新型コロナが拡大中!「旅行」のキャンセル・予約、どうなる? | FRIDAYデジタル

新型コロナが拡大中!「旅行」のキャンセル・予約、どうなる?

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旅行代金は? マイルは? 新型肺炎が猛威を振るう今、万が一のキャンセルも想定した賢い旅行のノウハウを把握しておこう

新型コロナウイルスは中国以外の国々にも感染が拡大している(写真:ロイター/アフロ)
新型コロナウイルスは中国以外の国々にも感染が拡大している(写真:ロイター/アフロ)

新型コロナウイルスによる肺炎が中国をはじめ、世界各国で感染者が連日報告され、その数はいまだ増え続けている。そのため、中国方面行きのツアーは軒並み中止となり、飛行機の便は運航停止が相次ぐ。事態が収束する目途は今のところ立っていない。

事前に知識があるか否かで“返金”がまったく違ってくる!

今後、日本では春休みや大型連休(ゴールデンウィーク)など、旅行のシーズンが控える。新型肺炎などが理由で旅行をキャンセルする場合、キャンセル料はどのくらいかかるのか。また、マイルでの特典旅行の場合、キャンセルしたらどうなるのか、さらに、キャンセル時の負担を軽くする旅行保険など、先の状況がなかなか見通せない中での上手な旅行の予約方法などを紹介する。

旅行をキャンセルする場合は事前に知識があるか否かで“返金”がまったく違ってくる(画像はイメージ)
旅行をキャンセルする場合は事前に知識があるか否かで“返金”がまったく違ってくる(画像はイメージ)

「ツアー」のキャンセル料は国の法律で“共通ルール”がある

まず、旅行会社でツアーなどを申し込む時、「キャンセル料」(取消料)については、予約時にしっかり確認しておくのが肝心だ。ついスルーしがちではあるものの、旅行のパンフレットにちゃんと載っているし、ウェブ上でもしっかり記載されている。

旅行会社で申し込むツアーなどは通常「募集型企画旅行」に該当する。国土交通省が定める「標準旅行業約款」に基づき、キャンセル料の“上限”はあらかじめ決められている。

旅行のパンフレットにはキャンセル時の「取消料」について必ず記載されている(画像はイメージ)
旅行のパンフレットにはキャンセル時の「取消料」について必ず記載されている(画像はイメージ)

国内旅行は、旅行開始日の前日から数えて「20日前」から、20%のキャンセル料が発生する。一方、海外旅行は、ゴールデンウィークや年末年始などの繁忙期は「40日前」から10%のキャンセル料、その他は「30日前」から20%のキャンセル料がかかってくる。出発日が近づくにつれてキャンセル料の割合が増えていくのは、国内旅行も海外旅行も同様。高額なツアーの場合、JTBなどの旅行会社はキャンセル料に上限を設けていることもある。クルーズ船やチャーター便を使ったツアーなどはキャンセル料の基準が異なるので、随時確認を。

普段あまりよく見ていないかもしれない、キャンセル時のルール。これを機に毎回必ずチェックする習慣を付けておこう。

「航空券」は最安運賃ほど返金が少なく、高くなるほど戻るケースが一般的

航空券の場合、キャンセル時の取り扱いはどうなるのか。

格安航空会社(LCC)の場合、最安運賃だと「キャンセル時に一切お金が戻らない」ことがほとんど。同じ便でも少し高い運賃を買うと、キャンセル時に払い戻しができるようになる。また、予約を取り消しする際に“手数料”がかかるので、その手数料がどのくらいなのかも事前に調べておくのが大事だ。

Peachでの払い戻しは、自社便などで使える「ピーチポイント」で戻る仕組み
Peachでの払い戻しは、自社便などで使える「ピーチポイント」で戻る仕組み

例えば、Peach(ピーチ)の場合、取消手数料(国内線・国際線)は「バリューピーチ」で1100円、「プライムピーチ」で無料。取消手数料が差し引かれた金額分のピーチポイントが戻る。最安の「シンプルピーチ」は払い戻し不可の運賃。払い戻し対象でも現金の払い戻しはない。受託手荷物や座席指定などのオプション料金はどの運賃でも払い戻しの対象外。他のLCCも同じケースが多い。

