今は無名でも今季活躍間違いなしの若手選手たち(セ・リーグ編) | FRIDAYデジタル

今は無名でも今季活躍間違いなしの若手選手たち(セ・リーグ編)

誰が活躍するのか、ファンならずとも気になるこの季節。スポーツライターの小関順二氏が予想するブレイク候補選手、セ・リーグ編をお届け。

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2019年7月に育成選手から支配下登録された堀岡隼人(巨人)だが2019年の一軍登板はわずか3試合。今季は一軍戦力として期待がかかる
2019年7月に育成選手から支配下登録された堀岡隼人(巨人)だが2019年の一軍登板はわずか3試合。今季は一軍戦力として期待がかかる

パ・リーグに続き、今季一軍に出てきそうな無名の大物を紹介したい。昨年、高校卒ルーキーながらシーズン途中に育成から支配下登録に昇格した巨人・山下航汰はもはや有名人なのでここでは触れていない。阪神の浜地真澄も飛躍が期待される有望株だが、昨年一軍戦に21試合登板して2勝しているので除外。広島の小園海斗は超有名人、トミー・ジョン手術明けの高橋昂也はさすがに厳しいので来年に取って置き、中日の根尾昂もここでは触れず、ヤクルトは適切な無名の大物がいないので実績のある一軍投手を登場させた。

かつての育成王国・巨人は徐々に三軍から好選手が輩出されるようになった。ここで紹介するのは16年育成ドラフト7位の堀岡隼人(投手・22歳)だが、同年育成2位加藤脩平、4位坂本工宣、5位松原聖弥も支配下登録されている有望株だ。

堀岡は昨年6月6日に見たファームの日本ハム戦でストレートが最速151キロを計測して注目した。今季の1位堀田賢慎(投手)と同じ青森山田高出身だが、3学年上なので一緒にプレーはしていない。とはいっても後輩がドラフト1位で自分が育成7位ならハングリー精神は相当燃え上がるだろう。

昨年はファームで29試合(34.2回)に登板して0勝1敗9セーブ、防御率1.04と完璧に近かった。とくに目を引いたのは奪三振39(奪三振率10.13)。私が見た日本ハム戦では2回にスライダーで万波中正を見逃し、カットボールで郡拓也を空振りの三振に仕留めている。一軍のリリーフ陣に入り込む可能性は十分ある。

(以下、選手の成績は特に記載のない限り2019年の二軍成績 年齢は今季の満年齢)
◇堀岡隼人(ほりおかはやと) 青森山田高→16年巨人育成ドラフト7位(投手・22歳)19年7月26日に支配下登録
29試合、34.2回、0勝1敗9セーブ、防御率1.04、与四死球16、奪三振39

DeNA中川虎大(投手・21歳)も17年の育成1位で入団している。私が育成出身に注目するのは支度金300万円がドラフト下位指名の契約金の10分の1程度だからだ。昨年のフレッシュオールスターゲームではイースタンリーグ選抜の2番手として登板、2回表に2失点しているが3回には3番根尾昂(中日)をセンターフライ、4番中川圭太(オリックス)、5番増田珠(ソフトバンク)をフォークボールで空振りの三振に仕留めている。ストレートの最速は151キロを計測。ファームの成績を見れば先発タイプなのがわかる。

◇中川虎大(なかがわこお) 箕島高→17年DeNA育成ドラフト1位(投手・21歳)19年7月16日に支配下登録
20試合、104回、11勝3敗1セーブ、防御率2.25、与四死球52、奪三振93

阪神の無名の有望株はリリーフタイプの齋藤友貴哉(25歳)を指名した。昨年のフレッシュオールスターゲームではウエスタンリーグ選抜の7番手で登板、野村佑希(日本ハム)、西巻賢二(当時楽天)、宮本丈(ヤクルト)を三者凡退に打ち取っている。

ストレートの最速は151キロ。社会人のHonda時代は積極的にストライクを取るピッチングに特徴がありフレッシュ球宴でも3人に対しボール球は1球もなし。6球で打ち取るピッチングは爽快感があった。強力なリリーフ陣に何とか割って入りたい。

