ラグビー日本代表が再び! トップリーグは「キャプテン」に注目

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日本が誇る絶対的「キャプテン」リーチマイケル。でも、今季のトップリーグでは主将じゃない?(写真アフロ)

流、姫野は主将だが、リーチは役職なし?

ラグビーW杯の熱狂が再び蘇るーー。

いよいよ本日12日より国内最高峰リーグ「ジャパンラグビー トップリーグ2020」が開幕する。

今シーズンは流大(サントリー)、姫野和樹(トヨタ自動車)、徳永祥尭(東芝)、坂手淳史(パナソニック)と4人の日本代表が各チームでキャプテンを務めるほか、リーチマイケル(東芝)やピーター・ラブスカフニ(クボタ)、キアラン・リード(トヨタ自動車)、ジャック・ラム(NEC)など、W杯で各国を牽引したリーダーたちもトップリーグに参戦。

新旧「キャプテン」たちによる本気の戦いにも注目が集まるトップリーグ。W杯以上に楽しむためにラグビーにおける「キャプテン」の重要性をいま一度理解しておこう。

キャプテンだけに許された「ある権利」

先のW杯では観客席からヘッドコーチ(HC)が試合を注視しているシーンがたびたび映し出されたが、ラグビーではゲーム中、HCはスタンドに座るのが一般的だ。ピッチサイドから事細かに指示を出せるわけではないため、ひとたび試合が始まれば、グラウンドに立つ選手が自分たちで判断しながらプレーを組み立てていくことになる。

その一方で、ペナルティを獲得した際にゴールを狙うか、トライを目指して攻めるかなど、ラグビーでは試合中に重要な判断をしなければならない局面が多い。こうした選択を最終的に決断するのは「キャプテン」の役割だ。

また、レフリーとコミュニケーションをとるのも、キャプテンの大切な仕事になる。微妙な判定についてレフリーに質問できるのは、原則キャプテンだけ。競技規則にも、「キャプテンとはチームにより指名されたプレーヤーのことで、そのチームを率い、レフリーに意見を求め、レフリーの決定に関連するプレーの選択を行う」と記されている。

何よりキャプテンには、プレーで仲間を引っ張ることが求められる。肉体的にも精神的にも極限まで追い込まれる中、体を張って自ら範を示すからこそ、チームの士気は高まる。

このように多くの重責を担い、チームを目指す方向へ導く存在となることから、ラグビーではしばしばキャプテンを『スキッパー』(船で舵を握る人)と称することもある。

主将が2人の「共同キャプテン」って?

重責を担うキャプテン。しかし、こうした負担を軽減するために、近年世界的にトレンドとなっているのが、複数の選手でキャプテンの役割を分担する「共同キャプテン制」だ。今季のトップリーグでも、神戸製鋼やサントリー、東芝など、多くのチームが共同キャプテン制を採用している。

キャプテンが2人いれば、ひとりが前線で体を張ってチームを鼓舞し、もうひとりはプレー選択や戦術的な判断を担当するというように、役割を分けることができる。それぞれを自分のパートに集中させることで、より高いパフォーマンスを発揮できるというわけだ。おのおのの苦手な部分を補いつつ長所を引き出し合い、相乗効果が生まれることも期待できる。

またキャプテンが2人いれば、どちらかが負傷してピッチに立てなくなったとしても、リーダー不在の危機に陥らずに済む。チームによっては、クラブ運営や日々の活動でリーダーとなる『チームキャプテン』と、試合の際にプレー選択やレフリーとコミュニケーションをとる役目を担う『ゲームキャプテン』という形で、役割を分けるケースもある。

リーチと流のキャプテンシーのすごさ

現在の日本ラグビー界でキャプテンといえば、W杯で日本代表を史上初のベスト8に導いたリーチマイケルを思い浮かべる人が多いだろう。

キャプテンとしてのリーチのすごさは、体を張った攻守でチームを勢いづけられる勇敢なプレーと、苦しい状況に追い込まれても絶対に弱気な態度を見せない強靭な精神力だ。どんな時も先陣を切って戦う態度を示す姿には、「これぞキャプテン」といった風格が漂う。中学までニュージーランド、高校からは日本で過ごし、国際試合において重要になる英語と、チームをまとめるうえで欠かせない日本語の2つの言語に堪能な点も、特別な存在であるゆえんのひとつといえる。

今季、所属する東芝では日本代表の後輩である徳永祥尭が共同キャプテンを務め、リーチには肩書きがついていないが、これは代表チームで重責を担ったリーチの負担を減らすとともに、次世代のリーダーを育てるという狙いからだろう。

そのリーチを日本代表で支え、サントリーでキャプテン4季目を迎える流大(ながれ・ゆたか)は、常に強い向上心を持ち、貪欲にラグビーに取り組む姿勢を高く評価されてきたリーダーだ。プレー中はよく通る声で的確に指示を出し、仲間を奮い立たせつつ、相手が隙を見せた瞬間にボールを配してたたみかける。高校、大学、社会人とすべての所属チームでキャプテンを務め、数々の栄冠を手にしてきた理由が、ここにある。

今回で4季目のキャプテンを務めるサントリーの流大(写真アフロ)
W杯では「最高の給水係」として話題となった徳永祥尭は、リーチの代わりに東芝のキャプテンを務める(写真アフロ)

キャプテンはフォワードが多い理由

さまざまなタイプのキャプテンがいる一方で、ラグビーにはキャプテンを務めることが多いポジションもある。

傾向としてはバックス(BK)よりフォワード(FW)から選出するケースが多く、ラグビー王国ニュージーランドでは「リーダーは率先して体を張って姿勢を示すべき」という理由から、キャプテンはFWという考え方が伝統的に根強い。ちなみに今季のトップリーグでは、全16チーム中9チームがFWのキャプテンで、BKのキャプテンは2チーム、残る5チームがFWとBKの共同キャプテンとなっており、全23人のキャプテンのうちFWの選手が15人に上る。

FWの中でもキャプテンを務めるケースが多いのがフランカーやナンバー8、フッカーで、BKではスクラムハーフやセンターがキャプテンというイメージが強い。逆にキャプテンが少ない印象のポジションは、スタンドオフとウイング。これは、スタンドオフは司令塔の役割にキャプテンまで兼任させるのは負担が大きく、ウイングはグラウンドの端に位置しプレーに絡む機会が比較的少ないポジションというのが要因かもしれない。

もちろんそれぞれのチームのカラーやカルチャーによっても、求められるキャプテン像は変わってくる。こうした背景まで想像しながら見れば、トップリーグ観戦の楽しみがさらに広がるかもしれない。

  • 取材・文直江光信

    1975年熊本市生まれ。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)

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