『教場』木村拓哉もびっくり⁉ 元警察官が明かす警察学校の真実

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警察学校の教官役を演じる木村。白髪に義眼という今までにない役柄に挑戦した(‘18年)

俳優・木村拓哉が主演。1月4日・5日の二夜連続で放送される開局60周年特別スペシャルドラマ『教場』(フジテレビ系)。このドラマで木村が演じるのは、冷徹な警察学校の教官・風間公親。初めての白髪頭、そして焦点の定まらない双眸といった、今までにない木村のビジュアルにも注目が集まっている。

「原作は、累計57万部を記録している長岡弘樹氏の同名のベストセラー小説。厳しすぎる規律、厳罰制度、絶対服従の上下関係などが当たり前の警察学校が舞台。ハラスメント、働き方改革が叫ばれる今の社会に一石を投じる問題作でもあります」(テレビ局関係者)

原作でも、制服のスボンにシワがあっただけで、腕立て伏せ。職務質問の実習で成績が悪かったことから、原稿用紙20枚の反省文の上に連帯責任のペナルティが課せられる。さらに、夜間警備の当番が回って来る場面では個室のドア越しに生徒の嗚咽が聞こえ、精神に異常をきたす者も一期に1人は出て来るなど、警察学校の恐るべき実態が描かれている。

しかし小説は、あくまでフィクション。警察学校の実態は、実際いかなるものなのか。元埼玉県警で現在一般社団法人スクールポリス理事。コメンティターとしても活躍する佐々木成三氏に話を伺った。

「身なりはもちろん、部屋が整理整頓されているのかも抜き打ち検査が度々あり、ちゃんとしていない人がいると、全員でジュラルミンの盾を持って校庭を何十周も走らされる。成績不振は当然のこと、授業中に寝ている生徒が見つかった場合も連帯責任で走らされました。私自身も一度、夜の点呼(22時)に間に合わず、同部屋の2人と校庭を何十周も走らされ、1か月間外出禁止をさせられました。警察学校の生徒は、給料をもらって学んでいます。だから1人の失敗は、一警察官の失敗では済まされない。埼玉県警、ひいては日本の警察の看板を背負っているという意識を徹底的に叩き込まれました」

そもそも警察学校に入るためには、一次試験では英語などの学科や社会常識など5択問題を50問。これに合格すると二次試験では面接・体力測定・集団討論が待っている。

これらをすべてクリアすると、晴れて警察学校に入学することができる。しかしその前に1週間の仮入学があり、この段階で早くもやめてしまう生徒が出るという。

「入学期間は、高卒で10か月、大卒で6か月。2割くらいが途中で退学します。僕の同期は32人いましたが、幸い誰も途中で辞めることはありませんでした。私自身は高校時代野球部に所属して、団体生活にはある程度慣れていましたから、ストレスは感じませんでした。苦しさよりも10か月間、苦楽を共にする同期との絆が、何と言っても財産。僕が警察を辞める時も、温泉で退職祝いをやってくれ、今でも固い絆で結ばれています」(前出・佐々木氏)

しかしそんな佐々木氏にも、”やめたい”と担任の教官に漏らしたことがある。

「入学して1か月間は、外出禁止。外出禁止が開けたGWに、故郷・岩手県一関に帰省したところホームシックにかかり、真剣にやめようと思いました。ところが教官が『6月にはボーナスが出るからもらってからやめろ』と指導され、6月を乗り越えると『8月にはサッカー大会がある。運動神経がいいんだから、そこで活躍してからやめろ』と励まされ、最後には『卒業が近いから卒業してからやめろ』と言われ、無事に卒業することができました。今から思えば教官にはとても支えられました」

しかし何故、そこまで厳しい規則や厳罰主義で徹底的に追い込むのか。それには深い理由があると、佐々木氏は明かす。

「卒業後に交番などで勤務すると、日々違う事件が起きる。その時、正しい判断を下そうにも経験が少ないため、どうしていいかわからなくなる。そうならないためにも、学校でその道のエキスパートに徹底的に鍛えてもらう。そうしないと、卒業後に苦労するんです。だから学校では、厳しさが必要なんです。それだけに卒業式を迎える日は、生徒皆、号泣。鬼のように怖かった教官と抱き合って喜びを分かち合ったあの日のことは、今でも覚えています」

厳しい教官の教えにも耐えて、佐々木氏は6番という優秀な成績で卒業。東京都と県境を接する蕨警察署に赴任する。

「卒業配置は、基本学校での成績によって決まります。私は、忙しいところで経験を積みたかったので蕨警察署を希望しました。警察学校での10か月、そして蕨警察署での経験が、後に県警本部捜査一課で大変役に立ちました」(佐々木氏)

木村拓哉演じる『教場』の冷徹なカリスマ教官・風間公親。白髪頭に焦点の定まらない双眸という今までない役柄への挑戦。このドラマは今後の木村拓哉を占う意味でも、見逃せない作品になりそうだ。

 

  • 取材・文島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • PHOTO川上孝夫

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