アメリカ大麻ツーリズムが大盛況 日本人参加者の吸引現場に潜入

世界中で広がる大麻合法化の波。アメリカ感覚で持ち込んで日本人を蝕む

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収穫1週間前の大麻。雑草と同じで成長が早く、種子の状態から収穫までにかかる期間は3〜6ヵ月ほどだ

世界中で大麻合法化の波

近年、違法ドラッグに対する認識が世界中で激変している。

カナダで大麻が完全合法化されたのは’18年10月のことだった。

アメリカでは’96年にカリフォルニア州で医療用大麻を認める法案が初めて通過。’14年にはコロラド州で娯楽用大麻が合法化されたが、これは全米初であった。それがきっかけでアメリカに大麻合法化の波が広がったと言われている。

今では11の州で一定量の大麻を私有地で消費することが可能であり(ただし21歳以上に限る)、バーモント州、首都ワシントンD.C.では大麻所持、栽培、シェアリングも許可されている。

『真面目にマリファナの話をしよう』 (文藝春秋)の著者・佐久間裕美子氏は、「大麻合法化の流れは大きく二つに分けることができる」としている。ひとつは、「市民たちの民意で起きた、カリフォルニア発の医療使用合法化の波」で、もうひとつは、(リーマン・ショックから回復しようとする)「経済的動機に動かされた嗜好用マリファナ解禁の波」であるという。

大麻を合法化する政府には、大麻が犯罪組織の資金源になることを防止し、かつ、大麻関連産業で税収を増加させる狙いがあることが多いようだ。

ほとんどの州で、大麻合法化は住民投票によって決められている。米世論調査会社『ピュー・リサーチ・センター』が’18年10月に行った調査では、米国民の62%が合法化を支持し、「ミレニアル世代」(’81〜’97年生まれ)に至っては支持率が74%に上っている。大麻合法化は民意を反映した結果であるということだから、この波が収まることはないだろう。

アラスカ州、カリフォルニア州、コロラド州、ネバダ州、オレゴン州、ワシントン州の6州では大麻関連ビジネスが活況を呈しているが、とくにコロラド州とカリフォルニア州では大麻ツーリズムが大盛況だ。カリフォルニア州の大麻ツアーには日本人の参加者も徐々に増えているという。

アメリカにいると、「なぜ大麻が悪いのか」という感覚に陥るようで、その感覚のまま大麻を日本に郵送したり、持ち込んだりする日本人が増えている。

筆者もアメリカに20年近く住んでいたので大麻に対するアメリカ人の意識と日本人の意識のギャップにはいまでも驚かされる。だが、いまの日本で大麻を使用すれば犯罪者として裁かれて、人生を棒に振ることを忘れてはならない。

日本人の大麻吸引現場に密着

筆者はロサンゼルスで最大の大麻ツアー会社『LA Hemp Tours』に連絡し、ツアーに参加してみた。参加者は計10人で、価格は日本円でたったの約5000円。午後4時に集合し、3時間のツアーに出る。専用のマイクロバスに乗り込み、まずは「ディスペンサリー」(大麻、大麻製品、大麻食品の店)へ。そこで実際に栽培されている大麻を目の当たりにする。ツアーを運営しているトラビス氏(54)はこう語る。

「約2年前にカリフォルニア州で娯楽用大麻が解禁され、すぐツアー会社を立ち上げました。最初は9割が州外や海外の客でしたが、今では国内での関心が高まり、客の35%がカリフォルニア州民。もちろん日本、マレーシア、チリ、UAE、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど海外からの参加者もいます」

参加者のアメリカ人は全員知り合いで、一緒にツアーに申し込んだという。

「彼らは全員、五大湖近くにあるインディアナ州の住民です。インディアナ州ではまだ娯楽用大麻が合法化されていないので、ロサンゼルス観光も兼ねて大麻を吸いに来たそうですよ」(トラビス氏)

ディスペンサリーでは、CBD(カンナビジオール:医療用に使われるハイにならない大麻の成分)が含まれる製品とTHC(テトラヒドロカンナビノール:ハイになる大麻の成分)が含まれる製品との違いを説明され、さまざまな品種を実際に嗅(か)ぐこともできた。

参加者は1軒目で好みの大麻を購入し、それを持ってツアーバスの中で吸う。車内は盛り上がり、会話が弾んでくる。煙が車内に充満するが、驚くことにタバコのにおいよりはるかにマシだ。

インディアナ州から参加したアメリカ人たちの多くは学生時代に大麻を吸ったことがあるようで、久しぶりの感覚に「euphoric!(ユーホリック)(陶酔感がある、ハイな気分である)」と叫んでいた。

参加者唯一の日本人である30代派遣OLのAさんは、「大麻は不眠症に効くらしいのですが、私は少ししか吸わなかったからか眠くはなりませんでした。むしろ、『煙たい!』というのが一番の印象です。タバコの煙より何倍も濃かった気がします」と感想を語った。

ディスペンサリーには、大麻を吸うためのパイプをはじめ、ハイにならない大麻成分・CBDが含まれる大麻オイル、大麻ドリンク、大麻チョコレート、大麻スキンケア製品なども売られている。CBDが含まれているスキンケア製品には、ニキビの原因となる皮脂分泌を抑える効果が期待できるという。

主催者のトラビス氏は、「大麻の使用は安全第一。正確な情報を提供することが重要だ。このツアーは娯楽でもあり、同時に教育のためでもある」と強調する。

今回のツアーでは、最後に山の頂(いただき)からロサンゼルスの夜景を楽しむサービスもあった。参加者は大麻と夜景を堪能し、ハイになった状態で解散した。

パイプで大麻を吸う日本人のAさん。「煙たかったけれど、ややリラックスできた気がします」と語った

これがツアーの全貌だ!

ディスペンサリーで購入した葉巻式大麻を吸うアメリカ人の参加者。この葉巻を参加者で順番に回していく
ツアーで使用されたバス。参加者が大麻を吸い始めると、バス内には息もできないほど濃い煙が充満した
ディスペンサリーには大麻成分が入った痛み止め効果のあるペット用薬剤やチョコレートも販売されている
ツアーを運営するトラビス氏と大麻のにおいを嗅ぐAさん。人によっては甘いにおいを感じることもある
大麻成分が入ったワイン。ワイン以外にも、大麻入りビールや大麻入りエナジードリンクなどが存在する
大麻を吸引する道具も販売されている。左手前のような長い吸引器ほど、煙の温度が下がり吸いやすくなる

香りや効き目をカスタマイズして自分好みの大麻に

ロサンゼルスにあるディスペンサリーで働く店員のアッシュレイさん。客に合った大麻を薦めてくれる

『FRIDAY』2020年1月10・17日号より

  • 撮影大野和基

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