カルロス・ゴーン逮捕から1年「謎のバイク集団」に監視される日々
妻にも会えず、正体不明の「監視者」に張り付かれ…
「ゴーンさんは東京都港区内にある住居から、ほぼ毎日、麹町にある弘中惇一郎弁護士の事務所まで通っています。そこでパソコンを見たり、裁判の記録を読んだりしている。奥さんとは直接会うことはまだ許可されていませんが、そんな状況にもよく耐えて、娘さんなど家族の支えでなんとか暮らしています。
ときには都内のホテルで友人と会食したり、裁判所の許可を得た上で、娘さんと京都に旅行に行ったりしたこともありました。春から始まるとされている裁判については、無罪になると確信しています」(ゴーン氏の知人)
世界的自動車メーカーのトップが在職中に逮捕されるという、衝撃の事件から1年以上が経過した。日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏(65)は現在、保釈中の身だが、「謎のバイク集団」に監視される日々なのだという。
本誌記者も目撃していた
’19年11月、逮捕から1年の節目を前に行った会見でゴーン氏の弁護人、弘中弁護士はこう明かしていた。
「いつも車やオートバイがいて、ゴーンさんが家を出ると同時につきまとってくる。これに対する対策を考慮中です。背後に誰がいるのかまでは突き止めていません。精神的に非常に不愉快です」
実際、本誌がゴーン氏に接触を試みようとしたときにも、バイクの傍らに立ち、ゴーン氏の住居の方向を監視するサングラスをかけた男性の姿を何度も目撃している。黒のライダースジャケットに身を包み、無線で誰かとやり取りをするためか、イヤホンをつけ、身じろぎもせずに長時間立っていた。ゴーン氏が移動したのを見届けたのか、しばらくすると姿を消した。
謎の「監視者」を差し向けたのが、捜査当局なのか、敵対する日産関係者なのか、それとも別の組織なのかはよくわからない。しかし、世界的に注目を集める裁判を控え、正体不明のバイク集団に監視される日々は相当なストレスが溜まるに違いない。
元検事で弁護士の郷原信郎氏は、ゴーン事件の構図をこう解説する。
「今回の事件は、日産の経営陣によるゴーン氏の追放劇に東京地検特捜部が手を貸したというものです。検察はゴーン氏が将来受け取る役員報酬を有価証券報告書に記載しなかったとして、金融商品取引法違反で逮捕しました。しかし、受け取る予定があったとしても、それを記載する義務があるのかは疑問で、無罪になる可能性は相当高いと思います。
逮捕、勾留を繰り返して、ゴーン氏の無罪主張を封じ込める『人質司法』を露骨に使おうとしたのですが、裁判所が保釈を認めて、それもできなくなった。検察が、ゴーン氏と妻との接触禁止に固執するのも、ゴーン氏への嫌がらせです」
ゴーン氏は強欲で会社を私物化したが、それが法律に触れるかどうか、立証は難しい。注目の裁判は4月から始まる見通しだ。
『FRIDAY』2020年1月10・17日号より
- 撮影:結束武郎