大手航空会社の場合、現金での返金対応ができるが、キャンセル時は航空券の価格が安いほど払い戻しが少なく、高いほど多いパターンはLCCと同じ。ただ最近、ANAやJALといった日系の大手航空会社が直接販売する国際線の正規割引(PEX)航空券で、キャンセル時に一切お金が戻らない発券クラスもある。特に安いセール運賃などは注意が必要だ。

「マイル」特典航空券のキャンセル対応は航空会社ごとで違う

もし「マイル」で特典航空券を入手してからキャンセルする場合、果たしてマイルが全額戻るのか、気になる人も多いはず。キャンセルすると、大きく分けて「手数料を支払えば全マイルが戻る」「マイルの一部が戻る」「マイルがすべて戻らない」の3つのパターンがある。

ANAの場合、マイルでの特典航空券を自主都合で払い戻す際、1人1区間につき「払い戻し手数料マイル」(3000マイル)が差し引かれる。一方、JALは特典航空券の払戻手数料3100円がかかるのみで、マイルはそのまま戻る形だ。いずれも、有効期限が切れたマイル失効分は戻らない。

JALのマイル特典ではキャンセル時に手数料を支払えばマイルがそのまま戻る
JALのマイル特典ではキャンセル時に手数料を支払えばマイルがそのまま戻る

その他の外資系航空会社などは、ANAやJALいずれかのパターンにほぼ当てはまる。マイルが一切戻らないケースとしては、例えば、デルタ航空の「スカイマイル」でスカイマークの便を特典予約した場合が挙げられる。予約確定後にマイルが引き落とされると、その後に予約をキャンセルしても一切マイルは戻らないので要注意だ。

一方、JALやANAなどを利用する場合、突然のケガや病気で搭乗できなくなって航空券をキャンセルする場合、取消料や払い戻し手数料などがかからず、どの運賃であっても全額返金の特別対応が通常からある。搭乗前までに医師の診断書などを航空会社に提出するのが条件。インフルエンザなどの場合も適用されることがあるので、あらかじめ覚えておきたい。

急な病気や出張でのキャンセル時も安心の「旅行保険」がある

旅行中のトラブルは旅行保険の補償が使えることが多いが、旅行前のキャンセル時にかかる負担を少しでも軽くしたい、そんな人のためにピッタリの旅行保険がある。

AWPチケットガード少額短期保険株式会社が販売する「トリップキャンセル」のホームページ
AWPチケットガード少額短期保険株式会社が販売する「トリップキャンセル」のホームページ

突然のキャンセルでもキャンセル料が全額保険金として戻ってくる保険もある。急な病気やケガ、交通機関の遅延、自宅の火災や災害での被害などが起こった場合、通常は払い戻しを受けられない取消料などを補償してくれる。例えば、出発当日のキャンセル料は100%かかり、旅行代金は全額戻ってこないのが一般的だが、この保険の補償100%プランだと全額が保険料として戻ってくる。旅行代金5万円につき保険料1500円ほど。

一方、LCCのPeach(ピーチ)に、航空券の代金を補償する保険「チケットガード」では、急な病気やケガ、家族の入院、交通機関の遅延などが起こった場合、取消料などが補償される。運賃に500~1000円程度を追加するだけでこの保険に加入できるため、安心度は大きい。筆者も一度この保険を利用したことがあり、その際は交通機関の遅延が心配で加入した。結果的に無事搭乗できたが、万が一の際にありがたい保険だと感じた。