◇齋藤友貴哉(さいとうゆきや) Honda→18年阪神4位(投手・25歳)
33試合、33回、1勝2敗8セーブ、防御率3.82、与四死球20、奪三振29

広島林晃汰(20歳)は昨年版の『プロ野球 問題だらけの12球団』(草思社)に「うまく育てば将来のクリーンアップだが、ゼロか百かの振り幅の大きい選手」と書いた。プロ1年目の昨年、二軍で102試合に出場して打率.225、安打71、本塁打7、打点35を見れば、やはり評価の難しい選手だ。それでも昨年のフレッシュ球宴では2死二塁の場面で中川虎大(DeNA)の151キロストレートをライト前に弾き返して二塁走者を迎え入れ、智弁和歌山高時代の勝負強さを思い出した。

今年の新人も含めて広島の若手で強打者タイプは坂倉将吾くらいしかいない。小園、羽月隆太郎、正隋優弥、さらに今年の新人の宇草孔基(2位)、韮澤雄也(4位)も好打者タイプ。そういう中で力みながらも高校卒新人で7本ホームランを打った長打力は希少価値がある。「今年活躍が期待される」という前提では語れないが、3年後の素質開花に期待したい。

◇林 晃汰(はやしこうた) 智弁和歌山高→18年広島3位(一塁手・20歳)
102試合、打数315、安打71、本塁打7、打点35、打率.225

中日清水達也(投手・21歳)が今年の成長株だ。出身校、花咲徳栄高が夏の甲子園大会で優勝した17年のドラフト4位と言っても、清水の役割はリリーフ。それがプロ2年目の昨年はすべて先発して一軍で2勝2敗、防御率4.33を挙げている。高校時代にリリーフで投げていたピッチャーがプロ2年目で先発に役割を替え、成績を残しているケースは非常に珍しいと思う。

一昨年18年のフレッシュオールスターゲームでは6番手としてマウンドに上り、6回表、西巻賢二(当時楽天)、清宮幸太郎(日本ハム)をフォークボールで2者連続空振りの三振に斬っている。今年もローテーション入りの期待がかかる。

◇清水達也(しみずたつや) 花咲徳栄高→17年中日4位(投手・21歳)
※一軍 8試合、35.1回、2勝2敗、防御率4.33、与四死球26、奪三振24
二軍 18試合、60.2回、3勝1敗、防御率2.67、与四死球26、奪三振53

ヤクルト左腕、高橋奎二(23歳)も昨年、一軍で4勝している。ヤクルトはここ数年も含め、12球団ワーストの投手陣と言っていい。一軍で結果を残していない「無名の有望株」を必死に探したのだが適切な選手がおらず、20試合に登板して4勝6敗の成績を残している高橋奎二を指名した。

15年のドラフト3位で、出身校は龍谷大平安高、と言えば「ああ!」と思い出す人もいると思う。始動で上げた足を下ろしてステップに行く前、しばし静止するフォームは高校時代と変わらないが、130キロ台後半から140キロ台前半が多かったストレートは約10キロスピードアップし、打者近くでの伸びも迫力満点。正直、ここまでよくなるとは思わなかった。弱体投手陣も手伝って一軍で10勝する可能性がある。昨年の奪三振率9.35はけっしてフロックではない。

◇高橋奎二(たかはしけいじ) 龍谷大平安高→15年ヤクルト3位(投手・23歳)
※一軍 20試合、95.1回、4勝6敗、防御率5.76、与四死球61、奪三振99

  • 小関順二

    1952年神奈川県で生まれる。日本大芸術学部文芸学科卒業。『プロ野球問題だらけの12球団』(草思社)は2000年以来20年に及ぶ年度版として現在も継続し、スカイAが中継するドラフト会議では1999年以来、今年で21年目となる指名選手の解説を担当している。主な著書は『「野球」の誕生』(草思社)、『ドラフト未来予想図』(文藝春秋)、『野球力 ストップウォッチで判る「伸びる人材」』(講談社α新書)など多数。

  • 写真時事通信社

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