超ラクなのにダイエット成功!?地味にスゴい「スロージョギング」 | FRIDAYデジタル

超ラクなのにダイエット成功!?地味にスゴい「スロージョギング」

さまざまな生活習慣病の予防・改善にもなるのになかなか注目されない健康法をご紹介!

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走ることには抵抗がある人でも継続できるほど、辛くない運動が『スロージョギング』なのだ
走ることには抵抗がある人でも継続できるほど、辛くない運動が『スロージョギング』なのだ

スロージョギングという健康法があるのをご存知だろうか。そもそも「ゆるやかなペースで走る」のがジョギングだ。それよりも「スロー」とはどういうことか。

あえてひと言で言うならば「小刻みに走るジョギング」である。そのスピードはなんと、歩いている人に抜かれるくらいのスピード! しか~し、この地味な運動法、その効果は絶大なのだ。地味すぎて話題にならない「スロージョギング」のスゴさ、とくとご覧あれ!

○スロージョギングで11kgの減量に成功!

「高血圧や肥満対策に悩んで、ウォーキングなどを長く続けてきたのにまったく効果がなかった人が、スロージョギングを始めたとたんに血圧が下がった、痩せることができたという報告をたくさん受けています」

こう語るのは、一般社団法人日本スロージョギング協会アドバイザーの讃井里佳子さんだ。このスロージョギングの効果は、「まるで万能薬のよう」だと讃井さんは言う。

「何しろちっともきつくないのに、地味でもしっかり有酸素運動。ウォーキングと比べて約2倍のエネルギー消費ができて、減量に驚くほど効果があるのです」

また、骨粗しょう症、高血圧、糖尿病、がん再発防止、さらには認知症予防や心臓病予防にもなるという。まさに仰天効果の健康法なのだ。

 

「最近の研究では、スロージョギングを行うと脳から幸せを感じるホルモンが出てきて、実際に幸せな気分になってくると言う報告もされています。この成分はウォーキングでは現れないんですよ」

スロージョギングを提唱したのは、福岡大学名誉教授の故・田中宏暁名誉教授。田中教授は、50年来にわたって「強度が弱い、ニコニコペース(笑顔で取り組める)の運動で生活習慣病の予防改善ができる」という仮説のもとに、研究と実験を重ね、スロージョギングが健康に良いという数多くのエビデンス(証拠・証言)を得たのだ。

前出の讃井さんは、田中教授のもとで運動生理学を学んだ教え子である。まずはこんな体験談をご紹介しよう。

東京都大田区在住の佐々木かず子さん(=仮名/55歳)は、’10年に乳がんが発覚し手術、抗がん剤治療をしていた。佐々木さんは当時、身長157cmで体重58kgだった。

抗がん剤の副作用によって体力がなくなり、気持ちも落ち込んでいた佐々木さんは、あるとき雑誌で「肥満の女性は乳がんの再発リスクがあり、その予防のためには運動が必要だ」という記事を読んでテニスを始めたのだが、試合中に大怪我をしてしまう。その後、インターネットで「スロージョギング」というキーワードに出会い、リハビリを兼ねてスロージョギングをはじめてみたのだった。

すると、まず58kgだった体重がほんの2ヵ月で50kgになった。さらに食事にも気を使うようになると体重は47kgに。何とトータル11kgの減量に成功したのだ。がんの再発の可能性のある5年は無事に過ぎて、今年10年を迎えると言う。

○なぜウォーキングではなくスロージョギングなのか

「ジョギングは辛そうだ。ゆっくり走るより、速歩きの方が楽ではないか」
そう思う人もいるかもしれない。しかし、これは全くの誤解である。

まず理解しておきたいのは、スロージョギングはウォーキングではなく、ランニングの一種であるということ。そもそもの違いは速度で決まるわけではなく、下記のような違いにある。

◉ウォーキング=前進する時、どちらかの脚が必ず地面についている
◉ランニング(ジョギング)=両足が同時に地面から離れている(ジャンプの連続)

両足が地面から離れる瞬間があると、運動中は自然と腹筋や背筋が働く。さらに、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)やお尻の筋肉(大臀筋)といった、体の中でも比較的大きな筋肉が使われることから、エネルギーの消費量が大きくなるのだ。

「しかも、運動時の脈拍が同じだと、ウォーキングよりスロージョギングの方が楽だと感じられるのです」

と讃井さん。また、トレーニングでウォーキングを行っている人の中には、膝を痛めた経験がある人も少なくないだろう。大股で歩くためにかかと着地になりがちで、そのせいで膝を痛めてしまうことがあるのだ。スロージョギングは、膝関節や股関節といった関節への負担が少ないと言う利点もあり、ケガをしにくいのだ。

図1 スロージョギングで使われる筋肉
スロージョギングでは加齢で衰えやすい筋肉が中心に使われる
スロージョギングでは加齢で衰えやすい筋肉が中心に使われる

 

図2 ウォーキングとランニング(スロージョギング)の主観的運動強度の比較
ウォーキングよりランニング(スロージョギング)の方が「楽だ」と感じる
ウォーキングよりランニング(スロージョギング)の方が「楽だ」と感じる

