更生は完全失敗 「女子高生コンクリ殺人」で浮かぶ少年法の課題 | FRIDAYデジタル

更生は完全失敗 「女子高生コンクリ殺人」で浮かぶ少年法の課題

“元少年”が監禁致傷、オレオレ詐欺、殺人未遂で続々逮捕 「処罰より更生」の精神をどう守る?

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ムエタイジムに所属していた当時の湊容疑者。現在はこの頃よりがっしりしているという

「あいつはニヤニヤ笑っていたんです。警察から事情聴取を受けている間、ずっとですよ。普段から突然奇声を発したりして気持ち悪い奴だと思っていたけど、あのニヤついた顔を見たときは心底ゾッとしました。人を刺したのに、なんであんなふうに笑っていられるんですかね……」(湊容疑者と同じアパートの住民)

8月19日、埼玉県川口市の路上で男性を刺したとして、無職の湊(みなと)伸治容疑者(45)が殺人未遂の疑いで逮捕された。湊容疑者は被害者男性と駐車場でのクルマの停め方を巡ってトラブルになり、警棒で肩を殴り、首を刃物で刺したという。

湊伸治。この名前だけ聞いて、ピンと来る人はいないだろう。だが、30年前の「女子高生コンクリ詰め殺人事件」といえば、記憶にある人も多いはずだ。

’88年11月25日、当時16~18歳だった少年4人が、埼玉県内の高校に通うA子さんを誘拐・監禁した。40日間にわたり昼夜の別なく陵辱されたA子さんは衰弱し、やがて絶命。すると少年4人は、盗んだドラム缶にA子さんを入れてセメントを流し込み、遺体を放置した。

この凄惨な事件の現場となったのが、当時16歳だった「少年C」の自宅だった。そしてこの「C」こそが、今回、殺人未遂で逮捕された湊伸治容疑者なのだ。

’91年7月に、懲役5年以上9年以下の実刑判決を下された湊容疑者は、服役後、どんな人生を歩んできたのか。出所後はしばらく地元の足立区にいたと見られ、いまから16~17年前にはムエタイのジムに通い、プロとしてキックボクシングの大会に出場したこともあったようだ。

「身長は160cm半ばで、地味で無口。週に3~4日は練習に来ていたけど、他のジム生と喋っているところは見た覚えがありません。プロといっても実績はほぼゼロで、運送業か建設系の仕事をしていたと記憶しています」(ジム関係者)

当然、ジムの運営者らは湊容疑者がコンクリ事件の犯人だとは知らなかった。

「でも、いつ頃からか、大会の客や他のジムの人から、『あんな奴を所属させていいのか』とクレームが来るようになってね。彼が『コンクリ事件』の犯人だとバレたんです。それを察した湊は、すぐにジムを辞めました。結局、うちにいたのは2年間ぐらいだったはずです」(同前)

その後は、転居を繰り返し、職も転々としたという湊容疑者。現在のアパートに移り住んだのは約2ヵ月前で、近隣の住民らによると「ほとんどの時間は家にこもりっきりだった」という。

罪を犯した少年に対して、処罰よりも保護更生を優先させる少年法の精神は尊重されなければならない。しかし、「コンクリ事件」の犯人たちの更生は完全に失敗している。

「『コンクリ事件』の主犯格だった少年Aは’13年に振り込め詐欺で、少年Bにいたっては’04年に監禁致傷で逮捕されている。奴らにはいずれも、反省なんてまるで見えませんよ」(全国紙社会部記者)

法務省作成の「犯罪白書」によると、一昨年に検挙された約22万6000人のうち再犯者は約49%に及び、その比率は年々高まっている。刑事事件に詳しい落合洋司弁護士が語る。

「政府は’16年に『再犯防止推進法』を制定し、形式上は対策に取り組んでいます。しかし、人権の問題もあり、再犯防止の具体的な方策は打ち出せていません」

凶悪犯の再犯率について、いまこそ、現実を直視すべきだ。湊容疑者の犯した犯罪を正確に報道することが、一番の再犯防止策になるだろう。

湊容疑者が男性を刃物で刺した事件現場。湊容疑者は近くのアパートに女性と住んでいたようだ

コンクリ事件は大々的に報じられ、’89年4月には本誌が少年の顔写真を掲載

撮影:栗田シメイ(事件現場) ※A子さんの顔写真は、事件から長期間が経過していることを考慮し、モザイク加工しました

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