産後うつ乗り越え…「バブリーたまみ」は子育てママを笑顔に変える | FRIDAYデジタル

産後うつ乗り越え…「バブリーたまみ」は子育てママを笑顔に変える

2020年 注目の「顔」にインタビュー

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イベントでは”バブリーたまみ”として全力でパフォーマンス。ママたちの熱量は高い
イベントでは”バブリーたまみ”として全力でパフォーマンス。ママたちの熱量は高い

茶髪のソバージュヘアにピンクのボディコン。80年代を彷彿させる派手メイクで踊るのは、“ママ界のエンターテイナー”として注目を浴びる“バブリーたまみ”だ。

‘19年6月には『ママの笑顔が一番』でキングレコードよりメジャーデビュー。それは一児の普通のママが、たった1年で掴んだシンデレラストーリーだ。

始まりは、ある1本のYouTubeだった――。

「‘17年12月2日に小、中、高校生と同級生だった幼なじみで大親友の結婚披露宴があり、そこで余興をすることになったんです。半年前から打診があったんですが、私は結婚して子供が生まれて落ち着いていたんですよ。だから“そんなことはできません”って、打診があった時は正直、乗り気じゃなかったんです。昔は文化祭があったら主人公じゃなきゃヤダみたいな、盛り上げるのが大好きなぶっ飛んだ娘だったんですが(笑)」

だが、大親友からの頼みだけに、結局は断り切れずにやることに。そこで選んだ演目が、当時ブームにもなっていた大阪府立登美丘高校ダンス部による“バブリーダンス”だった。

「荻野目洋子さんのダンシングヒーローに合わせて踊る、バブリーダンスをすることにしたんです。でも、ダンス経験者じゃないんで、毎朝、息子が起きる1時間前からYouTubeを何度も見て練習したんです。そこから化粧して食事をして、保育園行って会社に行くみたいな生活を1か月くらい続けましたね」

披露宴での余興は、大いに盛り上がり大成功。あまりにもウケたため、バブリーダンスの動画をYouTubeにアップした。地元の友達に見せようくらいの軽い気持ちだったにも関わらず、たちまち100万を超える動画再生回数を記録するなど、大人気になったのだ(‘19年12月現在は約500万回再生)。

「熊本県荒尾市に子育て広場があって、里帰りしているときによく行っていたんです。そこのスタッフさんから“今度、里帰りするときにあのYouTubeの余興をやってくれませんか”って軽い気持ちで言われたんです。私も調子に乗ってイクイクって感じで。それで、子育て広場に来ていた人にバブリーダンスを披露したんです

インタビューに応える”素顔の”バブリーたまみ
インタビューに応える”素顔の”バブリーたまみ

告知していたわけでもないのに、噂を聞いたYouTubeを見た人が遠くからも集まってくれた。子どもからお母さんまで大爆笑で、披露宴のときのように大成功だった。

「そのときに私の中に“スーって”来たんです。これって、私にしかできないかもって。お母さんにも感謝されて、子どもたちからも“バブリー写真撮って”みたいな。結婚して落ち着いていたのに、昔のように前に出てパフォーマンスして楽しかったころを思い出しちゃって。しかも、それで感謝されるっていうのが初めてだったので、すごく気持ちよかった。子育て広場でのバブリーダンスもYouTubeに上げたら、また100万再生とか超えて。それが、“披露宴の余興の人ってママだったんだ”みたいな反響が大きくて、それでママたちからメッセージが来ることになったんです。『会ってみたい。生で見たい』みたいな」

YouTubeから広がったバブリーたまみ。‘18年12月にあるイベントに出席していた姿が、キングレコードのプロデューサーの目に止まることに。

「年明けの‘19年1月くらいにキングさんから連絡があったんです。めっちゃビビりましたよ。だって普通の主婦ですから(笑)。もしかしたら、他の人の歌を歌っていましたから、曲の使用料を請求されちゃうんじゃないかとか。デビューなんて話は、そのときは全く頭になかったです。ただ、大きいレコード会社さんなんで、私を騙すとかはないだろうと。それで、行ったら“自分の曲を出してみない”って言われたんです。1枚幾らで何枚作ってみたいな具体的なことを書かれた提案書みたいのが出て来て、これは本気だぞと。それで怖くなったので、2回目のときは旦那さんにも同行してもらったんです。彼は弁護士さんみたいにすごく構えていましたよ(笑)」

ママたちが笑顔になるような歌を届けたい。その思いでCDデビューを決意したバブリー。そのウラには、彼女が経験した“産後うつ”があった。

「バブリーたまみになる前なんですけど、かなり重度の産後うつになったんです。結構、自分を責めちゃうママだったんです。自分で言うのもなんなんですが、超まじめだったんですね。“お母さんだから○○”って。うつになったときも、そんな自分が信じられないって。子どもをカワイイと思えない自分が情けない。死にたいって。自分が思い描いていた産後とは違っていたんですね。お母さんは天使でどんなときも笑顔で輝いていて、優しく子どもを見守るって思っていたんです。でも、実際は泣きまくりで顔ベタベタ。髪の毛振り乱して、その瞬間、瞬間が必死だったんです」

産後、心が落ち着かない期間が1年間くらいあったという。子育てを頑張り過ぎて、自分を責める毎日を過ごした。

「それで、旦那さんに当たり散らしていたんです。離婚が頭に何度もよぎりましたね。それで息子をカワイイと思えなくなったこともあって、なんでこうなるんだろうって思ったときに、ちょっと息子と離れることを考えたんです。2時間だけ旦那さんに子どもを見てもらって、ちょっと近所の喫茶店でひとりでお茶するだけなんですけど、それがフワーって解放感に満たされたんです。一人で街を歩いてるとか、一人でコンビニ行っただけなんですけど、すごく解放された気分になったんですね。それで家に帰って来ると、息子をカワイイと思えたんですよ。こういう時間って大切だって思ったんです」

『ママの笑顔が一番』の詞は、そんなママたちから“子育て中に救われた言葉”を募集し、バブリーがそれらの言葉を繋いで作詞した。全国のママたちから、ものすごい数の言葉が送られてきた。

「私が一番好きな言葉は『あなたはもう十分頑張っている』っていうフレーズ。この言葉はすごいです。これママたちは言われないんですよね。歌っていても、あの“産後うつ”ときにこの言葉を言われたかったなあって思います。お母さんって褒められないんですよね。会社とかなら目で見える評価をされるんですけど、子育てって、産んで当たり前、やって当たり前。お母さんは頑張って当たり前だからみたいな。子どもはカワイイみたいな歌はいっぱいあるんですけど、お母さんの頑張りを“ねぎらう”歌ってないなって。だから私がこの歌を歌って、子育てをするママたちを応援していきたい。そして‘20年はパパたちにも“バブたま”イズムを広めていきたいですね」

子育てママを笑顔に変えるバブリーたまみ。彼女は‘20年の日本を、間違いなく明るくしてくれるに違いない。

  • 取材・文荒木田 範文(FRIDAYデジタル芸能デスク)

    埼玉県さいたま市出身。夕刊紙、女性週刊誌の記者、編集者を経て現職。テレビやラジオなどにも出演中

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