元乃木坂 テレ朝・斎藤ちはるアナが語る“緊張で脚が震える日々”
「CM、入りました~」
スタジオにスタッフの声が響くと、出演者たちの緊張がやわらぐ。ただ一人、赤ペンを持ちながら真剣な表情で原稿をチェックし、何度も復唱する女性がいた。テレビ朝日の新人・斎藤ちはるアナウンサー(22)だ――。
斎藤アナは昨年4月、フリーに転身した宇賀なつみアナの後任として、テレ朝の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』のアシスタントに就任。年間平均視聴率9.4%(’19年)と朝の時間帯では3年連続民放トップとなった、同番組の人気を牽引している。斎藤アナが語る。
「アシスタントになった当初は緊張で本番中に脚が震え、原稿に何が書いてあるかわからなかったほどです。今でも余裕はありません。『大丈夫、大丈夫』と自分に言い聞かせ、なんとか気持ちを落ち着かせています」
斎藤アナはアイドルグループ乃木坂46の1期生として活躍後、アナウンサーになった異色の経歴を持つ。斎藤アナに芸能界入りした経緯や卒業後にテレビ局を選んだ理由、アナウンサーとしての現状を聞いた。

――幼いころから子どもモデルとして活躍し、テレビCMにも出演していたんですね。
「家の近くの写真屋さんの店頭に、七五三の時に撮った画像を飾ってもらったんです。キレイにおめかししていたので、近所のみなさんが『ステキね』と褒めてくださって……。それで子どもモデルに応募したんです」
――乃木坂のオーディションを受けた経緯は?
「小学校入学を機に、子どもモデルの仕事は辞めていました。ただ幼いころに華やかな芸能界に接し、女優やアイドルには憧れを抱き続けていたんです。そんな時に、たまたま乃木坂結成のニュースを耳にしたんですよ。中学卒業を控え、思い出としてオーディションを受けてみようと。まさか自分が受かるとは思っていませんでした」
――芸能活動をしながら、明治大学文学部に入学しました。アナウンサーというのは、大きな転身に思えます。
「乃木坂で同じ1期生の市来玲奈さんからは、少なからず影響を受けました。『将来どうする?』と雑談していると、彼女には『アナウンサーになりたい』という明確な目標があったんです(市来は早稲田大学からアナウンサーとして日本テレビへ入社)。私もテレビにかかわる仕事を続けたいとは思っていたので、市来さんの言葉でアナウンサーへの興味が一気に膨らみました。人前で歌うのは自信がありましたが話すのは苦手だったので、アナウンススクールに通い技術を磨くことにしたんです」
――『世界・ふしぎ発見』(TBS系)で、ミステリーハンターとして出演した経験もアナウンサーになりたいという気持ちを後押ししたとか。
「『ふしぎ発見』は祖父が好きで、幼いころから見ていた憧れの番組だったんです。そのことを知った番組スタッフの方のおかげで、ミステリーハンターに採用していただきました。ただ、実際はうまくいかなかったですね。台湾に11日間ほど滞在したんですが、どのタイミングでインタビューし、どんなふうに話しかければいいのかわからない。ディレクターの方に『それは違うよ』と指摘されることも多く、悔しい経験でした。反面、テレビの仕事の面白さも実感できました。乃木坂の時は自分をどう見てもらうかを考えていましたが、テレビでは他の人たちの思いをどう伝えるかが大切。とてもやりがいのある仕事だと思ったんです」
スマホにメモした落ち着くための方法

――実際にアナウンサーになって仕事に慣れましたか。
「ぜんぜん……。焦って早口になってしまったり、しっかり発声できなかったり……。まだまだ反省の日々です。羽鳥さんには、番組中に『落ち着いて』『ゆっくりとね』とアドバイスをもらい本当に助けられています。自分のスマホには、落ち着くための方法をメモしているんですよ。『緊張したら10秒深呼吸する』『頭の中でゆっくり原稿を復唱する』とね」
――普段、心がけていることはありますか。
「知らない言葉を見たり聞いたりしたら、すぐスマホにメモし時間がある時に調べるようにしています。番組が終わり夕方のニュースはすべてチェックしていますが、見方が短絡的にならないよう気をつけていますね。例えば中国で発生した新型ウイルスによる肺炎なら、他の報道媒体がどう報じているのかを見て多面的に考えるようにはしています。発声練習も欠かせません。お風呂に入りながら『あ、い、う、え、お』と声に出してハッキリ話せるように訓練しているんです」
――お父様はアメリカンフットボールのX2リーグの選手(斎藤伸明氏)ですが、アドバイスをもらうことはありますか。
「入社当初は『早口になっている』『姿勢が悪かったよ』と指摘されましたが、最近は仕事の話にはなりませんね。番組を見てくれていないのかな~(笑)」
――月並みですが、好きな異性のタイプは……。
「う~ん。話が合う方ですかね。でも、今は仕事を覚えるのにいっぱいで……。将来はスポーツやバラエティなど、いろいろなジャンルの仕事ができるアナウンサーになりたいです」
いくら緊張していても、本番中はアイドル時代に培った人懐っこい笑顔を絶やさない斎藤アナ。失敗をしながらも、アナウンサーとして着実に成長している。



撮影:西崎進也