追悼・さくらももこ 若き日の『ちびまる子ちゃん』への思い | FRIDAYデジタル

追悼・さくらももこ 若き日の『ちびまる子ちゃん』への思い

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『ちびまる子ちゃん』の作者として知られる漫画家・さくらももこ氏が、15日、乳がんのために亡くなった。53歳という若すぎる死だった。

1986年より連載がスタートし、90年にアニメ化され、日曜の夕方の顔として老若男女問わず愛され続けた『ちびまる子ちゃん』。国民的作品に成長するずっと前、24歳のさくらももこ氏は、作品にかける思いを本誌に語っていた。1989年8月25日・9月1日号のフライデーに掲載された、本人のインタビューを当時のままで公開する。

「絵日記ふう」少女漫画で170万部売ったさくらももこさん(24)の「モデルは私」

『ちびまる子ちゃん』って知ってるかな? 名前はさくらももこ、小学校3年生の女のコだ。

ハッと気がつくと8月31日。観察日記をつけるはずのヘチマはとっくに枯れてるし、ちょっとボケたオジイちゃんまで動員して夏休みの宿題をやってもらう。

そんなドジで元気でフツーの女のコが主人公の少女漫画『ちびまる子ちゃん』(月刊りぼん連載中)が、いま、子供だけでなく女子大生やOLの間で大ウケなんである。

テーマは夏休みの宿題を始め、学級委員の選挙や、お誕生日会や、200円以内って決められた遠足のオヤツを買う話など、誰が読んでも「あ、そういえばそんなことあったな」って思うような話ばかり。特別におもしろいオチがついているわけじゃない。それがなんと170万部(4巻合計)も売れる大人気なのだ。


「子供の読んでいるのを取り上げて読んでるお母さんもいます。やっぱりみんな、同じような子供時代があったってことじゃないでしょうか」

と、作者のさくらももこさん(24)も戸惑い気味だ。作者本人が「モデルは私」というだけあって、主人公とペンネームが同姓同名。作者が自分の体験を描くことは多くても、さすがにこれは珍しい。

「高2の春休みにラブコメを描いて、そのときいっぺんアキラメかけたんです。私は漫画家に向いていないって。そしたら高3の夏休み直前に、作文テストがあってエッセイを書いたんです。それがスッごく成績が良くて、じゃエッセイを漫画にできないかと思ったんですね」(さくらさん)

昭和61年8月号から連載を始め、先頃、『第13回講談社漫画賞』を受賞したばかりだか、選考委員の一人で少女漫画界の「大御所」里中満智子さんは、「作者の感性そのままのエッセイ漫画という気がする。大好きな作品です」と評している。

既にアニメ化、商品化の話も殺到しているが、
「変にブームになるより、末永くかわいがってほしいので現在検討中」(さくらさん)
だそうな。

この夏休み、子供時代を思い出して「ほのぼの」したい人、『ちびまる子ちゃん』を、そっと読んでみたら。

FRIDAY(1989年8月25日・9月1日号)より

撮影:鬼怒川毅

 

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