IR汚職事件 まだまだいる「中国企業からカネをもらった政治家」
「秋元はカジノ誘致に関して、ほとんど発言力はありませんでした。にもかかわらず、あのクラスの議員にカネを渡していたということは、他にもバラまいていたと見て間違いないでしょう」(IR議連に名を連ねる自民党中堅議員)
昨年末に発覚した秋元司衆議院議員の汚職が、大規模収賄事件に発展しようとしている。新たに関与が疑われているのは、自民党の岩屋毅前防衛相、宮崎政久法務政務官、中村裕之元文部科学政務官、船橋利実議員と、日本維新の会の下地幹郎元郵政民営化担当相の5人。このうち下地議員は1月6日に会見を開き、中国企業「500ドットコム」から現金100万円を受け取っていたことを認めた(他4議員は否定)。
「さらに1月7日には、白須賀貴樹衆議院議員と勝沼栄明元衆議院議員も東京地検特捜部の事情聴取を受けていたことがわかりました。この二人は’17年末、秋元議員とともに『500ドットコム』を訪問。訪問の経緯や旅費の支払いについて事実関係を確認したとされています」(全国紙司法担当記者)
まさに「カジノ疑獄」だが、疑惑の議員はまだまだいるという。
「逮捕の直前、疑われていることに焦った秋元議員は、『2000万円もらった大物議員もいる』と仲の良い記者に語っていたそうです。現在、名前が出ている政治家は秋元議員を含めて8人ですが、特捜部はこの他に4人の議員をマークしています」(同前)
いったいなぜ、これほど多くの議員に収賄疑惑が浮上しているのか。背景にあるのは、日本でのカジノ事業に何としてでも絡みたい中国企業の思惑だ。前出のIR議連中堅議員が証言する。
「議員に接触してくる中国企業は後を絶ちません。ほとんどがカジノ事業者ではなく、IT企業やオンラインゲームなどの会社。彼らは自治体が開くIRに関する説明会に顔を出し、政治家と名刺交換をする。そこで『ぜひ視察に来てください』とやるわけです。秋元らはその口車にまんまと乗せられて、接待漬けにされたんでしょう」
IR事業の今後について、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう語る。
「今回の事件によって、国民のなかに『政治家がまた私腹を肥やすのか。じゃあIRなんていらないよ』という嫌悪感が生まれているのは間違いありません。これまで誘致に積極的だった自治体も、市民感情を考慮して手を挙げなくなるかもしれない。今後、さらに議員が逮捕されるようなら、IR事業そのものが頓挫する可能性も十分考えられます」
やっぱり汚職まみれだったカジノ事業。安倍政権の得意のゴリ押しはもはや通用しそうもない。
『FRIDAY』2020年1月24日号より
- 写真:時事通信社