今は無名でも今季活躍間違いなしの若手選手たち(パ・リーグ編) | FRIDAYデジタル

今は無名でも今季活躍間違いなしの若手選手たち(パ・リーグ編)

いよいよプロ野球シーズン到来。各球団には今季の活躍が期待される若手が揃っている。まずはパ・リーグから紹介する。

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2015年、リトルシニア時代の万波中正(現・日本ハム)。この頃から将来を嘱望されていたが、今季は素質が開花するか
2015年、リトルシニア時代の万波中正(現・日本ハム)。この頃から将来を嘱望されていたが、今季は素質が開花するか

「無名」の定義が難しい。一軍で大した成績を挙げていなくても安田尚憲、藤原恭大(ともに野手・ロッテ)、平良海馬(投手・西武)、田中正義(投手・ソフトバンク)、堀内謙伍(捕手・楽天)、吉田輝星(投手・日本ハム)、張奕(投手・オリックス)は私には無名ではない。彼らより名前が知られておらず、なおかつ秘めた実力が凄い、という選手をピックアップした。

基本的に各球団1人ずつピックアップしたが、たとえば楽天は最後まで迷った。内野手・山﨑剛の二軍で挙げた22盗塁が私には響いたが、楽天の二塁・遊撃にはロッテからFA権を行使して移籍した鈴木大地をはじめ浅村栄斗、茂木栄五郎、ドラフト1位の小深田大翔、藤田一也がいて山﨑の入り込むスキがないので残念ながら外した。ここではチーム事情と選手の力を見ながら今季飛び出す可能性のある「無名の実力派」を紹介したい。

西武の穴は野手である。レギュラーに中堅・ベテランの超一流の実力者が揃い、その反動からか若手の控え層が弱い。鈴木将平(外野手・今季22歳)、西川愛也(一塁手・21歳)、山田遥風(主に遊撃手・24歳)も候補だが、一番推したいのが昨年投手から外野手に転向した川越誠司(27歳)だ。鈴木、西川がクセの強い体重移動やバット操作をする中で最もクセがなく、強い打球を飛ばすのが川越で、私が見た二軍戦では内野ゴロのときの一塁到達が4.10秒、4.03秒と足も速かった。

昨年のシーズン終了後に参加した台湾ウインターリーグでは打率.367、本塁打3で野手部門のMVPに選出されている。秋山翔吾がメジャーに移籍して外野のポジションが1つ空いている今季はレギュラー奪取のチャンスである。

(以下、選手の成績は特に記載のない限り2019年の二軍成績 年齢は今季の満年齢)
◇川越誠司(かわごえせいじ) 北海学園大→西武15年2位(外野手・27歳)*19年野手転向
 試合93、打数308、安打66、本塁打8、打点34、打率.214
 ※台湾WL 試合17、打数60、安打22、本塁打3、打点21、打率.367 ☆野手部門MVP

ソフトバンクは2010年に育成ドラフトで獲得した千賀滉大、牧原大成、甲斐拓也がチームの中心戦力になり、この1〜2年は17年育成ドラフト出身の大竹耕太郎、周東佑京も戦力になっている。今年の推しメンは大竹、周東と同じ17年育成組(1位)の尾形崇斗(投手・21歳)だ。同3位の砂川リチャードも大器だが、今季登場、という条件付きで尾形を優先して選んだ。

昨年の台湾ウインターリーグでは10試合にリリーフ登板し、奪三振23(奪三振率17.8)というとんでもない記録を出している。このときの三振の多くは千賀に似た2段モーション気味のフォームからホップするような球筋の150キロ台のストレートを連発して奪ったもの。12球団ナンバーワンのリリーフ陣を擁するソフトバンクだが、ここに、尾形が支配下登録されて入れば、モイネロ、甲斐野央、髙橋純平、松田遼馬、加治屋蓮、森唯斗も交えた驚異の剛球リリーフ陣が形成される。彼らが出てくるゲーム終盤は絶対に誰でも見たくなる。(尾形はその後、3月16日に支配下登録された。背番号は39)

◇尾形崇斗(おがたしゅうと) 学法石川高→ソフトバンク17年育成ドラフト1位(投手・21歳)
 ※台湾WL 10試合、11.2回、0勝0敗3セーブ、奪三振23、防御率0.77

