秋山翔吾がシンシナティ入団 MLBナ・リーグが求める人材とは? | FRIDAYデジタル

秋山翔吾がシンシナティ入団 MLBナ・リーグが求める人材とは?

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シンシナティ・レッズの入団会見に臨んだ秋山翔吾。背番号は4に決定(写真:アフロ)
シンシナティ・レッズの入団会見に臨んだ秋山翔吾。背番号は4に決定(写真:アフロ)

2月1日から日本では春季キャンプが始まり、いよいよ球春を迎えます。

メジャーはチームやポジションによってキャンプインの時期は異なりますが、概ね日本より2週間遅れで、温暖なフロリダやアリゾナでキャンプインし、今季をスタートさせます。

二刀流への再挑戦となる大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)や、山口俊投手(トロント・ブルージェイズ)、筒香嘉智外野手(タンパベイ・レイズ)、さらに秋山翔吾外野手(シンシナティ・レッズ)など、新しく挑戦する選手も多く、開幕が楽しみなシーズンになりそうです。

また、シンシナティと秋山選手がメジャー契約を果たしたことで、日本人メジャーリーガーがメジャー全30球団をコンプリートしたと聞きました。僕も97年にアナハイム(現在のロサンゼス・エンゼルス)に加入した、最初の選手だったのですが、その後も変わらずに日本人選手が海を渡ってメジャー挑戦を続けていること、そこで一定の成績とファンからの支持を得ていること、つまり日本球界が認められていることに誇りを覚えています。

秋山選手が過ごすシンシナティは日本のファンにはなかなか馴染みのない土地かもしれません。街はイリノイとケンタッキーの州境にあり、イリノイ川が流れています。そのほとりに立つ、本拠地グレート・アメリカン・ボール・パークはとても綺麗なボールパークです。言い方が難しいのですが、適度に田舎なので、ファンも暖かくしっかり応援してくれると思います。

特に彼の場合は3年総額2100万ドル(約23億円)という契約が示すとおり、主戦級の選手として迎えられていますので、そこまで危機感を持たずにマイペースで調整できるでしょう。1番か2番でセンター。そんなイメージで、レギュラー争いというより、まずはメジャーのピッチャーや、本拠地の天然芝のグラウンドにアジャストすることが求められます。

そういう意味では新天地として、中地区のチームに所属するのはポジティブな要素です。

日本人選手のメジャー移籍先は、経済的に余裕がある人気球団や、日本企業や日本人コミュニティが多いという理由で西海岸や東海岸のチームが多かったのですが、意外に中地区の球団に所属するメリットは小さくありません。特に移動と時差です。

東海岸とは時差もありませんしニューヨークまでは2時間のフライト。もっとも遠い西海岸、例えばシアトルでもフライトは5時間で時差は3時間のみ。そもそも西海岸はシーズンに数えるくらいしか行かないので、懸念される時差と移動の苦労は、30球団でもっとも少ないかもしれません。そういう意味でも秋山選手はアドバンテージを持っているのではないでしょうか。

ナショナル・リーグでシーズンを通してレギュラーとして活躍できそうなのも興味深い点ですね。

よく、「日本人野手はナショナル・リーグとアメリカン・リーグ、どちらが活躍できますか?」と質問されます。もちろん選手のスタイルにもよりますが、野手に関していえば器用な選手が多い日本人はナ・リーグのほうが向いている、あるいは活躍の場がもらいやすいのかな、というのが現時点での僕の意見です。

DHのあるア・リーグはやはり1番から9番まで打線にスキがありません。どうしても打ち勝つ野球になってきますが、対照的にナ・リーグは9人の打者で投手を中心に守り勝つゲームが理想になってきます。

当然、ピッチャーの打順が来れば代打も出しますし、それに伴った代走やポジション変更なども発生します。ア・リーグではピッチャー以外のスタメンを固定したままゲームを終わらせることはそれほど珍しくありませんが、ナ・リーグでそんなことはほとんどありません。つまり選手の起用の幅が広い。違う言い方をすれば多くのことに対応する〝野球偏差値〟のようなものを備えている選手が重用されます。

そういう意味では、複数のポジションをこなせてスピードもある。バッターボックスに送っても一定のクオリティが期待できる。そんな総合力で勝負できる、究極の便利屋と呼べる選手はベンチに置いておくだけでチームに安心をもたらすことができます。

そういう雇用が今後、ナ・リーグで増えてくる可能性があるのでは、と僕は予想します。

今季、ルーキーイヤーを迎える、筒香選手はスラッガー、秋山選手はアベレージヒッターとして、役割が明確です。彼らが活躍することによって、さらに日本球界に視線が注がれ、野球に対する理解が深い、フレキシブルな選手がピックアップされるでしょう。今後、日本人選手への期待は形を変えて、また広がっていくのではないでしょうか。

  • 長谷川滋利

    1968年8月1日兵庫県加古川市生まれ。東洋大姫路高校で春夏甲子園に出場。立命館大学を経て1991年ドラフト1位でオリックス・ブルーウェーブに入団。初年度から12勝を挙げ、新人賞を獲得した。1997年、金銭トレードでアナハイム・エンゼルス(現在のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)に移籍。2002年シアトル・マリナーズに移り、2006年現役引退

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