薄毛や胃痛、不眠の予防薬も 男性機能を減退させる“ED薬”一覧 | FRIDAYデジタル

薄毛や胃痛、不眠の予防薬も 男性機能を減退させる“ED薬”一覧

「最近、勃起しない……」。そんな悩みを持つ方は現在服用しているクスリの副作用を調べたほうが良さそうだ

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治療のため飲んでいるクスリがEDの原因に。服用が長期間に及ぶと、減薬しても勃起力が正常に戻らないケースがあるという
治療のため飲んでいるクスリがEDの原因に。服用が長期間に及ぶと、減薬しても勃起力が正常に戻らないケースがあるという

「子どもが独立して妻と外食や旅行に出かけるようになったのがいい刺激になって、ここ1~2年は充実した性生活を送っていたんです。ところが、2~3ヵ月前から急に勃(た)たなくなってしまった。原因がわからず、バイアグラを使おうにも妻に言い出せる雰囲気ではなくて……」

薬剤師の私のところに相談に来た50代男性は、そう言って肩を落とした。

生活習慣で何か変えたことはないか。そう尋ねると、半年前から血圧を下げるクスリ『ノルバスク』を飲み始めたという。ED(勃起不全)外来を受診すること、かかりつけの医者にノルバスクを服用してからEDになったことを伝えること。この2点をアドバイスした。後日、その男性が再び来て、白い歯を見せた。

「妻との性生活がもとに戻りました。ありがとうございました!」

そして、こう付け加えた。「主治医に『ノルバスクを飲んでからEDになった』と伝えたら、『おそらくそれが原因です』と、別の降圧剤を処方してくれました」。

いつも飲んでいるクスリによる勃起不全――「薬剤性ED」が増加傾向にある。

EDの最先端治療を研究している「麹町皮ふ科・形成外科クリニック」の苅部淳院長が警鐘を鳴らす。

「現在、日本国内のED患者数は1800万人前後と見込まれています。50歳代から増え始め、60代になると実に60%以上の方がEDになる。そして、この中の少なくない方が薬の副作用によってEDになっていると見られています。60代ともなると、高血圧や高脂血症、胃潰瘍などの治療薬を長期に服用している人が多いからです。医療関係者の間では、20年近く前から薬剤性EDの増加が指摘されていました」

私のもとにやはりEDの相談で訪れた60代男性は、前立腺肥大の治療薬『アボルブ』を服用し始めてからEDになっていた。アボルブは男性ホルモンを減少させ、前立腺の肥大を抑えるクスリだ。

「男性の性欲や勃起機能に大きな影響を与えるのが、テストステロンと呼ばれる男性ホルモンです。このホルモンの分泌が抑えられると、性欲減退などの症状が起きやすくなり、EDにつながると見られています」(前出・苅部院長)

この60代男性は医師と相談し、勃起改善薬を併用することでEDから脱した。

高血圧や高脂血症などとは無縁の若年層なら大丈夫かといえば、そうではない。薬剤性EDはアレルギーのクスリや胃薬、『ロキソニン』などの市販の鎮痛剤によっても引き起こされることが報告されているのだ。

もう一例、紹介しよう。

30代にしてEDとなり、恋人との関係がギクシャクしていたという男性は「仕事のノルマがキツく、プレッシャーで勃たなくなった」と考え、ストレス解消のために運動を始めたが、一向に回復しなかった。生活習慣についてヒアリングすると、重圧から逃れるために痛飲し、そのたびに予防的に胃痛・胃もたれのクスリ『ガスター』を服用していたことが判明。胃潰瘍の症状は見られなかったので、服用を中止するとEDは改善した。

「ガスターなどのH2ブロッカーと呼ばれる薬剤には、抗アンドロゲン作用という男性ホルモンの働きを抑制する作用があるのです」(苅部院長)

EDを誘発するクスリの代表的なものを表にまとめたので参考にされたい。

ただし、あなたの飲んでいるクスリが該当しても、すぐに服用をやめればいいわけではない。苅部院長が言う。

「降圧剤や精神科の薬剤には、服用を中止したり、急に量を減らしたりすると重篤な副作用が出現するものがあります。必ず主治医と相談のうえで減量、あるいは代替薬を処方してもらってください。バイアグラなどのED治療薬と併用できるケースも報告されています」

自衛のためにも、服用しているクスリの詳しい情報を知っておくべきだろう。

『FRIDAY』2020年2月14日号より

  • 取材・文吉澤恵理(薬剤師・医療ジャーナリスト)写真Getty Images

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