが、一方では死にまねを行う個体は運動能力が低いので、繁殖成功度が下がり、それによる遺伝的トレードオフがあるということだ。

死にまねが隣人を犠牲にして自分だけ生き残ることができる利己的な行動として進化したのではないか、という大胆な仮説もある。死んだようにじっとしていれば、捕食者がスルーしてくれる……。なんだか、寂しい気持ちにもなるが。

街で熊に出会っても、死んだふりをしてはいけない!
街で熊に出会っても、死んだふりをしてはいけない!

7_生後6ヶ月未満の赤ちゃんと老人は、広い領域の動きを知覚するのが得意

私たち大人では、広い領域の動きのほうが、狭い領域の動きよりも知覚し難いという。これは周辺抑制といって、視覚神経が持つ抑制メカニズムを反映した知覚現象。一方、この抑制機能は老化によって低下するため、結果として、高齢者では、広い領域の動きを若年層よりもむしろよく知覚できる。

これと同じように、生後6ヶ月未満の小さい赤ちゃんでは、広い領域の動きを知覚するのが得意ということが、2019年9月、中央大学、日本女子大学の共同研究により明らかにされた。また、生後6ヶ月以降になると、成人と同じように、狭い領域の動きの知覚が得意になっていくことがわかった。

周辺抑制は、物体の動きを背景の動きから区別して認識する機能に役立っていると考えられている。脳の視覚システムは、単に感覚情報を伝達するだけでなく、不要な情報を抑制することで、高度な知覚処理を実現しているのだ。

つまり、周辺抑制が未発達な小さい赤ちゃんでは、雑多な動きの中から見たい物体の動きを正確に切り分けて知覚するのが苦手だということ。歳をとると赤ちゃんに返るというが。なるほど、こんなところにも現れるのか……。

  • 取材・文井津多亜子写真アフロ

Photo Gallery4

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事