○スロージョギング実践のポイント

さて、それでは実際にスロージョギングをはじめてみよう。スロージョギングには5つの動きのポイントがある。

① フォアフット(足の付け根の部分で)着地
② 歩幅は小さく、約20〜40cm。1分間180歩、足踏みするテンポ
③ 笑顔でおしゃべりできるペース
④ 腕は自然に振る
⑤ アゴは自然に上げて、目線を遠くに背筋を伸ばす

図3 スロージョギング走法のポイント
大きなポイントは「フォアフット着地」と小刻みに走ること
大きなポイントは「フォアフット着地」と小刻みに走ること

○フォアフット走法のコツ

スロージョギングの特徴の一つが「フォアフット着地」だ。これは足の指の付け根の部分で着地する走法のこと。マラソンの日本記録保持者の大迫傑選手がこの走法を取り入れたことでも知られ、「脚の負担を軽くして加速する走り方」として注目を集めている。フォアフット着地の感覚を最も手っ取り早くつかむには、まず裸足になって走るのがオススメの方法(図4)。

なぜなら、人間にとってもっとも自然な走り方は、裸足の状態の走り方だからなのだ。さらに、いったん立ち止まり、その場で10回ほどジャンプをしてみて欲しい。ジャンプしたときの着地がフォアフット着地になっていることに気づくはずだ。

図4 フォアフットで走るコツ
フォアフット着地をすることで、脚にかかる負担を軽減することができる
フォアフット着地をすることで、脚にかかる負担を軽減することができる

また、着地と同じくらい大事なポイントは、歩幅を小さく小刻みにすること。スロージョギングでは、1分間に180歩のペースで走ることを勧めている。15秒間ならば45歩。これはかなりチョコチョコとしたピッチである。

呼吸は自然で構わない。また、腕を振る必要もない。腕を脇に添えて、手は軽く握る感じで、肩の力を抜いて前後に軽く揺する程度。リズムを取るくらいの感覚でいい。

○最初は「1分間ジョグ&ウォーク」で

初めてで自信がないという方には、「1分間ジョグ&ウォーク」をお勧めしたい。これはとても簡単。1分間をスロージョギングで走った後、少しだけ早歩きのペースで30秒間歩く、というもの。これを10セット、15分間。まず1日目はこれだけでスタートして、だんだん20セット、40セットと伸ばしていけばいいだろう。慣れてくるとウォークがなくてもスロージョギングだけで走れるようになってくる。

○スロージョギング&ターン

スロージョギングのいいところは、どこでもできるところにある。散歩のように道路でもできるし、公園や運動場のトラックではもちろん、ジムにあるランニングマシンでも同じことだ。さらに部屋の中でもできる「スロージョギング&ターン」という方法もある。基本パターンは、

◉8の字を描くように繰り返す
◉6歩かけて前進し、その後3歩かけてターンをする
◉室内で1.3〜2.6mの間隔をとり、1分間に20回ターン

これは、ターンの際にスピードの減速と加速があるので余計にエネルギーを消費するために、通常のスロージョギングよりも運動効果があると言われている。

図5 スロージョギング&ターン(8の字パターン)
走る向きにも制約はない。足腰を痛めている場合は、無理をせずに(仮Cap)
走る向きにも制約はない。足腰を痛めている場合は、無理をせずに(仮Cap)

○疲れない、体力もどんどんアップする

「いくら健康にいい、体にいいと言われても、いまさら走るなんて――」
そう思う方もいるだろう。しかし、スロージョギングは「笑顔で、鼻歌が歌えて、おしゃべりができる」というペース。つまり、まったく疲れない運動法なのだ。

もちろん、取り組みはじめたばかりの時は、多少太ももやふくらはぎが硬くなったり、少々痛かったりもするかもしれない。でも、数回目には慣れてきて、それもなくなるはず。

「さらに、スロージョギングでは乳酸がたまらないことも実証されています」(讃井さん)

乳酸とは別名「疲労物質」と呼ばれるもの。激しい運動が続くと筋肉が極端に酸性の状態に傾き、もうそれ以上は動けないという状態になってしまうことだ。

運動において、乳酸のたまらないギリギリの速度を「乳酸閾値」と言う。この値は人によって異なり、トレーニングを重ねることによってその限界値を上げることができる。つまり、運動強度を高めても乳酸が溜まりにくい体になるのだ。スロージョギングはもともと乳酸が溜まりにくい運動強度のため、乳酸閾値を上げるのにうってつけと言えるだろう。この走法でトレーニングを続ければより疲れにくい体になり、フルマラソンの速度や距離に挑戦することも夢ではなくなるのだ。

血圧も心拍数もさほど上がることはなく、動脈硬化にも効果があり、認知症予防にもなる。ダイエットが目標だったのに、さらなる効果まで手に入れることができるのだ。今年こそ、スロージョギングでとびきり健康な体を手に入れようではないか。

『らくらくスロージョギング運動』(講談社α新書)
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*「スロージョギング」は、一般社団法人日本スロージョギング協会の商標登録です。
*スロージョギングイベント。講習会については協会ホームページを参照

讃井里佳子 1965年福岡生まれ。一般社団法人日本スロージョギング協会アドバイザー。福岡大学体育学部(現スポーツ科学部)で「スロージョギング」の提唱者、故・田中宏暁教授の元で運動生理学を学ぶ。『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)、『ノンストップ!』(フジテレビ系)など出演多数。昨年4月に『らくらくスロージョギング運動』 (講談社+α新書)を上梓

  • 取材・文小泉カツミ

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