旧『おっさんずラブ』ファンが朝ドラ『スカーレット』に萌える理由 | FRIDAYデジタル

旧『おっさんずラブ』ファンが朝ドラ『スカーレット』に萌える理由

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『おっさんずラブ』で牧凌太を演じた林遣都(左)と、春田創一を演じた田中圭。二人のからみが視聴者の支持を得た
『おっさんずラブ』で牧凌太を演じた林遣都(左)と、春田創一を演じた田中圭。二人のからみが視聴者の支持を得た

‘18年に放送され、社会現象を巻き起こしたドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)。そのファンたちが今、朝の連続テレビ小説『スカーレット』(NHK)に流れ始めているという。一体どういうことなのか?

『おっさんずラブ』は、田中圭演じる春田創一が33歳にしてモテ期を迎えたのに、なぜか相手は男性ばかりでアタフタするという姿をコミカルに描いたもの。巧みな胸キュンBL要素をちりばめる一方で、性別に関係なく本気の恋愛を描くことで、多くの女性たちが虜になった。

春田に恋するのは、吉田鋼太郎演じる上司の黒澤武蔵、林遣都演じる同僚の牧凌太、そして内田理央演じる幼馴染の荒井ちずだ。最終的に春田は牧と結ばれるのだが、この“春田×牧”カップルは視聴者からとりわけ熱い支持を受けた。昨夏には、その後の二人を描いた映画『劇場版おっさんずラブ~LOVE or DEAD~』も公開され、興行収入26憶円という大ヒットとなった。

ところが昨年末に放送された、実質のシーズン2である『おっさんずラブ-in the sky-』には牧は登場せず、最終的に春田はシーズン1ではフッた武蔵と結ばれることに。これに嘆いたのが“旧おっさんずラブ”ファンたちだ。「牧のいない『おっさんずラブ』なんて辛すぎる」と公式アカウントを外す人が続出。Twitterには「#牧ロス」なるハッシュタグも出現した。

そんな失意のファンたちの前に突如現れたのが、『スカーレット』の“八郎×信作”カップルだ。

八郎とは、戸田恵梨香が演じる主人公・喜美子の夫。これまで無名だった松下洸平が演じ、生真面目な人柄ながら不意打ちのように“男”を見せてくるギャップに、気づけば多くの朝ドラ女性ファンたちが心を掴まれていた。一方、林遣都演じる信作は喜美子の幼馴染で、13人の女性と付き合うも煮え切らない性格からすべてフラれてきた、という残念イケメンだ。物語の上では、当然八郎と信作の間に色恋沙汰はない。心許せる親友同士として描かれている。が、実際はどう見てもそんなプレーンな空気ではないのだ。

八郎が信作の頭をわしゃわしゃ!

まず、第8週46話の二人の出会い。自分のほうが年上かと思いイキる信作だったが、八郎に「何年ですか?」と聞かれ「丑です」と答えると「ほなこっちが2個上ですね」と言われ、「そうですね」と答える。そして……。ここで会話が続かなくなった二人は、なぜか互いに見つめ合うのだ! このシーンに「これは恋仲になりそう!」と騒然としたのが旧おっさんずラブファンたち。二人はお互いを「信作」「ハチ」と呼び合う仲となり、喜美子の嫉妬を買うシーンも。ネットはますます盛り上がっていく。

ここから“八郎×信作”の絡みシーンが、定期的に投入されるようになる。

第12週70話のエピソード。喜美子と、大島優子演じるもう一人の幼馴染・照子にからかわれた信作が、商品開発室で作業中の八郎に泣きつく。そして何と「もうイヤや~、アイツら」と言いながら、八郎の背中に顔を埋めるのだ。しかも、そんな信作に八郎は「フフフ、よしよし」と優しく微笑みながら頭わしゃわしゃ……。これに萌えない牧ファンが果たしているだろうか?

そして第13週77話。信作に完全なる匂わせセリフを言わせている。信作は自分を好きな女性に諦めてもらうため、喜美子の妹・百合子に偽彼女を演じてもらう。首尾よく相手の女性に撤退してもらったところで、こう言うのだ。「俺はなあ、もはや男のほうが好きなんちゃうか思うぐらい、ほんまは女の子が苦手やねん」と! これが“旧おっさんずラブ”ファンに向けたものでなければ、一体何だというのだろうか?

こうなると“牧ロス”女子たちも、“八郎×信作”カップルの動向を見守るようになる。それにこたえるかのように放送されたのが、第15週88話。百合子と結婚するにあたって、姉の喜美子という高い壁を乗り越えなければならない信作は、幼馴染の照子に柔道の練習に付き合ってもらう。しかし信作はどうやら照子にすら歯が立たなかったようで、両親が経営するカフェに戻ってくると、照子にこう言われる。「うちみたいなもんに投げ飛ばされるってどういうこっちゃ」。これを聞いて驚いたのが、たまたまカフェに居合わせた八郎。「えっ、信作、照ちゃんに投げ飛ばされたん?」と言うと、信作は泣きそうな顔をしたまま八郎のほうへ寄っていき、ムギュ~と八郎に抱きつきその太ももに顔を埋めるのだ! 「ちょちょ、何」と驚きながらも、「わかったわかった、もうエエ」と優しく慰める八郎……。ここまでくると、もはや“八郎×信作”カップルファンに向けた完全なるサービスと言っていいだろう。

これから、八郎が喜美子の才能にモヤモヤしたり、八郎の女性弟子が八郎に恋心を抱いたりと、不穏な空気が漂い始めそうな『スカーレット』。見ていて辛い展開に脱落する視聴者もいるかもしれないが、“八郎×信作”カップルがいる限り、『スカーレット』の視聴率はきっと安泰だろう。

  • 取材・文奈々子

    '72年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター

  • 撮影斎藤雅昭

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