旅行会社独自のキャンセル保険もある。エイチ・アイ・エスでは、ツアーに申し込んだ人が加入できる「HISキャンセルサポート」があり、保険料1000円で最大10万円を補償する保険プラン。自分や家族の急な病気やケガ、急な出張などで旅行をキャンセルする場合のキャンセル料を補償してくれる。渡航先でのテロや宿泊施設の天災、パスポートの紛失や盗難、勤務先の倒産など補償範囲はけっこう幅広い。

「ホテル」のキャンセルポリシーは宿泊施設次第、プラン選択が大事

さらに、「ホテル」を予約していた際にキャンセルする場合はどうなるのか。

ホテルのキャンセル料は、ホテルごとに異なる。よくあるのは、宿泊1週間前ごろから、前日からキャンセル料がかかってくるケース。ホテルの宿泊約款をはじめ、楽天トラベルやエクスペディアなどのホテル予約サイトでも、キャンセルポリシーがホームページ内のどこかに必ず明記されている。

ホテルのキャンセルポリシーは施設ごとに異なるのでその都度確認を(画像はイメージ)
ホテルのキャンセルポリシーは施設ごとに異なるのでその都度確認を(画像はイメージ)

ただ、ツアーや航空券のような一律のキャンセルポリシーはなく、宿泊施設ごと、宿泊プランごとにキャンセル料が異なるのが現状。例えば、「キャンセル不可」の宿泊プランだと宿泊代金は予約時決済となり、キャンセル時は一銭も戻らない。予約を変更またはキャンセルする可能性があるなら、少し高くても直前まで「キャンセル無料」の宿泊プランを予約するのが無難だ。

もし、台風や自然災害、地震など不測の事態ともいえるケースが起きた際に宿泊できなくなった場合は、宿泊施設に直接問い合わせることが大事。たとえホテル予約サイトで予約したキャンセル不可の宿泊プランであっても、実際にキャンセル料がかかるか否かは宿泊施設の判断となることが多い。

「新型肺炎」での特別対応が旅行会社や航空会社で行われている

参加者の都合よりも先に、旅行会社がツアーを中止する場合もある。今回の新型肺炎、感染の拡大により、JTBやエイチ・アイ・エスなどの旅行会社は、中国本土行きのツアーを当面中止することを決定した。この場合、出発間際であっても、キャンセル料などはかからず、全額払い戻しの特別対応。国が中国全土の「感染症危険情報」をレベル2(不要不急の渡航は止めてください)に引き上げたこと、現地で訪れる予定だった観光施設が閉鎖されていることなどが主な理由だ。

外務省のホームページでは随時、最新の情報に更新されている。こまめにチェックしたい
外務省のホームページでは随時、最新の情報に更新されている。こまめにチェックしたい

航空券も同じく、ANAやJALをはじめ、主な航空会社は、新型肺炎の発生に伴う航空券の特別対応を行っている。対象となる中国方面の航空券を予約している場合、どの運賃であっても、搭乗前日までのキャンセルを手数料なしで払い戻し可能としている。

今後、新型肺炎が他の国・地域にも広がる可能性もある。これから、大型連休や夏休みの旅行を考えている人は、ひとまずツアーを申し込んで、キャンセル可能な時期まで様子を見るというのも手かもしれない。また、既に申し込んでしまった人は、ツアーで訪れるエリアで感染が広がった場合、旅行会社へ事前に、しかも早めに問い合わせるのがベストといえる。航空券も同様だ。外務省が発表する「感染症危険情報」なども参考となる。外務省海外安全情報メール配信サービス『たびレジ』も、日ごろの旅行から必ず登録しておきたい。

■記事中の情報、データは2020年2月3日現在のものです。

外務省の「海外安全ホームページ」はコチラ

シカマアキさんのウェブサイトはコチラ

  • 文・写真Aki Shikama / シカマアキ

    旅行ジャーナリスト&フォトグラファー。飛行機・空港を中心に旅行関連の取材、執筆、撮影などを行う。国内全都道府県、海外約40ヶ国・地域を歴訪。ニコンカレッジ講師。元全国紙記者。

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