楽天は消去法で和田恋(一塁、外野手・25歳)にした。昨年7月8日に巨人から移籍、同月21日のソフトバンク戦で6番・一塁でスタメン初出場し、4打数1安打を記録している。無名というカテゴリーで語りたくない選手だが、素質のある選手はファームに長く塩漬けしないほうがいいという例として紹介したかった。和田と同じ13年に2位指名されている内田靖人(楽天・内野手)の刺激剤としても期待されている。

◇和田 恋(わだれん) 高知高→巨人13年2位→19年楽天(外野手・25歳)
 ※一軍 試合31、打数107、安打27、本塁打2、打点11、打率.252

ロッテの一押しは左腕の永野将司(投手・27歳)だ。昨年の3月、「広場恐怖症」という耳慣れない病名が球団から発表されたが、6月に見た巨人との二軍戦では最速152キロのストレートにカーブ、スライダーがキレまくり、まったく気にならなかった。

昨年のファームでの成績は39試合(41.2回)投げて1勝0敗3セーブ、防御率3.02、奪三振率9.50、与四死球率6.26でわかるようにコントロールに課題があることが一目瞭然だ。ステップ直後すぐに上半身が追いかけるので、テークバック時の体の割れが不十分。ここが改善されれば一軍でも結果が出せると思う。ロッテが優勝戦線に割り込む重要なパーツだという認識がほしい。

◇永野将司(ながのしょうじ) Honda→ロッテ17年6位(投手・27歳)
 39試合、41.2回、1勝0敗3セーブ、被安打27、与四死球29、奪三振44、防御率3.02

日本ハムは18年のドラフト4位、万波中正(外野手・20歳)への期待が膨らむ。横浜高時代の万波はマスコミ人気の高さとは裏腹に、バットの芯で捉えた打球をほとんど見たことがなかった。最後の最後、3年夏の神奈川大会準々決勝、立花学園戦で二塁打、三塁打、本塁打という大当たりを見たのが最初で最後である。凄かったのが第2打席の本塁打。横浜スタジアムのバックスクリーンにあるコカ・コーラの看板の下辺りに届く特大の一発だった。もう1打席あればサイクル安打を記録していたかもしれない。

この不確実な幻のスラッガーがプロ1年目の昨年、ファームでチームナンバーワンの14本塁打を放っている。336打席を与えてもらっているのを見ても期待の大きさがわかる。三振122も凄い。私は打者の三振、投手の与死球を積極的に評価する派なので、根尾昂(中日)127、姫野優也(日本ハム)115、安田尚憲(ロッテ)109、根本薫(オリックス)107三振まで含めて評価する。

◇万波中正(まんなみちゅうせい) 横浜高→日本ハム18年4位(外野手・20歳)
 試合90、打数298、安打71、本塁打14、打点42、打率.238

オリックスは16年の育成ドラフト組、1位張奕、2位榊原翼、3位神戸文也の3投手を紹介するつもりだったが、私にとって彼らは有名すぎた。そこで18年の育成1位、漆原大晟(投手・24歳)に変えた。昨年のファーム成績は39試合(38.1回)に登板して1勝0敗23セーブ。この23セーブはイースタン、ウエスタン両リーグ含め、2位小野郁(楽天→ロッテに移籍)の14を大きく引き離す断トツの多さである。

前出の張奕、神戸がリリーフで起用され、漆原が支配下登録されれば、オリックスのリリーフ陣は弱体のイメージを払拭しそうだ。(漆原はその後、2月20日に支配下登録された。背番号は65)

◇漆原大晟(うるしはらたいせい) 新潟医療福祉大→18年オリックス育成1位(投手・24歳)
 39試合、38.1回、1勝0敗23セーブ、被安打30、与四死球17、奪三振38、防御率3.52

  • 小関順二

    1952年神奈川県で生まれる。日本大芸術学部文芸学科卒業。『プロ野球問題だらけの12球団』(草思社)は2000年以来20年に及ぶ年度版として現在も継続し、スカイAが中継するドラフト会議では1999年以来、今年で21年目となる指名選手の解説を担当している。主な著書は『「野球」の誕生』(草思社)、『ドラフト未来予想図』(文藝春秋)、『野球力 ストップウォッチで判る「伸びる人材」』(講談社α新書)など多数。

  • 写真アフロスポーツ

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