壁に30センチ大規模亀裂が発生!「豊洲市場」恐怖の地盤沈下
過去にも地面のひび割れや通路の隆起など、開場500日ですでにピンチが…
開場からわずか500日足らずで、豊洲市場(江東区)に重大欠陥が見つかった。
3~4枚目の写真をご覧いただきたい。
ここは、水産卸売場棟南西に位置する「活魚荷捌(にさば)きスペース」だが、その壁が大きくズレて、下部には約30㎝もの溝があるのが見て取れる。溝にたまった発泡スチロールや木材のカスを見ると、亀裂が生じてからかなり時間が経っているようにもうかがえる。
市場内で働く東京魚市場卸協同組合(通称・東卸)理事の三浦進氏が言う。
「ズレが発見されたのは今年1月の中旬頃でした。最初はフォークリフトが壁にぶつかったのかなと思いましたが、現場を見てみると衝突した跡がどこにもない。フォークリフトは約1トンありますから、ぶつかれば必ず跡が残る。というか、間違いなく壁に穴が空きますよ。豊洲は埋め立て地でしょう。地盤が弱いのは移転前からわかっていたことですから、業者はみんな『なんかイヤな予感がする』と不安がっています」
衝突が原因ではないとすれば、なぜこんなに大きくズレているのか。可能性は一つしかない。豊洲市場の構造に詳しい一級建築士の水谷和子氏が語る。
「構造体、つまり市場全体が沈み始めており、それによって壁が割れた可能性があります。豊洲市場については、土壌汚染対策の関係で通常の基礎工事ができていないのではないか、という指摘が開場以来ずっとなされてきました。ただちに、ということではないと思いますが、打ち込んだ杭が地中の固い地盤に届いていないとすれば、建物が崩壊する危険すらあります」
本誌はこれまで、豊洲市場に発生した異常事態をたびたび報じてきた。開場直前に見つかった敷地内の地面のヒビ割れ。さらには、市場内の通路の一部がウネウネと波打っていたこともわかっている。いずれの問題も、背景にあるのは市場の「地盤沈下」の疑いだ。
はたして今回見つかった壁のズレの原因について、東京都はどのように考えているのか。豊洲市場を管轄する中央卸売市場管理部は本誌に次のように回答した。
「(壁のズレは)フォークリフトが相当強く間仕切りの壁を押し、こうした作業が繰り返されることにより発生したものであり、建物の構造的な不具合ではないことを、都と当該箇所を使用している市場業界で確認しています。関係する業界団体に対して既に説明を行っており、今後、施設を使用する上での注意喚起を行い、壁の復旧を図る予定です」
しかし、前出の三浦理事は都の回答にこう反論する。
「先ほども述べたように、フォークリフトがぶつかった跡なんてどこにもないんです。現場を見ればそれは一目瞭然。それに、私は組合の理事ですが、説明なんてされた覚えはない。都はいったい何を言っているんでしょうか」
人は隠したい問題があるときに嘘をつく。苦しい言い訳をする前に、真摯な姿勢で原因を調査するべきだろう。
『FRIDAY』2020年2月7日号より