行政担当者は見て見ぬふり 都内公有地に暴力団事務所が建っていた

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
住宅街の一角に佇む暴力団事務所。玄関先には、多くの監視カメラが取り付けられていた

「東京都の土地は、言うまでもなく都民共有の財産です。その都有地の建物に、暴力団事務所が何十年にもわたって堂々と居住している。暴排条例上はもちろん、どう考えてもおかしいし、許されることではありません」(元東京地検検事の落合洋司弁護士)

東京都港区、芝浦ふ頭近くの住宅街には、昭和を思わせる古い邸宅が立ち並ぶ。その中の一軒家に、何十年にも渡って暴力団事務所が居を構えていることが本誌の取材で発覚した。指定暴力団・住吉会の二次団体で、昨年には住吉会幹部が同会の三代目組長を襲名したばかりである。

登記によれば、暴力団事務所が入る二階建て建物の名義人は他県に住む個人だが、土地の権利者欄は「東京市」(戦前の東京23区)となっている。都有地の建物に、「また貸し」のような形で暴力団が入居しているのだ。

「昭和30年代から近くに住んでいますが、その時にはもうあの建物に組事務所がありました。この辺は港が近く、当時は地元の人と暴力団組員が荷役労働のようなことを一緒にやっていたという歴史があります。その後も開発はされず、今日までそのまま放置されている」(近隣住民)

近年、山口組の分裂騒動で暴力団抗争が激しくなっている。暴力団事務所がターゲットになる可能性も高まっているため、住民を危険に巻き込みかねない。行政はなぜ長年に渡って放置してきたのか。東京都の担当者に理由を聞いた。

「当該の土地は、戦前は旧東京市の道路でしたが、その後は東京都の所有になりました。しかし、昭和40年に港区に移管したため、それ以降は港区の区域です」(東京都都市整備局担当者)

現在は管轄ではないため、自分たちに責任はないと言う東京都の担当者。同様の質問を港区にもしたところ、次のような回答があった。

「当該の建物は区が所有・管理をしていないので、区がお答えする立場にはありません。暴力団事務所に関して、暴排条例違反の事実が確認できれば、警察と連携して対応していくが、条例では不動産譲渡・貸付時の暴力団確認は努力義務を課しているのみです」(港区広報担当者)

ともに責任転嫁としか受け取れない対応だ。〝縦割り〟と称される行政の悪しき弊害が、今回の暴力団事務所放置という結果をもたらしている。

「努力義務というなら、具体的にどんな努力をしたのか。反社である暴力団事務所が、公有地の建物に堂々と居座ること事態が大問題です。現在でも登記上の地権者は東京都ですから、都が主導して建物所有者や仲介した不動産業者に行政指導して、立ち退きなりを求めていくべきでしょう」(前出・落合氏)

暴排条例は、各自治体が定めている。東京都暴排条例の制定者はもちろん都自身だ。港区に責任の擦り付けをしている場合ではないのである。

Photo Gallary1

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事