なぜか大人気!自分の家がインドカレー屋に大変身するCDとは?

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こちらがシリーズ第8作となる最新作。2019年の11月に発売された

シリーズ第1弾発売から15年。『インドカレー屋のBGM』がロングヒットとなった秘密とは?

サブスク全盛のこの時代に、超ロングセラーのCDアルバムがある。秋元康プロデュースのアイドルか、はたまた韓流か。否、そうではない。『インドカレー屋のBGM』である。

いったい何を言っているのかと、いぶかるむきもあるだろう。『インドカレー屋のBGM』というのが、アルバム名なのだ。2005年に1作目が発売され、昨年秋には8作目がリリースされた。しかも、このご時世にあって配信なし、すべてがCDのみでの発売だ。

ディレクターはビクターエンタテインメント・ストラテジック制作部の川口法博氏。なぜ、こんな不思議なタイトルのCDを企画したのか。

「インドカレーが大好きなんです。食べ歩きをしていると、どこも似たようなBGMが流れている。CDが欲しくなって調べたら、ボリウッドと呼ばれるインドの映画音楽でした。世間には、私のようにインドカレー屋のBGMを探している人がいるに違いない。その一念で企画しました」

アメリカがハリウッド映画なら、インドはボリウッド映画だ。しかし、一般的には馴染みのない言葉である。『ボリウッド全曲集』では、インドカレー好きの手元に届かない恐れがある。そこで川口氏はストレートに『インドカレー屋のBGM』をアルバム名にしたのだ。ド真ん中の豪速球で。

川口氏が所属している部署は、ストラテジック制作部。サザンオールスターズや、星野源といったキラ星のスターを擁するビクターにあって、それだけではすくいとれない、こぼれおちてしまうような音楽をCDとして制作している。

「ヒット企画では、『ベスト・オブ・正月』というCDも制作しました。クリスマスのコンピレーションアルバムはたくさんあるのに、お正月がない。これは、2万枚売れました」

そんな川口氏が仕掛けた『インドカレー屋のBGM』であるが、「激辛編」「ライス抜き」と順調にリリースを続けていたが、2006年2月の発売で一旦シリーズが途切れてしまう。このアルバムには謎の空白期間があるのだ。

「演歌の部署にいっていました。担当したのが黒人演歌歌手のジェロ。デビューしてからあの短期間で紅白に出場したのですから、思い入れがあります」

さすが企画の川口氏である。演歌といっても雪国出身でも漁師でもない。ペンシルベニア州ピッツバーグ出身だ。そうなのだ、空白期間は川口氏の部署異動が理由だったのだ。再シリーズ化は2016年になるのだが、すこぶるパワーアップして帰ってきた。それが一緒に歌える歌詞カードである。

もちろんインド人歌手は、ヒンディー語で歌っている。当然ながらそのままでは日本人は読めないし、歌えない。そこで川口氏が考えたのは、全曲に「空耳」歌詞をつけることだ。ぶっ飛んでいる。以下は例である。

曲名:トゥーネ・マリ・エントリヤーン

利根麻里 エントリー嫌で 出る目マジ カントリーやれ
淡々 淡々…
利根麻里 エントリー嫌で 出る目マジ カントリーやれ
息吸うコメント嫌で PR期 ギャランティやれ

利根麻里とはいったい誰なんだ?と、ツッコミどころ満載の歌詞カードになっているのだが、これも全曲川口氏がつくった空耳だ。

ヒンディー語の音をアルファベットにして、辞書と格闘して、空耳にしました。かなりな精度ですから、インド人に意味も通じると思います」

そして歌詞カードの最後の注意書きが面白い。
「パッケージ写真のカレー、インド人はイメージです」と。ここまではいい。「この商品にカレーは含まれていません」と断り書きがある。思わず、歌詞カードに「知ってるわ!」とツッコミをいれてしまう。そして、次の一文。
「この商品は音楽CDです。熱湯や電子レンジで温めたり、食べたりしないでください」
音楽だけではない。歌詞カードもパッケージで楽しめる、そんな小ネタ満載の音楽CDだ。

最後に、いま温めている企画について教えてくれた。

「近田春夫さんから、今年のオリンピック、パラリンピックに合わせて三波春夫さんの『東京五輪音頭』みたいなものをつくりたいと提案がありまして、リリースは未定ですが、プリプロのお手伝いをしています。タイトルは『オリンパラリンピックピック音頭(仮)』です」

オリン・パラリン・ピック・ピック。もはや、この語感だけでポップである。近田春夫さんとタッグを組んだ川口氏の作品が、どんな仕上がりになるのか、とても楽しみだ。

『インドカレー屋のBGM』を企画した川口法博氏。休日はもっぱらカレーの食べ歩きをしているそう

2016年に発売された『インドカレー屋のBGM デラックス』の全曲「空耳」版トレーラーはコチラ。最新作のトレーラーは現在準備中とのこと

  • 取材・文・撮影ハギワラマサヒト

    1967年生まれの臓器移植芸人兼ライター。人生で二度の臓器移植を体験し、移植医療普及の活動をしている。2000年に日本人初の肝腎同時移植をアメリカで、2015年に国内で妻より生体腎臓移植。2019年春より、りんご農家芸人・松尾アトム前派出所と、コントユニット「子鹿ズ」を結成。

Photo Gallary2

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